政と源 | |
クリエーター情報なし | |
集英社 |
【一口紹介】
◆内容紹介◆
簪職人の源二郎と元銀行員の国政は、ふたり合わせて146歳の幼なじみ。弟子の徹平と賑やかな生活をおくる源二郎と、男やもめの国政を中心にまき起こる、人情味豊かで心温まる事件の数々。
下町を舞台に繰り広げられる人情物語。三浦しをん、新境地!
◆内容(「BOOK」データベースより)◆
東京都墨田区Y町。つまみ簪職人・源二郎の弟子である徹平(元ヤン)の様子がおかしい。どうやら、昔の不良仲間に強請られたためらしい。それを知った源二郎は、幼なじみの国政とともにひと肌脱ぐことにするが―。弟子の徹平と賑やかに暮らす源。妻子と別居しひとり寂しく暮らす国政。ソリが合わないはずなのに、なぜか良いコンビ。そんなふたりが巻き起こす、ハチャメチャで痛快だけど、どこか心温まる人情譚!
【読んだ理由】
久しぶりの三浦しをん作品。
【印象に残った一行】
それにしても老後というのはすることがない。
俺の人生なんだったんだろう。家族のため、組織のため何十年も働き、七十を過ぎたいま、残されたのは十枚に満たない年賀状(しかもお義理か)
俺はすべて手書きで、三十枚は書いたとうのに。
花も嵐も踏み越えれば、いずれ平穏なる老境に達せるものと思い込んでいたのに、国政は未だ暴風雨のただなかにたたずんでいる。
輝ける青春はとうに思い出と化し、国政の記憶の彼方で、遠雷のごとくかすかに鳴り響くばかりだった。
ゴールや正解がないから、終わりもない。幸せを求める気持ち。自分がしてきたこと。それらに思いを馳せては死ぬまでひたすら生きる、その時間を永遠というのかもしれない。そう思った。
Y町のだれもが、それぞれの永遠を生きる。国政や源二郎が水路の彼方に消えたあとも、徹平が、マミが、やがて生まれるかもしれない徹平とマミの子どもが、春がめぐり来るたびに桜を眺めるだろう。夏の花火も、秋のうろこ雲も、冬の川面も。
【コメント】
実にいい小説だ。私にとっては主人公は10歳は年上で、近未来だ。しかし彼らのようなコンビになる友達はいない。
私と同年齢の御仁にはお奨め。またお互い配偶者を大切にしませう。