575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

冬の日を透かして見せるノスリかな        草女

2007年12月07日 | Weblog
 大高緑地へバードウオッチングに行った日、一羽のノスリに出会った。近くの木から飛んだらしく、低空を舞いながら除々に高度を上げて行き、私たちは長い間、といっても5・6分その優雅な飛翔を満喫した。
 ノスリはタカ科の鳥でトビよりやや小さく、白っぽい。胴が短く、尾羽が扇形であるので、私にもノスリとわかる。
 変わった名だと思っていたので、柏書房「鳥名の由来辞典」を引いて見た。
 奈良時代から「のせ」というタカが文献にあり、これがノスリで江戸時代になって野の上を滑走するので野擦りに変わった。別名を「くそとび」というがノスリが鳥を捕らえず鷹狩に使えないので軽蔑してそう呼んだらしい。おまけに漢字のノスリ「鵟」が「狂」に「鳥」と書くのも酷い話である。
 ノスリは、ネズミやモグラを捕食するのが得意だ。彼らが生存していく為には「濃い自然」が必要なのだ。
 中部国際空港セントレアが出来て常滑市の原野が切り開かれ、住宅用地に整備されつつあった頃、本来飛ばないはずの住宅地からノスリが舞うのを見かけた。
 その時このノスリむは生息地を失ったんだなあと胸が痛んだのを覚えている。
 あれから何年か経ったのに切り開かれた土地に家はまばらである。そしてノスリの姿も見る事は無くなった。
 金儲けの為に失ったものは多くて大きい。
コメント (2)
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