これから楽しむのは、イタリアのピアノ奏者、ルイージ・パロンビによるニ短調の協奏曲(DYNAMIC CDS7891)。この曲が収録されているのは、「Fake Bach」(2019年録音)というCD(副題は「A journey into Bach arrangements」)。CDには副題にあるように、グノー、サン・サーンスらによる、バッハ作品の編曲が収録されています。そして、それだけでなく、バッハによる編曲も収録されており、ここできくのもそのひとつです。原曲は、アレッサンドロ・マルチェッロの有名なオーボエ協奏曲(第2楽章が映画「ベニスの愛」で使用)で、これをバッハがクラヴィーア独奏のために編曲したもの。パロンビの演奏は、両端楽章と中間楽章をくっきり対比させたもので、中間額のアダージョは、ピアノならではのゆっくりしたテンポで、とても耽美的です。