柳澤 桂子 (著)
この前に読んだ、『魂振り: 琉球文化・芸術論 [単行本]
高良 勉 (たから・べん) (著) 』の「文化遺伝子論」に興味を持ち、たまたま見かけて、つられて借りた一冊。
小説の筋はほとんど関係がない?という意味で夏目漱石の「草枕」を想像した。
その冒頭の有名な「智に働けば角が立つ。情に掉させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生て画が出来る。」の部分も本書の芸術論と関係なくもない。
(草枕 つづき) 人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。やはり向う三軒両隣りょうどなりにちらちらするただの人である。ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。あれば人でなしの国へ行くばかりだ。人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。 越す事のならぬ世が住みにくければ、住みにくい所をどれほどか、寛容くつろげて、束つかの間
まの命を、束の間でも住みよくせねばならぬ。ここに詩人という天職が出来て、ここに画家という使命が降くだる。あらゆる芸術の士は人の世を長閑のどかにし、人の心を豊かにするが故ゆえに尊たっとい。(つづきを読む)青空文庫
また、漱石の初期短編『趣味の遺伝』(『倫敦塔・幻影の盾』 新潮社 1952年に収録)にも通じるものがある。
「36億年のDNAの記憶」の36億年は地球上の生命の誕生からで、人類の起源(諸説あるが1400万年~500万年前 P38)より長い。
wikipedia 集合的無意識(しゅうごうてきむいしき、ドイツ語:Kollektives Unbewusstes英語:Collective unconscious)は、カール・グスタフ・ユングが提唱した分析心理学における中心概念であり、人間の無意識の深層に存在する、個人の経験を越えた先天的な構造領域である。普遍的無意識(ふへんてきむいしき)とも呼ぶ。個人的無意識の対語としてあり、ユングはジークムント・フロイトの精神分析学では説明の付かない深層心理の力動を説明するため、この無意識領域を提唱した。
「文化遺伝子論」は「伝統文化」という概念がもつ保守性や地域性から開放され、より長い時間的尺度から琉球弧の文化を考えようとするものだと理解したが、それからはだいぶ迷い込んだような気がする。ま、しかし関連がないわけではない。
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amazon 出版社/著者からの内容紹介
「自己」とは36億年のDNAの記憶である。愛するとは、感動するとは、神とは? 脳や遺伝子のしくみ、進化の過程から、精神世界まで、「人間とは何か」を注目の生命科学者がわかりやすく解説する。
内容(「BOOK」データベースより)
「ついに私は『本来の自己』とは、36億年の歴史を背負ったDNAであると考えるに至った」(はじめに)分子レベルで研究が進む生命科学の中で、“私”とは誰なのか?愛や感動、神とは何なのか?DNAの仕組みと精神のかかわりを、ある男女の出会いと語らいを通して、いきいきと解き明かす。長く闘病生活を続ける女性科学者が見つめた、「いのち」がわかる一冊。
登録情報
文庫: 248ページ
出版社: 集英社 (2000/3/17)
言語 日本語
ISBN-10: 4087471799
ISBN-13: 978-4087471793
発売日: 2000/3/17
内容(「MARC」データベースより)
神、愛、悟り…36億年のいのちの流れは、私たちをどこへ運ぼうとするのか。小説のスタイルをとりながら、生命の進化と意識のゆくえを、生命科学の視点でやさしく解説する。 --このテキストは、 単行本 版に関連付けられています。
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意識の進化とDNA 価格:¥ 540(税込) 発売日:2000-03-17 |
倫敦塔・幻影(まぼろし)の盾 他5篇 (岩波文庫) 価格:¥ 525(税込) 発売日:1990-04-16 |
草枕 (新潮文庫) 価格:¥ 420(税込) 発売日:2005-09 |