昼食のあと、これから午後からの外出までに1時間ばかり時間があります。今日はこの時間に、先日きいたストックホルム・バロック管弦楽団による、過激な管弦楽組曲つながりで、マロック指揮のボストン・アーリー・ミュージック・ソロイスツの演奏による、ハ長調の管弦楽組曲を楽しむことにします。
1989年の録音なので、かれこれ20年ほどまえの演奏ですが、これのどこが過激かとえいえば、そのテンポ。序曲がはじまるやいなや、CDプレーヤーが誤動作したのかと思うほどの速いテンポで音楽が鳴り響きます。もっとも、速いのは序曲の両端の部分で、中間部はさほどでもありません。
舞曲でもテンポの速めな演奏もありますが、テンポ以外は過激さはなく、とても爽やかで品もあり、ストックホルム・バロック管弦楽団のような、ガリガリ、ゴリゴリとしたところはありません。また、通奏低音以外はパート1人の演奏なので、響きに厚みはありませんが、すっきりききやすい演奏です。
さらに、この演奏を特徴づけているのが舞曲におけるくり返し。たとえば、ガヴォット(以下Gと略)では、G1[AABB]→G2[AABB]→G1[AB]というふうに演奏されることが多いのですが、マロックたちは、ダ・カーポ後のG1も[AABB]とくり返します。解説書によると、このくり返しは、パート1人の演奏とともに世界初とのことです。
[追記]ガヴォット(以下Gと略)におけるダ・カーポ後のくり返しについて、補足のため、楽譜上の構造について以下に追記しておきます。
フランス語で「交互に」(alternativement)と指示された2つのGは、G1のAとB、G2のAとBがそれぞれリピートされるようになっていて、G2のおわりに、G1にダ・カーポするよう指示があります。図示すれば以下のようになります。
||:G1A:||:G1B:|| ||:G2A:||:G2B:|| G1 da capo
「交互に」と指示された、メヌエット、ブーレー、パスピエも、ガヴォット同様の構造で、マロックたちは、これももちろん、ダ・カーポ後くり返しています。
CD : 3-7037-2H1(KOCH)