阿智胡地亭のShot日乗

日乗は日記。日々の生活と世間の事象記録や写真や書き物などなんでも。
  1942年生まれが東京都江戸川区から。

床屋さんと話すのはいつも面白い

2022年12月23日 | 「過去の非日乗&Shot日乗」リターンズ
2010年07月01日(木)   「阿智胡地亭の非日乗」掲載

昨日は、家から30分歩いて2号線に面した床屋さんに行った。

この床屋さんはこれで3回目だが、それまで行っていた阪神御影駅近くの床屋より仕事が丁寧なので切り替えた。

開店1年の一人床屋なのでさりげなく話を振ってきて、トークでも固定客を掴もうという努力を感じる。

この日の話題は、理髪店の組合に加入した場合の料金や、ここ30年ほどの日本の散髪料金の変遷などだった。

昨夜のサッカーの話が出て、私のほうから「そうそう岡田監督の実家は布施かあっちの方の大きな理髪店や」と言うと、

「そうですか、昔は代々の床屋さんは大きな店を自宅でやってました。それが出来たんですわ。」と。

  彼の話では、「むかしは床屋さんをやろと思たら組合に入らなんだら開業出来ませんねん。

組合に入ると料金は協定料金で3500円くらいになって、その値段やったら結婚して子供学校やって、家のローンはろて店ちゃんとやれました。

いまは、組合に入らん低料金のうちのような店が増えて、古くからの理髪店は大変ですわ」

「お客さんわかりはるやろけど、技術は3500円でも1600円でも変わらんでしょ、家賃や光熱費や人件費の違いだけですわ」

「私も5ヶ月の子ォがおるさかい、稼がなあかん。お客さんギョウサン来てもらうため組合に入らんと、料金抑えてるんですわ。

家族養うんにもう必死ですわ」「今日は忙しいほうやけど、ひまなときは暇でねえ、いつまでやっていけるかと思うときがありますねん」

彼は出来るだけ客を待たせないように、お客に電話予約を頼んでいる。

お客は近所の小中学生から爺さんや時に短髪の婆さんも。

 勿論私のような粘菌族も多い。このあたりは震災後中級マンションやアパートなどの集合住宅街になったので客が見込めると思ったのと、

隣り近所に個人医院が多いので、通院のついでに散髪する客も多いと言う。

この日は午前中に電話を入れたら午後の3時半以降しかあいていなかった。

三十代半ばの彼は、長年チエーン店で働いていたそうだが若者あいてだけのカットに飽きたのと、

独立の夢を持っていたので休日に不動産屋を回って、理髪店の貸屋を探してきたのだそうだ。

 前の人が押せ押せだったので、椅子に座ったらすぐにカットにかかったが「別に急がへんから、一息入れてもろてええよ」と言うと

遠慮がちに、「スミマセン、ほな、ちょっと」とお茶を飲んで一休みしてからゆっくり頭にかかってくれた。この日は朝からずっと立ち通しだったらしい。

 たまたま、店の前を歩いて、どんなかなとやってもらったのが始まりだが、こういうヤル気のある職人さんの店だったのはありがたい。

勤めていたときは、長らく大阪の決まった店の決まった人にやってもらって、その人が辞めたあとも決まった人にやってもらっていた。

ここ数年は大阪まで散髪に行くのがおっくうになって、近所の床屋さんに飛び込みであちこち3軒ほど入ったが、もひとつぴたっと来なかった。

今度のこの店にはしばらく通いそうだ。


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