馬見丘陵公園には、パンフレットによると8つの古墳がある。公園そのものが古墳からなっているようなもので、公園内を歩くとなだらかな起伏のある古墳が、眼に優しく、足に優しく、ゆっくりと歩いても、早足で歩いても、少しも疲れない。
この日、今まで余り気にとめていなかった、古墳の緩やかな斜面に、裸木の影がまるで墨絵のように描かれているのに興味を持った。これはすっかり落葉のしたこの時期にだけ見られる自然の画布である。
太陽が西に低くなった時刻だったので、なおさら古墳に描かれる影絵は、散策道を越えて向こうの古墳にまで伸びているのが面白い。
木の芽が伸びて葉や、花が姿を現すまでの、太陽の手助けで楽しめるこんな風景が、古墳の公園を歩く時には、あったのだとなんだか嬉しくなって弾んだ気持ちで歩む。
一つとして同じでない古墳の画布を、もう少し楽しんで歩くのもいい。