20日午前9時30分撮影
空には複雑な方向からの風が吹いている様子だ。しかし19日の午後ここに来た時のように激しい風は吹いていなかった。本当は、もっともっと早い時刻に来たいのだけど、写真を撮るという私の趣味のために、朝の家事を放りっぱなして、仏壇にもお経をあげず、洗濯物も干さず出てくることはできない。
誰に強制されている仕事でもないが、済ましてしまえば、すっきりした気持ちで、好きなことができる。
よち よち よち 歩き始めた嬉しさを、体中で表してる坊やと出会った。
足よりも体のほうが先に前へ前へと進むのに、それがうまくバランスが取れて、見ているほうの心配は杞憂に過ぎない上手な歩みである。
浴衣地の紺の上下は、お寺さんの作業の時の作務衣のようで、ゆったりとして藤原宮跡に吹く古代の風を身に纏っているようだ。
傍でママと、ママ友さんが目守りをしながら、にこやかに語り合っている。ママ友さんは子供さんを抱っこしているので、歩くのにはあと少しなのだろう。 この近くなので、よく来ているそうだ。坊やたちにとっても、のびのびと遊べるこんな自然環境が、近くにあることは、恵まれた地であるといえる。
お茶が欲しくなったのか、坊やは乗ってきたベビーカーの所に戻ってきた。
撮影の許可を得て話し込んでいた私に、「こんにちは」とママが言うと、坊やは体を半分くらい曲げて2度「こんにちは」の挨拶をしてくれた。
「こんにちは」の言葉より先に、体での挨拶を身につけた聡明そうな坊やを眺めながら写真を撮るのも忘れるほどだった。
カメラに興味を持って、私のほうを気にしていた坊やは、「ほら・お花・綺麗よ!」と指さしたママの指先のほうへと、歩いていく坊やの横っちょに傾いた帽子の被り方が、一層可愛いい。
晴れた空、蓮の花の美しい彩と、天使のような坊や、明るく優しい若いママさん二人。
古代の宮跡での爽やかなシーンだった。
この日の空を中心に撮ってみた。色の違いは、太陽の位置の違いであるが、とにかく青く晴れ渡っていた。そして上空には風があるらしく雲は面白い形で流れていく。前日に来た時と大違いに恵まれた空だった。