♪村木元厚生労働省局長の公判を、郵政不正事件に引き続いて本ブログでもフォローしてきたが、その中で村木さんという土佐女が持っている、 個人の自立心の勁さと自尊の思いの高さ(坂本乙女、西原理恵子etcのような)を検察が見くびったことと、 裁判長をした横田という、従来にあまり見ない判事の存在の大きさを書いた記憶がある。 法廷の修羅場を多数踏んだ本物の弁護士であったことなども書かれていて面白い。村木事件を俯瞰して、全体を理解するに有用なレビューとしてお勧めします。 フロッピーディスク(FD)にあったデータを改竄していたことを報じた。 上村被告が偽造したとされる報告書の作成日付を元の日付から検察の主張と辻褄の合う日付に書き換えたという。 最終的な更新日時が異なることが判明したのだという。 大手情報セキュリティー会社の解析によると、上村被告が厚労省で使っていたパソコン以外のパソコンと専用ソフトを使って書き換えが行われた疑いがあるという。 また、朝日新聞の取材に応じた検察関係者は「主任検事から今年2月ごろ、『村木から上村への指示が6月上旬との見立てに合うよう、 インターネットから専用のソフトをダウンロードして最終更新日時を改ざんした』と聞いた」と述べたという。 検事側が証拠隠滅とはイメージが湧きにくいが、あり得ない話ではない。 公権力を行使する側をチェックする報道を行うことは、幾つかの面で特別扱いされている、報道機関に対する社会的な期待にも応えている。 判決が出て、大阪地検が控訴断念を決めた後が適切と見たのかも知れないが、たとえば民主党の代表選挙の前にこの問題が報じられていれば、 同選挙の大きな争点が、小沢一郎候補の「政治とカネ」の問題、検察審査会の結論による起訴の可能性、 であっただけに、選挙結果に大きな影響を与えていた可能性がある。朝日新聞は、「今夏」に材料を得ていたわけだから、微妙だ。 また、同紙は、改ざんに関わった可能性の大きな村木氏を担当した主任検事を「主任検事(43)」と匿名で報じている。 スクープの価値を損なうものではないが、検察にも気を遣った記事の書き方であるように読める。 検察としては、これを今回の担当者あるいは、大阪地検の特殊事例であるという印象を世間に持たせたいだろう。 メディアに対しては、そういった印象につながる情報を提供するだろうし、メディアも検察の意図を汲んだ報道を行う可能性がある。 取り調べのあり方や、公判で証言よりも取り調べの際の調書が重く見られがちな傾向など、司法手続きの仕組みや考え方を検討することが重要な問題だ。 担当検事個人、あるいは逆に検察全体がいいか悪いかを決めつけることは問題の解決にならない。 今回の問題で再び取り上げざるを得なくなるだろう。但し、この種の官僚組織(検察に限らず)が嫌う問題は、世論が一時的に盛り上がり、 政治家が大きく取り上げて「検討を指示する」と宣言するところまでは行っても、その後審議会等の議論に付されて時間を稼がれてうやむやになることが多い。 「いつ法案を提出するのですか?」、「総選挙のマニフェストに載っていたということは、検討したということではないのですか?」等々、具体的な動きを厳しく質問して貰いたい。 もちろん、上場会社ならインサイダー取引事件も可能性があるし、電車に乗れば強制わいせつ罪や迷惑防止条例違反のような「痴漢冤罪」の恐れもあるし、 殺人罪に問われることだって無いとは言えない。 また、検事は、自分のストーリーを実証する証拠を積み重ねるべく取り調べを行うだろうし、実証に好都合な表現で調書を作ろうとするだろう。 しかも、いつ釈放されるか分からないプレッシャーの中で行われるのだから、精神的には相当に大変だ。 「犯罪事実を自白すれば罪証隠滅の恐れが無くなるので、身柄拘束されないか、拘束されても早期に拘束を解かれるが、 犯罪事実を否認している限りは、身柄拘束される可能性が強くなり、否認を続ける限り身柄拘束が続くことになる」という仕組みであり、 これは捜査段階だけでなく「起訴された後も同様である」ということなのだ。 しかし「実際には広範囲に例外が認められており、否認事件でも供述調書が大きな役割を果たしている」という。公判では自白の任意性が問題になるが、 「公判で、取り調べを担当した警察官や検察官が取り調べの状況を証言することで、自白調書が証拠として採用される場合がほとんどである」という状況だ。 公務員として三十年間やってきたことについて信用を失うかどうかの問題なんです」と抗議したという。 自分自身と仕事に対するプライドを持ち続けたことで、プレッシャーに対抗し得たのだろう。 村木さんを担当した弘中弁護士は「検事が自分の好きな調書をまず作ってしまう。そこから交渉が始まるんだ。調書とはそういうものだ」、 「ここは公平な場ではなく、検事の土俵にいるんだ、と思いなさい」と教えてくれたという。 いい弁護士さんに当たったように思う。 もうそれしか目標を作りませんでした。私は、目標設定がわりと低くて、高望みはしないんですね」、起訴後について「やはり低い目標を設定していたことがよかったんでしょう。 (中略)それで決めた目標は、まず絶対に体調を崩さないこと。それから落ち込まないこと。もう目標はこれだけと決めて、あとはここで好きな本を読もう、と思いました」と述べている。 余計なことやミスをしたりすることを避ける事が重要だ。最も重要度の高い且つ「低い目標」を決めて、精神の揺れと消耗を少なくして戦う事が有効なのだと思う。 ビジネスでピンチに陥ったときにも、あるいはゴルフや将棋・囲碁のようなメンタルな要素が重要な勝負事にあっても、役に立つ心得ではないだろうか。 彼女の頑張りが果たした意味は、国民にとって小さくなかった。あとは、今回の事件を、単なる悪役捜しに終わらせるのではなく、刑事司法の「仕組みの改善」につなげることが大切だ。 外部の有識者を入れて検察組織のあり方を見直すため、法相の諮問機関として「検討会議」を近く設置すると発表した。 会議のメンバーや諮問する内容については「国会や党の議論など、いろんな意見を聞きたい」と述べた。 具体的な見直し項目や現在行われている検証の問題点などを「党の見解」としてまとめることで一致。 特捜部が捜査する事件の取り調べ可視化を「速やかに実現する」ことも盛り込まれる見通しだ。 座長を務める辻恵衆院議員によると、検察組織のあり方については取り調べ可視化のほか、特捜部のあり方について有識者からヒアリングをすることも検討。 法相が設置する「検討会議」に「党から提言する」とし、最高検が検証結果をとりまとめる前に意見を聞くとしている外部有識者の人選にも「党からも意見を言うべきだ」とした。 『田原総一郎×郷原信郎 緊急対談「検察の失墜」』全三回をどうぞ。 こちら |
2010年10月08日(金)
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