映像:漸く辿りついた犬吠埼は雨交じり、やはり鈍色の海は吠えていた。
とうとう、犬吠埼に来た。筆者が犬吠埼に興味を持ったのは高校時代だ。
日本詩歌大全集を読み耽り、高村光太郎の詩に出会った衝撃的な青春期。
高村光太郎と長沼智恵子が再会した犬吠埼。僕は漸くここに辿り着いた。
『…いやなんです
あなたのいつてしまふのが―
おまけにお嫁にゆくなんて
よその男のこころのままになるなんて…』 (智恵子抄~人に~より)
『…あれが阿多多羅山、
あの光るのが阿武隈川。
ここはあなたの生れたふるさと、
あの小さな白壁の点点があなたのうち…』(智恵子抄~樹下の二人~より)
『…智恵子は東京に空が無いといふ、
ほんとの空が見たいといふ。
私は驚いて空を見る………』 (智恵子抄~あどけないはなし~より)
光太郎と智恵子が通った樹下(詩碑の丘)で好きなフレーズを朗読した日が懐かしい
参照# 智恵子抄:樹下の二人(高村光太郎&智恵子)