拝観式で使うために準備していたしめ縄を燃やす、注進奉告祭の参列者ら=22日、諏訪市
諏訪湖を覆った氷が割れ、せり上がる「御神渡(おみわた)り」の判定や記録を担う諏訪市の八剣神社は22日、注進奉告祭を同神社で開いた。
宮坂清宮司(69)は今季、2季連続で御神渡りのない「明けの海」だったことを神前で告げた。
宮坂宮司が拝殿で「今年の諏訪の湖は全面結氷もせず、小波打ち寄する明けの海にて御渡(みわた)りござなく候なり」と注進状を読み上げた。
御神渡りの拝観式で使う予定だったしめ縄を燃やす「おたき上げ」もした。
同神社の記録によると、室町時代の1443(嘉吉3)年から今年まで、御神渡りのない明けの海は73回(不明の年は除く)。
平成以降、その頻度は増加傾向だ。宮坂宮司は「今年は本格的な冬の訪れを感じないまま春を迎える。複雑な気持ちだ」と話した。
奉告祭の後、総代らは諏訪大社上社本宮に出向き、注進状を奉納した。
(2月23日)
御神渡り「明けの海」 八剱神社で注進奉告祭 長野日報 2020年2月23日 6時00分
諏訪湖面に張った氷がせり上がる御神渡り(御渡り)の判定と神事をつかさどる八剱神社(諏訪市小和田)で22日、今季の結果を神前に告げる注進奉告祭があった。
総代や古役ら約40人が参加。令和最初の今冬は、御神渡りが出現しない「明けの海」となったことを奉告した。
神事で宮坂清宮司(69)は「全面結氷もせず、小波打ち寄する明けの海にて、御渡りござなくそうろう」と読み上げた。
神事後に、御神渡りの出現時に氷上で行う「拝観式」で総代らが肩に掛ける予定だったしめ縄70本を焚き上げた。
総代らは真剣な表情で炎を見つめていた。
平成に入ってから明けの海は22回目。2季連続で御神渡りが出現しなかった。宮坂宮司は「過去の記録を見ると今冬は平成18年末から
19年にかけての湖面の状況と似ている」とし、「この年は猛暑で雨が少なく、地震もあった。どうか穏やかな年であってほしい」と願った。
宮坂平馬大総代(66)は「ほとんど凍らない状況で氷の厚みを測るまでに至らなかった。温暖化が進んでいることを実感した」と声を落とした。
奉告祭に続き、結果を記した注進状を諏訪大社に奉納した。大社を通して宮内庁に言上、気象庁に報告される。
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