春夏秋冬ライフ

四季の変化に向き合い、目の前に起きる様々な出来事を目の丈で追ってみた。

時代を走った「ラジオ塔」

2007-11-24 15:54:00 | 歴史に向き合う

横浜野毛山で鬱蒼とした樹木に囲まれ、ぽつんと忘れさられたような存在に、ラジオ塔の表記があった。何故こんな所にラジオ塔か、この得たいの知れない塔に興味をそそられた。
近くの看板には以下の表記があった。
このラジオ塔はラジオの聴取契約者が百万人を越えた記念に日本放送協会が昭和7年全国の著名な公園や広場に建てる計画が進められ、昭和8年度中に41ヶ所が完成しその中に野毛山公園も選ばれ建塔されたもの
正式名「公衆用聴取施設」 全高3メートル
・・・とあった。
ラジオ、TV、パソコン,有り余る情報過多の時代に、見たくもないCM、ネットでは迷惑メールや成り済ましメールなど、いかがわしい情報の氾濫は犯罪の渦にさえもなっている現代に、このラジオ塔はまさに、眩しく目に映った。
このラジオ塔は昭和7年、当時最新鋭のメディアで、屋外から市民のための情報や国民統制のための報道を流していたと言われている。
今では誰でも持てるラジオも当時は高価な宝物。此処に据え置かれた文明の最先端を走るラジオを前に市民が集まり、流される放送に一生懸命に耳を傾け、流される情報をいち早く捉えたのであろう。
この塔に市民が集まり、耳を傾ける姿に、なんとも時代を感じてしまうのである。
ラジオ塔でラジオ体操や日米開戦ニュースなどを、戦時中の庶民の生活の跡を雄弁に伝える語り部として、貴重な歴史遺産である。
こんな所に隠れるように置かれた、得たいの知れない塔に、スローなテンポの時代が何故か安らぎさえ覚える。
全国に41ヶ所あったようであるが、宝物と出会った気分であった。

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