575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

句会近づく      遅足

2013年02月13日 | Weblog
今回に題詠は「春の雪」です。

春、気温が高くなってから降る雪は溶けやすく、
降るそばから消えてゆくので淡雪とも言います。
またひとひらが大きく牡丹雪とも。
冬の雪にくらべると明るく軽快な感じがします、と歳時記に。

  恋歌のごとく降りゐる春の雪   茨木和生

恋の気分が春の雪に重ねられて、雪を楽しんでいるようです。
また、生活のなかに降る春の雪を詠んだ句もあります。

  春の雪青菜をゆでてゐたる間も  細見綾子

みなさん、どんな春の雪を詠んで下さるのか、楽しみ。

自由題はありません。その代わり、句会当日に席題を出します。
その場で一句詠んで下さい。

  春の雪見見えし人の懐かしき  遅足

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アンデスへ飛ぶ  鳥野

2013年02月12日 | Weblog

 ・ 岩山を駆け上がりたる山羊の爪 楽器
   となりてアンデスの音

岩山、山羊、楽器、そして結びは「音」・・・。
作者は松田宏二、若いのです。

選者の小島ゆかりが「想像力の豊かさが、ア
ンデスの音をひびかせた」と評しているよう
に、抜群の感性。

句集<そして>のあとがきに、たしか「間もな
く古希」と書いておられましたが、どうしてど
うして、思いは遠く遠くアンデスへ。
南米の太平洋沿い、延長9000キロの大山脈。
そこに棲む有蹄類の爪音。
読み返すうちに、コンドルの羽音までもが、聞
こえるようでした。

 今回もまた、松田宗匠の入選歌の紹介になり
 ました。
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水仙の暗き客間の匂ひかな   狗子

2013年02月11日 | Weblog
訪れる人も途絶えた静寂の部屋に一きわの香、と鳥野さん。

大切な来客。床の間に水仙を飾って迎えます。
お話も終ってお客さんは帰っていきました。
夜になって、ふと水仙の香が暗い客間から・・・
どんな来客で、どんな用事だったのでしょうか。
水仙の香が読者の想像を刺激します。

                 遅足


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水仙花小首かしげて呟きぬ    智恵

2013年02月10日 | Weblog
有名な越前海岸の水仙も開花が一ヶ月ほど遅れたそうです。
我が家の庭の水仙もようやく花を開き始めました。
すっくと立った茎に細い首。
その上に二輪から三輪の花が小首を傾けています。

古代中国では「仙人は、天には天仙、地には地仙、水には水仙が
いる」と考えたそうです。
水仙は、水に棲む仙人のこと。
水辺で咲く水仙花を仙人にたとえた命名でしょう。

小首をかしげる仙人の姿も面白いかもしれませんね。
一体、何をぶつぶつ言っているのでしょうか。

                     遅足


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水仙のつよき意志持つ人かなし    能登

2013年02月09日 | Weblog
凛と咲く水仙。その強さに辟易することも有って、と鳥野さん。

中学の同級生で水仙のように清冽可憐、しかも、
しなやかで強い娘がいたような気がしています。
秘かにあこがれていました。
記憶がぼやけて美化しすぎているかも知れません、と作者。

NHK大河ドラマ「八重の桜」の主人公、凛とした女性の見本のようです。
私は、北国の女性をイメージしました。
その強さを、かなし、と言ったところに作者の思いがあるようです。

                        遅足



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七十にならば見ゆべし牡丹の根   中尾寿美子

2013年02月08日 | Weblog
齢を重ねることはマイナスばかりでもないようです。
人の裏表、ものごとの裏などが見えてきます。
この句、目の前に美しく咲く牡丹を見ながら
その花を支える根まで見えてくる、と詠っています。

      

私も遂に今日、70歳になりました。
60歳の時よりは素直に迎えることが出来ました。
モノゴコロがついて半世紀は前のめりに生きてきました。
60歳でも、まだその勢いが残っていて
スローダウンするのに、ほぼ10年かかった気がします。

  七十の春を愚かに重ねけり    

愚にかえる。一日一日を子供のように生きる。
そんな過ごし方がしたいと思っています。

                    遅足


                     

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背守り   麗

2013年02月07日 | Weblog
私が最近よく読んでいる本は松浦弥太郎という同世代の男性の本。

「暮らしの手帖」の編集長であり本屋さんを東京で経営している方です。
その松浦さんがNHKのラジオにレギュラーで出ていることを知り、先日聞いてみました。

そのラジオ番組で話されていた日本古来?の風習で「背守り」という刺繍。
背中から忍び寄る魔物から幼子を守るために 産着など
子供の着物の背に縫い付けた小さなおまじないの刺繍です。コウモリとかトンボとかあるそうです。

水の事故から守るために糸がたれさがっており、いざという時に引っ張るというおまじないも紹介されていました。
子供が無事に育つようにという母親の愛が感じられるお話でした。

松浦さんの文体は優しくいつでもどこからでも読め毎日を丁寧に生きようという気分にさせてくれる本です。

ちなみにラジオ番組名は「かれんスタイル」。桐島かれんさんと一緒に出ていて今夜
20時5分からの放送です。
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人知れず覚悟決めたる野水仙     郁子

2013年02月06日 | Weblog
一人で決めた覚悟。いったいどんな覚悟なのか?
秘めたものがあるようです。
そして、それは水仙の覚悟でもあるのでしょう。
この水仙の花は群生ではなく、孤高というイメージ。

現在放送中のNHKの朝ドラ。
そのなかでキーワードにように出てくるセリフ。
「女性があきらめたら世の中はよくならない」

水仙の花に託した思いをどう読み取るのか?
読者に託されています。
                 遅足

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鬼の嘆き   鳥野

2013年02月05日 | Weblog
2月3日は節分。「鬼は外」の掛け声とともに、
鬼が主役の夜でした。ところで、「鬼とは」。

京都府福知山市大江町の「日本の鬼の交流博物館」
を訪ねた日のことを思い出します。
そこには、鬼に関する資料が大集合。
伝説、民俗、芸能、絵画、鬼瓦・・・、あらゆる
鬼が集まっていました。

そしてそこは、鬼の悲哀の里。故なくして妖怪に、
非道者にと貶められたオニ。果ては騙し討ちにさ
れた酒呑童子の嘆きも聞こえてきます。

唯一、吉野山の金峰山寺は、豆に追われた鬼たち
を迎え入れる心暖かな寺。「福はうち、鬼もうち」
と唱えて、灯の宴を開いています。
鬼どもも、どんなにか安堵することでしょう。

 ・ 大江の里は人みな温し千年を鬼の悲哀と
   共に棲み来て

 ・ 酒呑童子の旨酒に酔う大江の夜 鬼よ訪
   い来よ連れ立ち行かな
  
 ・ 豆に追われし鬼ども集いて宴する金峰山
   寺の灯よ明くあれ
                 鳥野
   




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風は聴く水仙香る夜の道    えみ

2013年02月04日 | Weblog
夜です。水仙の香のする道。
立ち話をしているのでしょうか?
聞かれてはならない話を風だけが聴いています。

小説の冒頭にそのまま使えそうな景を詠んでいます。
香りを聞く、という表現を裏に潜ませた見事な句です。

                 遅足



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水仙と笑み交わすかに道祖神    立雄

2013年02月03日 | Weblog
安曇野の道祖神を詠んだ句だそうです。
安曇野市には、約400体の石像・道祖神があり、
市町村単位での数が日本一だとか。
道祖神は、村の守り神として道の辻や三叉路に立っています。
男女が遠慮がちに寄り添って立つもの、何気なく手を握るもの、
堂々と腕を組むもの、愛をこめてぐっと抱きしめるものなど・・・

男女の神様と近くに咲いている水仙の花。
お互いに笑みを交わしているようです、と作者。

              

今日は節分。恵方巻を食べようかと思っています。
これまでは恵方巻というコトバになじんでいませんでしたが、
いまは受け入れてしまっている自分を発見して・・・(笑)
明日は立春。もう春はそこまで来ています。
                      遅足





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寺を出て釜揚げもちの店の前   遅足

2013年02月02日 | Weblog
先日、底冷えのする京都に行ってきました。
釜揚げもちとは、小さな丸餅をあつあつの釜揚げでいただくもの。
味付けは、つぶあん、きなこ、抹茶、甘いおしょうゆダレ。
いろいろな味が楽しめます。
このお店、俵屋吉富。江戸時代からのお菓子屋さんだそうです。

お寺とは、俵屋さんの目の前の宝鏡寺です。
この寺は、百々御所(どどのごしょ)とも呼ばれた尼門跡寺院。
寺へ入った皇女へ御所から人形が贈られ、多くの人形が残っています。
そのため人形の寺として知られるようになりました。

毎年、春と秋に一般公開されていますが、今回は冬の特別公開でした。
ボランティアの方たちが説明をしてくださいました。
そのなかに「おものみ」という格子窓があったというお話。
外出もままならない皇女が、外の世界をみるために
特別につくった窓だそうです。
皇室の女性たちは、不自由な生活を強いられていたのかな?
今はどうかな・・・?

温かな釜揚げもちを食べながら、ふと思ったりした旅でした。



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水仙や祠の奥に日のとどき   晴代

2013年02月01日 | Weblog
普段、気にも留めない小さな祠。昼下がりの日が差し込んでいます。
ふと見ると水仙の花が。お供え物でしょうか?
あるいは、近くに咲いているのでしょうか?
「祠の奥に日がとどき」、という発見の句ですね。

私は、朝の光が祠に差し込み、その光に乗って
神様が姿を現そうとしているのか・・・と読んでしまいました。
どんな神様でしょう?
八百万の神の棲む日本。
水仙の花のような神様もいらっしゃると良いですね。

                      遅足



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