朝のうち暫く降り続く雪の様子を見ていると、このままお昼まで降り続けば、ずいぶん積もるだろうと思いながら時々窓から外を見ていた。大きい牡丹雪なので、空を見ていると目が回るような感覚になる。 そんな時空にぼんやりとした形の太陽が雪のカーテンの向こうに見えた。
黒子のような点々は落ちてくる雪である。降ってくるのでなく落ちてくると表現したほうが当たっているような雪だった。
太陽の影が見えたので、これ以上降らないだろうと、すぐカメラを持って栄山寺へ向かった。冬タイヤの装着のない私の車が走れるのだから、道路には全く積雪はなかった。その状態を見て喜んでいいのやら、悔しがっていいのやら、結局栄山寺の境内には、花木に掴まっているような淡雪があるばかりで、思ったような雪景色、にはお目にかかれなかった。
苔むした石仏に、人の思いの分だけ、新しいよだれ掛けが掛かっている。一針一針どんな思いを込めて縫っているのだろうかと鮮やかな赤が、雪を受けて眩い。
重文・ご本尊 薬師如来坐像が祀られている本堂。 東側の屋根の雪は、すでに消えていたので、雪の残る西側から撮影した。
国宝八角円堂を周りの植え込みの低木に、残っている雪を入れて、被写体にした。
八角円堂の屋根の雪も、東のほうには殆ど残っていなかった。 なんだか春の淡雪の栄山寺といった感じになってしまったが、確かに今朝の牡丹雪は、『春の淡雪』にちがいなかった。
参道の赤い南天と、黄色いソシンロウバイが山里の、古刹にも春の訪れを知らせる唯一の色彩のようであった。