575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

終戦直後の俳句               愚足

2008年08月18日 | Weblog
戦争中の俳句については、白泉の「戦争が廊下の奥に立ってゐた」などを代表として多くの句が知られている。
 しかし戦後まもなくの句については余り知られていない。またそうした句のまとまった紹介も少ない。俳人・筑紫磐井氏が俳句雑誌・俳壇06年八月号で少し載せているので紹介したい。

 災民の子等のジープを追ふさむさ       臼田亜浪
 じゃがいもの花白し焦土たづねたき      渡辺水巴
 粗食ゆゑにあはれ風邪さへながびくや     大野林火
 廃工場人は見ざれど蓮咲けり         水原秋櫻子
 風の日は風吹きすさぶ秋刀魚の値       石田波郷
 露草や戦渦のいかりさえいまは        飯田龍太
 霜夜爆音抱きて眠らす子守唄         森 澄雄
 梅雨濡れる赤旗をいのち坐り込み       松崎鉄之介
 嘆くをやめかの裸レビューなど見るとせむ   安住 敦

戦後の政治・風俗・世相をきっちり書いています。
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戦時の女性俳句            まもる

2008年08月18日 | Weblog
 九条の運動に関わっていることもあり、戦争中の俳句に関心があるのですが、男性の句は白泉の「戦争が廊下の奥に立っていた」などかなり多く詠まれています。
 しかし女性の詠んだ戦時句はとても少ないのです。そんな数少ない句を宇多喜代子さんが、「女性俳句の光と影」NHK出版に紹介していました。

 戦死せり三十二枚の歯をそろへ     藤木清子
  (健康な若者の死を感情を交えず鋭く詠んでいます。)

 ゆくりなくしはぶきし兵わかかりき   竹下しづの女
 夏野原征くべき吾子を日に放ち     三橋鷹女
  (二人とも男の子の母親で、若き出征兵の姿に自分の子を重ねています。)

 炎天の一片の紙人間(ひと)の上に   文挟夫佐恵
  (一片の召集令状で人間は兵となってしまいます。)

 堪ふべしと母は堪へにき京鹿の子    及川 貞
  (戦死の報至りしとき、この花咲いて居き・・の詞書があります。)

 心灼け指灼け千人針を把る       竹下しづの女
 亡き兵の妻の名負ふも雁の頃      馬場移公子
  (銃後の婦人から戦争未亡人への戦時の婦人共通の運命が痛切に詠まれていま   す。)

★こうした質の高い女性の戦時句が、もっと日本のどこかに埋もれているのではないか? 戦争体験者が急速に少なくなる今こそこうした句の発掘が待たれると思う。
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選句練習帳より             今瀬剛一氏出題

2008年08月17日 | Weblog
 比喩が生きている句を三つ選んでください。

  大声で笑って蛇は立ち去りぬ

  独走のラガーは楕円形であり

  蒲公英の一輪笑ふ水の音

  初雪に雪化粧して道祖神

  小春日や箒の並ぶ校舎裏

  城揺るるごとき黄落川流る

  音楽に似て電線の夏燕

  うまごやし墓標のごとき塔婆群

  なきし後の眼の如くあり雪の沼

  秘め申すもの清らかに座禅草
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ブルックナーと俳句    遅足

2008年08月17日 | Weblog
今朝のNHK俳句に出演していた指揮者の斎藤一郎さん。
俳句というと、この曲ですと、紹介した曲。

ブルックナーの交響曲8番ハ短調第4楽章でした。

一度聴いてみないと。

指揮者は、練習の時、曲のイメージを
コトバで表現することがあります。
以前、誰か忘れてしまいましたが、
上手に言うなあ!と感心したことがあります。

イメージを伝えるコトバ。
伝えるだけでなく、イメージを呼び起こすコトバの力。

斎藤さんも、これから本気で、俳句をつくろうと
話していました。

報告に終らず、想像力の翼を羽ばたかせるような俳句。
つくりたいな。

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秋の昼寝お国の外へ飛んでいく   朱露

2008年08月16日 | Weblog
 
    サラリーマン時代の転勤につぐ転勤。
    と言っても名古屋・東京・豊橋だけ。
    弟は国内外だから早死にしてしまう。
    ニンゲンを飛ばすのは面白いのかね。

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初秋に口開け添える烏かな        草女

2008年08月15日 | Weblog
 空は心持秋めいてきたような気がする。しかし暑い。鶴舞公園では木陰の地面にカラスが群れている。暑さ対策なのか皆口を開けている。カラスにはハシボソとハシブトカラスがいて、おでこが出ていて嘴の太いのがハシブトガラスである。
 カラスについて現代日本生物誌(岩波書店)に納得の文章があったので紹介したい。

 かれらは「カスベンジャー」と呼ばれ、地面に落ちているものはねずみの死骸でも、生きた子猫やドバトでも、木の実でも生ごみでも、彼らが口に出来ないものは無い。生まれながらの完璧な雑食である。
 第二は「賢い」と言われる知能的な行動である。人間の目から見て感心させられるような洞察力や工夫がある。彼らは常に人の動きを見てそれに対応てきた。彼らの賢さの源は身近にいる人間のウォツチングにある。「賢くて貪欲」そは何事にも共通した勝者のの持つ資質である。しかし、成功者が必ずしも万人に愛されないのがこの世の常。
 街のカラス達にも通用しそうである。
 カラスびいきの私としては、そんな憎まれ者の「かわいい目をした子」を飼いたいと思っている。
 
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お盆   麗

2008年08月14日 | Weblog
お盆はいかがお過ごしですか?
久しぶりに実家に戻り玄関先で迎え火をたきました。
子供の頃、住宅地で迎え火をたく行事がなんだか恥ずかしく
面倒に思ったものですが
年齢のせいか亡くなった祖父祖母たちが帰ってくると思うと
なんだかにぎやかに迎えてあげようと思い始めました。

さてこの頃の私たち40代女性が集まるとなぜか
お墓の話になります。
というのも両親世代がふたりだけで入る永代供養の申し込みをしたとか
まだお二人ともお元気なのに早々と戒名を決め
それをメールで知らせてきたというデジタルとアナログが交錯した話などなど。
日本のお墓事情もかわりつつあるようです。
子供たちに墓守の世話をかけたくないという親心でしょうか?
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句会近づく   遅足

2008年08月13日 | Weblog
立秋を過ぎても、暑い!暑い毎日です。
20日が夏場所ならぬ残暑句会です。
題詠は涼しく「風」です。
どんな風が吹くのか?楽しみです。

   

ところで、久しぶりに連句を楽しみました。
晴代さんが連句に関心を持たれたのが、きっかけ。
朱露さんを加えた3人で、
半歌仙「百日紅」を巻きました。

①夏    近寄ればこぼれてこたふ百日紅    晴代
②夏    静かな白き日傘たためる        遅足
③雑    愁いつつ剃り残したる喉仏       朱露
④雑    夢のねじれがワインでほどけ      晴代
⑤秋(月)  鍵かけて一人暮らしの秋の月     遅足
⑥秋    周平を読むそぞろ寒くも         朱露
⑦秋    実の入らぬ稲穂を撫でる太い指     晴代
⑧雑    きっちりはねる算盤の玉         遅足
⑨恋    けちつけてまたけちつけてまたあした  朱露
⑩恋    茶髪の君は 職を転々          晴代
⑪恋    有明のメール小説読み返す       遅足
⑫雑    日記に書けぬことの行き先       朱露
⑬冬月  格子窓冬三日月を一瞥し        晴代
⑭冬   首を突っ込む馴染みののれん     遅足
⑮雑   市電主義者は俺がことなり       朱露
⑯雑   ローカル線青春切符乗り継いで    晴代
⑰花   吉野の山の花のはじめを        遅足
⑱春   長閑けしや蓬莱泉の半世紀      朱露


いかがですが?
連句を楽しみたい方は、是非、加わって下さい。
次は、秋の季語で、いかがですか?

                    遅足
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風鈴哀れ   鳥野

2008年08月12日 | Weblog

 ・ 風鈴や目覚めてけふのくらしあり 鈴木真砂女

夏の朝、きりりと身支度をして日常の仕事に立つ。
風鈴の澄んだ音色に促されながら・・・。羨ましい目覚めです。

「朝っぱらから風鈴なんか鳴らして、安眠妨害、許せないッ」と、風鈴が生活騒音と言われ始めたのは、何時ごろか。

我が家の風鈴も、今は鴨居の釘にぶら下がって、だらしない姿を晒しています。
盛岡に旅した時、作家物を奮発して入手した南部風鈴。風のよく通るベランダで、暑さ嫌い当方を慰めてくれていたものです。

それを騒音問題が取りざたされてからは、室内に入れ、エアコンの風に当ててみたり、ガラス戸に隙間風を作ってみたり。
そんなことで、満足出来るはずはなし、何時の間にやら鳴らずの風鈴に成り果てた次第。

 ほんとうに、騒音ですか、安眠を妨害しますか、気に触りますか? 
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軍艦も父も写真や花火の夜         脇本星浪

2008年08月11日 | Weblog
海軍の鎮守府一つ佐世保で私は小学校の門をくぐった。軍港を見下ろす山手の佐世保小学校か゜、幼年期のふわふわした魂に浮世のあれこれを詰め込んだのである。ニキビの丸顔の印象的なS先生は、(サイタ サイタ サクラガサイタ)を指しながら、日本国の強さを説いた。桜が満開の校庭に連れ出して、直下の軍艦の群れへ手を振らせた。そんなせもあって、私は好んで桜の花と軍艦を描いた。
 軍港へ下る坂道には、水仙の花が溢れていた。

   軍港の坂の水仙折るるなし

 さて、軍艦を父母のように慕っていた父だが、他界するまぎわまで軍艦の名を呼んでいた。うわごとのようにも思える、とぎれとぎれの言葉の端に、《那智・妙高・金剛・・・・・・》などがあった。
 「軍艦なんて泥舟と同じじゃないか。あっけなく沈んでしまうんだから」と、しばしば悪態をついたものだが、「軍艦は沈んでも、軍人の魂は輝いているのだよ」と反論をするのだった。
 巨大な打ち上げ花火を見上げつつも、「軍艦の巨砲に比べたら、花火なんて玩具みたいなものだ。」と父は笑っていた。

   軍艦も父も写真や花火の夜


★先日の「のっぽの飛行兵」を書かれた、俳人・脇本星浪さんの随筆(俳壇2006八月号より)を転載させていただきました。写真は佐世保港の夜景です。

                       ( 愚足 )
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朝顔の紺の彼方の月日かな   石田波郷

2008年08月10日 | Weblog
お隣の家の朝顔が咲き始めました。
朝顔は秋の季語。

この句、彼方の月日を、過去ととるか、未来と考えるか?
それによって、ニュアンスが大きく変わります。

彼方には、あちら、という空間を示す他に、
以前、という時間を意味する場合もあります。

普通は紺の彼方に、過ぎ去ったことを思い浮かべている句、
という感じでしょうか?
未来ととっても間違いではないと思います。

    

最近、地下鉄の中吊り広告で「三十代女子」という
表現にぶつかりました。
三十は「女子」なのか?って。

男子、女子と言うから、間違いじゃない。
でも・・・・ちょっとヘン。

この三十代女子が分かる人は、彼方を未来と感じるのかな?
ちょうど、境目にいるのかも。

老いを感じると、死後の世界とか、永遠とかが気になりはじめます。
老人になると「永遠」を感じる力をもらうわけです。

では、若者は?
若者自身が永遠だから、そんな必要はないのでしょうね。


    






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北京オリンピック開会式    遅足

2008年08月09日 | Weblog
昨夜は思わず観てしまいました。
素晴らしいショーでした。

これまで西洋史で世界を見ていたので、
中国中心の世界観に最初は戸惑いもありました。

でも、日本じゃ、こんなショーは創れない。
21世紀は中国の時代と、印象づけられました。

   昨日は北京はだったのか?

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黒花狼牙           草女

2008年08月08日 | Weblog
尾瀬に行ったとき、こんなアニメの魔女の名のような花が咲いていた。
 クロバナロウゲと読みバラ科クロバナロウゲ属またはキジムシロ属の仲間で分布が限られていて、尾瀬の中でも竜宮小屋付近に多く見られるのみ。
 暗紫褐色の3㎝ほどの花。葉はワレモコウに似ている。花弁ではなくガクだそうだが尖っていて花の形はペンダントを思わせて美しい。
 インパクトの強い名前だがその由来については諸説ある。
 黒花は花の色を指している。問題は狼牙である。同じキジムシロ属のミツモトソウを漢名で狼牙と言うからとの説。鋭く尖ったガク片が狼の牙を連想させての名前という説。また罪人を捕らえる道具に狼牙棒というのがあって、鉄叉を上下につけたその形に良く似ているという説。
 さて、昭和57年に書かれた植物の本に「クロバナロウゲは池を縁取ることが多く、浅い池では一面にはびこる。湿地を歩く時この植物があったら要注意で、不用意に踏み込むとドボンということになりかねない。」と書かれている。
 26年前には湿地に踏み込むことは普通の事だったのだ。
 現在は、人が湿地に踏み込むめば、湿地の環境を変えてしまうというのが常識で、そんな事はまずありえなくなった。
 人々の意識が大きく変わってきているのだろう。
 しかし、それでも湿地が次々と失われていっているのはどういう訳だろう。
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コメントの投稿の仕方   遅足

2008年08月07日 | Weblog
コメントを書いて投稿しようとすると
下のほうに4桁の数字があって、
数字を打ち込んでから投稿ボタンを
クリックして下さい、とあります。

この数字を入力する場合は、日本語変換ではなく
英語変換(半角変換)にして入力して下さい。

    (何回も失敗した遅足)
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残暑見舞い    麗

2008年08月07日 | Weblog
今日は立秋。まだどこを探しても秋は見つかりません。
連日の猛暑でぐったり。今年ほど素麺を食べる夏はありません。

友人が屋久島からハガキをくれました。屋久杉でできた木のハガキです。
ウミガメの産卵を見ることができたとか。
都会の暑さとは違って、緑と空と海の色は心にしみるようです。
そのハガキの匂いをかぐと屋久杉のいい香りがします。ほんの一瞬暑さが和らいだ
気がしました。
海を越えてやって来た島のハガキ。今日から残暑見舞いに変わりますね。

      立秋や屋久杉の風が来たような   麗
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