575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

春苺ろうそくをふつと紀寿の母  千香子

2022年03月24日 | Weblog

 

この句を見た時、「紀寿」をもしかして「喜寿」の間違い?と思ってしまいました。

お母さま、100歳のお誕生日を迎えられたのですね。本当におめでとうございました。赤い苺の載ったろうそくを吹かれる様子が映像として見えました。中七が字余りなので「ろうそくふつと」でもいいかも?と思いました。

お母さまの100年の人生にはさまざまなことがあったと思いましたので、千香子さんに句の背景やお母さまの思い出をうかがってみました。

千香子さんのお母さまは1917年ロシア革命の年に生まれ一世紀を生きられたそうです。

以下、千香子さんのコメントです。

 

「紀寿を苺ののったケーキで祝いました。

苺→ケーキ→ろうそくはありふれていると 思っても、私にとってはいちごとケーキは、母がろうそくを吹き消している姿が、真っ先に浮かんできて、それしかない感じでした。

それだけに共感して頂いた方がいて嬉しかったです。

 母は、認知症も出ており 同じことを繰り返し言っていました。

B 29、疎開、地震、死ぬまでに一度でいいから白いご飯を食べたいと思った、などなど戦争の恐怖体験がおもなものでした。

 1917年ロシア革命は少なからぬ人に希望を与えたと思うのに、100年経ってこの有様とはいったい歴史はどう動いているのでしょう

 100歳を過ぎて3か月、要介護2の母は救急入院し手術をして、要介護5になりました。

急性期の病院の手厚い看護に医療の進歩を感じました。食事専門のリハビリの人が来て食べさせてくれるし、毎日手足を動かすリハビリも専門の人が行なってくれ 車椅子に乗って散歩ができるまでになりました。言葉も少し出てきて「デイサービス」と何回も行っておりました。急性期だけでなく、このような患者にとってありがたい看護は、一般入院でも他の施設でも できるはずの事だと思いました

病院を出なければならなくなり施設へ移りましたが、すぐでした。

入院も3月過ぎ灯のない部屋に慣れた朝母は旅立ちました。」

           ★★★

お母さまの最晩年の思い出を句に詠まれた千香子さん。毎年この季節、苺を食べる度にお母さまのことを思い出されますね。ちょっと悲しい記憶もよみがえるかも知れませんが、亡きお母さまは亡くなってもいろんなことを千香子さんに教えてくださっていると思います。

人生100年時代と言われますが、最期まで元気で暮らせる人はあまりいません。高齢者が安心して入院できる制度を私も望みます。麗子

 

コメント (1)
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