≪ 温泉探査の徒然に夏目漱石の足跡を辿った探訪紀行(2006.4.1 ~ 2019.11.15)≫
夏目漱石は英文学者(英語教授)から文学者へ転身していった作家だが、彼の作品
には温泉地が大きな役割を果たしている。道後温泉の「坊ちゃん」、小天温泉の「
草枕」、内牧温泉の「二百十日」、姥子温泉の「吾輩は猫である」。そして、修善
寺温泉の「則天去私」、湯河原温泉の「明暗」等と数々の佳作が温泉地で生まれた。
(下記アンダーラインをクリックすると本ブログの訪問記録参照可)
①「・・・ふっくらと浮く二つの乳の下には、しばし引く波が・・・」・・・・熊本県小天温泉
②「かんてらや 師走の宿に 寝つかれず」・・・・・熊本県小天温泉(旧前田別邸句碑)
③「すぐ懸崖と見えて、眼の下に朧夜の海がたちまちに開ける]・・・草枕温泉てんすい
④「・・・湯槽の縁へ肘をかけて漫然と、硝子越に外を眺め」・・・阿蘇内牧温泉共同浴場
⑤「・・・一週間に一度しか水をかえない(小説:吾輩は猫である)」‥・愛媛県道後温泉
⑥「・・・親譲りの無鉄砲で小供の時分から損ばかりして居る。」・・・・・愛媛県道後温泉
⑦「霞む日や巡礼親子二人なり」‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥・愛媛県道後温泉
⑧「・・・大変うまいと云う評判だから、温泉に行った帰り」・・・道後温泉坊ちゃん団子
⑨「・・・湯壺は花崗石を畳み上げて、十五畳敷ぐらいの広さ」・・・道後温泉本館霊の湯
⑩「春の川を 隔てゝ 男女(おとこおみな)哉(かな)」 ・・・京都木屋町(嵐山温泉)
⑪「僕が昔し姥子の温泉に行って、一人のじじいと相宿になった」・・・・箱根姥子温泉
⑫「則天去私とは、私心を捨てて自然に身を任せて生きる境地也」・・・伊豆修善寺温泉
⑬「・・・お午(ひる)から滝の方へ散歩においでになりませんか」 ・・・・神奈川湯河原温泉
所感:夏目漱石という天才も又、家庭的には決して恵まれていたとは言えない。作家
というものは孤高なるがゆえに創作へと拍車がかかる側面もある。太宰、芥川、
有島など心中、自殺した作家は類なく身辺の非業‣悲運があった事は否めない。