今夜きくのは、中丸まどかの「Wachet auf」(ETCETERA KTC 1735)です。アルバムは2022年の録音。収録されているのは、レギュラーできいている「Sechs Sonaten für Violine und obligates Cembalo」で言及した、ワウター・ドゥコーニンク作曲・編曲の音楽で、作曲はピリオド・アプローチによるものです。アルバム名は、無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ「目覚めよ、とわれらに呼ばわる物見らの声」によっており、ここではこのパルティータのみを楽しみます。
全4楽章からなるコラール・パルティータとでもいうべきこの曲は、フィーリップ・ニコライの有名なコラール旋律にもとづいたもの。2011年から2014年にかけて作曲され、中丸に献呈されたとのことです。パルティータはコラージュ的なところのある多面的な音楽で、とてもおもしろくきくことができます。収録曲のなかでは瀧廉太郎の「花」にもとづく「すみだの花」(この曲のみチェンバロとヴァイオリン)もすごく楽しめます。こちらは時代をクロスオーバーしており、バロックと明治が違和感なく共存しています。