冬の京都のお料理と言えばはやり湯豆腐です。一度、南禅寺界隈のお店に行ったことがあります。底冷えする寒さでも、美しいお庭を見ながら湯豆腐に舌鼓。「あんなお店も行ったな~。お庭がきれいだったな~」と、さまざまな思い出がよみがえりました。この句を拝見し、京都の冬紅葉の悲しいくらいの赤い色まで思い出せました。コロナ禍の今、懐かしさもひとしおです。「あのお店あのお庭」の反復がいいですね。
須美さん:そうなんです。あの店あのお庭なんです。
千香子さん:湯豆腐といえば京都、京都といえばあの店お庭も素敵だった と多くの人に共感されそうな句で、それぞれ思い出すお店も庭も違うところがいいと思いました。
本当にひとそれぞれのお店やお庭があると思いました。泉さんの場合は大原でした。大原は少し鄙びた京都でも少し奥深く寒さの厳しいところ。お店にこたつがあるところも多いですね。
湯豆腐やかすむ手と顔大原で 泉
投句の際、泉さんから「秋深い頃、大原三千院に行った。そこで食べた湯豆腐の思い出、湯気で友の湯豆腐を食べる手も顔もかすんでいた。その友とも、遠く離れてかすんでしまった。」とのコメントが添えられていました。
秋の深まる頃、思い出と共に、ちょっぴりものさびしくなる思いも浮かんで来たのですね。
結宇さん:大原と聞くと、“蝶の出て舞う”といった句を思い出します。 この手の雰囲気に弱くって。学生時代に行きましたね。 安徳帝の草履だったか見せられました。
遅足さんも採られています。
さて、湯豆腐句会、いかがでしたでしょうか?お鍋の中の豆腐の様子に目を凝らし、どこか懐かしくほっこりする時間が持てた気がします。麗子