日本男道記

ある日本男子の生き様

徒然草 第六十八段

2020年10月06日 | 徒然草を読む


【原文】  
筑紫に、なにがしの押領使などいふやうなる者のありけるが、土大根を万にいみじき薬とて、朝ごとに二ふたつづゝ焼ききて食ひける事、年久しくなりぬ。
 或る時、館の内に人もなかりける隙をはかりて、敵襲ひ来りて、囲み攻めけるに、館の内に兵二人出で来て、命を惜しまず戦ひて、皆追ひ返してンげり。いと不思議に覚えて、「日比にものし給ふとも見ぬ人々の、かく戦し給ふは、いかなる人ぞ」と問ひければ、「年来頼みて、朝な朝な召ししつるらに候」と言ひて、失せにけり。 
深く信を致しぬれば、かゝる徳もありけるにこそ。

【現代語訳】
  九州に、何とかと言う兵隊の元締めがいた。彼は、「大根を万病の薬である」と信じて疑わず、毎朝二本ずつ焼いて食べることを長年の習慣にしてきた。
 ある日、警備の留守を見計らうように敵が館を襲撃し、彼を包囲してしまった。すると、どうしたことか、見知らぬ兵隊が二人現れて、捨て身の体勢で戦い、敵を撃退してくれた。とても不思議に思って「お見かけしないお顔ですが、このように戦って頂きまして、一体どちらさんですか?」と尋ねると「あなたがいつも信じて疑わず毎朝、食べていた大根でございます」とだけ答えて去っていった。
 どんなことでも深く信じてさえいれば、こんなラッキーなことがあるのかも知れない。 

◆鎌倉末期の随筆。吉田兼好著。上下2巻,244段からなる。1317年(文保1)から1331年(元弘1)の間に成立したか。その間,幾つかのまとまった段が少しずつ執筆され,それが編集されて現在見るような形態になったと考えられる。それらを通じて一貫した筋はなく,連歌的ともいうべき配列方法がとられている。形式は《枕草子》を模倣しているが,内容は,作者の見聞談,感想,実用知識,有職の心得など多彩であり,仏教の厭世思想を根底にもち,人生論的色彩を濃くしている。

Daily Vocabulary(2020/10/06)

2020年10月06日 | Daily Vocabulary
26056.hopping(すごく忙しい、活発な)
The restaurant was really hopping last night.
26057.watch out(気を付ける、警戒する)used to tell someone to be careful 
Watch out hole in the road !
26058.humanities(人文科学、文系) subjects of study such as literature, history, or art, rather than science or mathematics 
Would you rather study the humanities or the the sciences?
26059.hold in(出ないように中に抑えておく)
couldn't hold in my laughter.
26060.hold  on(接触したまま、つながった状態にする) 
Hold on to the railing when you go down the stairs.

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