スプリング・エフェメラル(Spring ephemeral)は、春先に花をつけ、夏まで葉をつけると、あとは地下で過ごす一連の草花の総称。春植物ともいう。直訳すると「 春の儚いもの」「春の短い命」というような意味で、「春の妖精」とも呼ばれる。
そんなカタクリの花の虜になって、毎年どこかでこの花を見るのが楽しみである。森野旧薬園は、万葉植物学者の尾上ツヤ子先生に案内してもらって行ったのが初めてだったが、以来、又兵衛桜の頃には、立ち寄ることにしているが、カタクリと桜と同時期になることは難しい。
宇陀市の文化財史跡の森野旧薬園では、カタクリの花が咲き出しているとの知らせを貰って、昨日(24日日曜日)お昼前に家を出た。曇っていた空に青空がどんどん広がってきたのは、にこやかな花とで会える大きな期待が持てた。
森野旧薬園は、民間の薬草園としては日本最古のもので大正15年に国の史跡に指定されている。園内の裏山が全部薬園で、約250種類の薬草が栽培されている。
森野さんへ行った時、「カタクリはまだ咲き始めたばかりですから・・・」と仰ったので、最初の花1輪を草の中で見つけたときは、ドキドキしたが上に登るにつれて咲き乱れるカタクリの群生に、夢中でシャッターをきっている私だった。
春風に戯れるように首をもたげている様は、壮観で感激感激の連続だった。カタクリの花が花弁をくるりと巻き上げるのは、太陽が花に降り注ぐ時で、曇りだったり雨だと、うなだれてしまう。だから昨日は本当にラッキーなお天気だったといえる。
勿論カタクリも薬草である。 片栗粉は消化がよく上質なので、漢方薬として病後の滋養用に使われ、江戸時代の本には
「病人飲食が進みがたく至りて、危篤の症になると、カタクリという葛粉のごとくなるものを、湯にたてて飲ましむ」と
書かれているそうだ。
ひそやかに咲ける日を待っているのが尚愛しい。「あなたはきっと明日咲いて、訪れる人の目を捉えるに違いないからね。」
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