【内容】
かつて"からゆきさん"と呼ばれた女性たちがいたーー。歴史に埋もれた女性たちの声を刻みこむ「底辺女性史」の名著、新装決定版!
「からゆきさんと呼ばれる海外売春婦についての研究とも紀行ともつかないこの書物は、わたしが、この老からゆきさんと三週間あまりひとつ家に生活した記録であり、ふたりの偶然のめぐり逢いが決定的な契機となっている」(プロローグより)
“からゆきさん"―ー戦前の日本で十歳に満たない少女たちが海外に身を売られ、南方の娼館で働かされていた。そうした女性たちの過酷な生活と無惨な境涯を、天草で出会ったおサキさんから詳細に聞き取り綴った、底辺女性史の名著新装版。東南アジアに散った女性たちの足跡をたどるルポルタージュ『サンダカンの墓』も収録
大宅壮一ノンフィクション賞受賞作
かつて"からゆきさん"と呼ばれた女性たちがいたーー。歴史に埋もれた女性たちの声を刻みこむ「底辺女性史」の名著、新装決定版!
「からゆきさんと呼ばれる海外売春婦についての研究とも紀行ともつかないこの書物は、わたしが、この老からゆきさんと三週間あまりひとつ家に生活した記録であり、ふたりの偶然のめぐり逢いが決定的な契機となっている」(プロローグより)
“からゆきさん"―ー戦前の日本で十歳に満たない少女たちが海外に身を売られ、南方の娼館で働かされていた。そうした女性たちの過酷な生活と無惨な境涯を、天草で出会ったおサキさんから詳細に聞き取り綴った、底辺女性史の名著新装版。東南アジアに散った女性たちの足跡をたどるルポルタージュ『サンダカンの墓』も収録
大宅壮一ノンフィクション賞受賞作
【著者】
山崎/朋子
1932(昭和7)年生まれ。福井県出身。福井大学学芸部二部修了後、小学校教師等を経て女性史研究に入る。1973年、『サンダカン八番娼館』(大宅壮一ノンフィクション賞受賞)で世評を得、以後「底辺女性史」を掘り起こす作品に力をこめた。海外売春婦より「青鞜」の評論家となった山田わかの人生をたどった『あめゆきさんの歌』、戦争の悲惨を描いた『鳴潮のかなたに』、『引き裂かれた人生』など。青春期、朝鮮青年との別れの体験から“アジア女性交流史”にも心を寄せ、『愛と鮮血―アジア女性交流史』『朝陽門外の虹―崇貞女学校の人びと』を書いている。自伝に『サンダカンまで』。児童文化研究家の夫・上笙一郎との共著に『日本の幼稚園』(毎日出版文化賞)『光ほのかなれども』(日本保育学会賞)がある
【読んだ理由】
大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。
【最も印象に残った一行】
「けどな、おまえ、人にはその人その人の都合ちゅうもんがある。話して良かことなら、わざわざ訊かんでも自分から話しとるじゃろうし、当人が話さんのは、話せんわけがあるからじゃ。お前が何も話さんものを、どうして、他人のうちが訊いてもよかもんかね」
山崎/朋子
1932(昭和7)年生まれ。福井県出身。福井大学学芸部二部修了後、小学校教師等を経て女性史研究に入る。1973年、『サンダカン八番娼館』(大宅壮一ノンフィクション賞受賞)で世評を得、以後「底辺女性史」を掘り起こす作品に力をこめた。海外売春婦より「青鞜」の評論家となった山田わかの人生をたどった『あめゆきさんの歌』、戦争の悲惨を描いた『鳴潮のかなたに』、『引き裂かれた人生』など。青春期、朝鮮青年との別れの体験から“アジア女性交流史”にも心を寄せ、『愛と鮮血―アジア女性交流史』『朝陽門外の虹―崇貞女学校の人びと』を書いている。自伝に『サンダカンまで』。児童文化研究家の夫・上笙一郎との共著に『日本の幼稚園』(毎日出版文化賞)『光ほのかなれども』(日本保育学会賞)がある
【読んだ理由】
大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。
【最も印象に残った一行】
「けどな、おまえ、人にはその人その人の都合ちゅうもんがある。話して良かことなら、わざわざ訊かんでも自分から話しとるじゃろうし、当人が話さんのは、話せんわけがあるからじゃ。お前が何も話さんものを、どうして、他人のうちが訊いてもよかもんかね」
たしかに、人間というものは、話して解決の道の見つかりそうな悩みならほかの人に打ち開けることができるが、解決の方法の見つからぬ苦悩や秘密であればれあるほど、他人に話せないのが普通である。軽率で思いやりのない人間が、人が誰にもうち明けようとしない苦悩や秘密をいだいていれば,何とかしてそれを聞き出そうするようなことが多いが、思慮深く思いやりのある人間は、そういう悩みをかかえた人を当人の気持ちをそのままそっとしておき、何もしてやることができず、その人を遠くからただ見守らざる得ない苦しみを、自らに引き受けるのだ。そしてそのことは、かって、誰にも話して癒えることのない苦悩を抱いたことのあるこのわたしが誰よりも知っている。
【コメント】
実は一回目はかなり以前に読んでいる。
栗原小巻さんが山崎さんを演じた映画も今回見直した。元からゆきさんの老婆を演じ、ベルリン国際映画祭最優秀女優賞や芸術選奨文部大臣賞などを受賞した 田中絹代さんの演技も素晴らしかった。
山崎さん4年前に糖尿病で亡くなっていたことを知らなかった。