空中に浮かんだペンダントのようなのは、花の盛りの時は総称がクレマチスである。
花びらが6つあるのがテッセンで、8枚のがカザグルマと呼ばれているが、中には7枚のもあるそうだから、総称のクレマチスというほうの呼び方をしている。
白、紫、赤、もっといろんな彩の美しいクレマチスも、季節が終われば子孫を残すための、産毛のような種になる。風に吹かれてクレマチスの旅が始まるのだが、このようにいつまでも種になってもカザグルマの姿の、面白さを見せてくれるのもある。
花の少ないこの季節に、山の中で見た、かつては華麗な色彩を誇って咲いていたクレマチスが、今種のカザグルマが興味を惹く。太陽の光に銀色の糸を纏っているのが、誇らしげに見える。
季節外れの出迎えは、カザグルマだけではなかった。
これは、山の中の遅い春に先ず咲いた、マンサクの花。黄色の天井の下で、これもやはり黄色い春の妖精が、カザグルマと同居していた。
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