カール・ハインリヒ・ビーリッツ著、松山與志雄訳の『教会暦 祝祭日の歴史と現在』(教文館)は、「キリスト教祝祭暦の成立と解釈、現在の形態と礼拝の守り方について、最小限度のしかし詳細な情報を得たいと望んでいる読者のために」書かれた本です。もうしばらくすると降誕節となり、あらたな教会暦がはじまるわけですが、「非キリスト教徒」にとっては、教会暦と日常生活は乖離しており、なかなかり理解しづらいものです。祝祭日の名称、聖書的背景、歴史、意義、祝祭礼拝、慣習について詳述されており、バッハをふくめたキリスト教音楽をきくさいに、じつに有益な参考書といえると思います。すでに紹介した『説教者としてのJ.S.バッハ』と同じで、表をのぞけば図版のたぐいはなく、多少の予備知識がないと、通読するにはつらいかもしれません。なお、引用はすべて著者の序文からです。