追われるようなカレンダーの日めくりにお雛さまが終わってしまった。
「もう終わったお雛さまを取り上げる様では身内でお嫁がゆけなくなるよ」
なんて思いながら、その華やいだ飾りに未だ取りつかれている。
季節に相応しい吊るし雛が、殺風景な本陣の一角に飾られた。
吊るし雛と言えば伊豆稲取が有名で、河津桜が丁度今頃の2月上旬から3月上旬まで約1ヶ月が咲き見頃で、その折に吊るし雛も一緒に見る事が出来た。
吊るし雛は紅白の輪に49個の細工品や鞠(まり)があり、その49の数は一説に年の数と言われている。
人生僅かに50年と言われた時代に、女性は遠慮から1歩引いて49歳として、49に繋がっているようである。
河津桜と言えば孫娘が誕生間もない頃、一緒に連れ出し、冬からいち早く華やいだ春の訪れをいち早く甘受しようと河津桜に見に行った。
川沿いの一角に満開の河津桜の風情に各地から訪れた観光客で一杯であった。
その川沿いのお店に吊るし雛が飾られ、河津桜に色を添えた。
ところが、肝心の我が家のお姫様(孫娘)は長時間に閉塞された慣れぬ、車旅に、居心地が悪かったのか或いは体調が悪かったのか、鬱積された不満を一気に爆発し、泣き止まなかった。
どうあやしても、取りつく暇も無く、わざわざ車を止めて、外の空気に触れて、気分転換を図ったが一気に吹き出した嵐は止む事もなかった。
「泣く子も地頭には勝てぬ」なんて諺は当てはまらない位のエネルギ^ーでもあった。
苦い珍事が昨日のようにこの飾り雛で思い出される。
気性の激しさ、誰に似ているんであろう、とも思ったが、今では窮屈な所でも、しっかりと楽しむ術を色々作ってしまっているようである。
そんな我が家のお雛さま(孫娘)も、今は亡き親父が買った雛飾りを飾り、娘から孫娘へ二代の世代交代に穏やかに雛飾りを楽しんだ様である。
勿論、期日を過ぎれば、さっさと奥の収納場所に収納される。お雛さまと向き合っての歴史伝承はしっかりと続けられ、ホットさせられる。