何も咎められることはないのに、車中からこの制服を見ただけで、被疑者の意識に思わず身を固めてしまう。(但し、写真は参考)
<その一>
袋小路の拙宅の住処にY字路の一方通行はどうしても、この坂道を通らなければ上へ出られない。
Yの字の一片から、この坂道に入る時は、見通しが効かず、大きなミラーで下から登る車両は見えるようになっているが、上下車両でガチンコし易い場所である。
何時ものようにこの坂を降りて、合流点のところで身を隠していた制服が、やおら弊車を呼び止める。
何でだろうと窓を開けると、「旦那さん、もう少し、きっちり止めましょう」とほざいているようであったが、まあその時は素直に聞いて、降りていった。
しかし、後から考えると何であんな所で、隠れる様に網を張り、人を欺く様に取締を行っているのか、何とも言い難く、腹もたった。
そんな暇があるなら、直ぐ上の通りの四つ角の危険極まりない不法駐車の取締でもと思ったが、組織の中で上位下達の世界に、ひたすら忠節な鏡のような愚直な、お上の姿をみるようであった。
<その二>
そんなことが頭の霞に消えない間もない日のことであった。
国道幹線となった本通りで、多数の車両が目の前を走っている。
手押し信号の付いた、横断歩道で、押しボタンを押して、信号待していたが、車優先で中々信号が変わらなかった。
そこにカバンを付け、バイクを手押しする警官が同じように横断するようで待機していた。
信号が変わり掛けようと車両側の信号が黄色の状態で、未だ多数の車両が通過している最中に、何故かこの手押しのバイク警官が横断歩道を渡り、激しい車列に入って行った。
たちまち、急ブレーキがかかり、警告のクラクションが鳴らされ、折り重なるように後続車が塞き止められ、危うく車両が接触し、多重衝突しそうになったが、水際で事故は免れた。
多くの目の前で明らかな違反行為に斜めに止まった車両の近くで警官はひたすら、米つきバッタの如く謝るばかりであった。
窓を開け、怒鳴られている様子でもあったが、渋滞の渦になりかかったところで、怒り心頭の車両もそのまま、目的の方向へ走り去って行った。
一方の警官は渡り切った歩道で、天空を仰ぎ、放心状態。何故そのようになったかを、反省するように、ヘルメットの上から自らの拳で一生懸命叩いていたが、目の前のみっともない惨めな姿を一部始終みてしまった。
如何にもお上の看板を背負って居丈高に振る舞う一方では衆知の前で侵さざるべき、行動に走ってしまったのも、同じ制服組なのであった。
気高い誇りや看板を背に、この巡り合わせは偶然であった事と願いたい。
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