大和高田市奥田地区の「蓮取り行事」が7月7日に行われた。 この行事の歴史は古く、一時途絶えたことはあったが、約600年前にまで遡ることが、室町時代の記録で見られるそうである。奈良県無形民俗文化財に指定されている。
毎年7月7日、吉野山金峯山寺「蓮華会」で蔵王権現にお供えする蓮の花は、古い時代からこの奥田の池から摘みとられていた。
奥田地区に入ると「蓮取り行事」の幟旗が立てられて村を挙げてのお祭りであることがよく分かる。
「奥田」のはっぴを着た行事の世話役の人たち。暑い中ご苦労様である。
弁天神社の後ろにある、捨篠池の半分に蓮が栽培されていて今美しい花の見頃を迎えている。地区の総代の方の挨拶で知ったのだが、今年ほど美しく花の咲いたのが近年にないとの喜びの言葉だった。どれだけ地区の方々が、この日に備えて蓮池の世話を一生懸命されたのかがよく分かった。
蓮の植えていない池の半分は、この舟の進んでいく空間になっているらしい。
行者さんたちの、仕来りにのっとった神事の多くが厳粛に行われた。
池にお清めの3品を撒きいれて、これから蓮の花を取るために池に入ることを池の神に、蓮の花に祈ることは、自然への畏敬なのだと理解する。
式が進み最後に市の役職の方や、地区役員招待者の手によって、蓮の花の蕾が献花される。
事前の神事の最後を告げる法螺貝の音が、響き渡るのが終わると、池の向こうから花火が上がった。いよいよ蓮取りのはじめを告げる花火だ。お昼の花火も美しいものだった。
108本の蓮の花を蓮の舟が、みんなの見守る中で摘みとっていく。
この蓮が吉野山の蔵王権現にお供えするということは、世界遺産となっている祈りの山へ祈りのお寺へと繋がっていることを、心にしっかり受け止めて「行事」というより「神事」なのだと思いながら今日、ここに来ることのできたことを感謝したい。
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