アフガニスタンの外相が来日しているそうで、こんな記事が。
*******タリバンの一部と和解協議中 外相が明らかに******
来日中のアフガニスタンのスパンタ外相は5日、タリバンの一部と、アフガン憲法の受け入れを求め和解協議に入っていることを明らかにした。外相は「アフガンを破壊しようとしている軍事指導者もいるが、中堅幹部などタリバンの一部は、市民生活に戻る準備ができている」と話し、軍事的攻勢だけでなく、対話による治安回復も重要と訴えた。
カルザイ大統領は昨年9月、タリバンに「話し合い」を呼びかけたが、タリバン側は「全外国軍の撤退が政府との和解条件」と和解を拒否している。スパンタ外相は、「タリバンは一枚岩ではない。和解に応じる余地のある勢力が、相当いる」と述べた。【2月5日 毎日】
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外相はタリバンやアルカイダの脅威が高まっていることについて、8割の国民が電気を利用できないなど、国民の生活水準が依然低いことを原因のひとつに挙げ、また、日本の貢献に関して「軍閥勢力の武装解除など最大の支援国の一つだ」と謝意を表明したうえで「平和憲法を持つ日本に自衛隊の派遣は求めない。日本の最善の役割は、民間の復興支援だ」と述べ、発電所や道路建設などの経済や教育面の援助を求めたそうです。
“タリバンの一部との和解協議”がどの程度のものか全くわかりませんが、是非そうした方向で事態が動いてほしいものです。
支援を求めて来日中の会見ですから、日本に関しては当然リップサービスもありますが、アフガニスタン現地では、ドイツが北部、フランスが首都カブールなど比較的安全な地域での民生支援や戦闘の後方支援にとどまる現状に、南部に派兵し多数の死者を出している米英やオランダ、カナダなどからは「不公平」との批判が高まっています。
・ カナダのハーパー首相は1月30日、オタワ入りしたブッシュ米大統領と会談し、NATOの支援強化がなければカナダ軍を同国から撤退させる方針をブッシュ大統領に伝えた。
・ ゲーツ米国防長官はドイツのユング国防相に対し、異例の厳しい調子でアフガニスタン南部への部隊増派を求める書簡を送った。ユング国防相は直ちに、同じような厳しい調子の返信を送ったとされる。
・ ゲーツ米国防長官の書簡に対しウィルヘルム独政府報道官は、「米とは密接なコンタクトを取っており、突然の書簡は驚きだ。ドイツはアフガンで求められる多くの仕事をしており、議会で決めた任務を変更する考えはない」と語った。
・ 同様の書簡を受け取ったフランスのモラン国防相も31日、訪問中のワシントンでのゲーツ長官との共同会見で「アフガンの問題は軍事問題だけではない。包括的な解決策が必要だ」と米の要求に疑問を投げかけた。
・ 一部のNATO加盟国は自分の役割を果たしていないとのゲーツ米国防長官の批判について、ドイツ与党キリスト教民主同盟はこれに反発。「ドイツはアフガンへの治安改善のため一層の努力を行うことは可能だが、米国は期待しすぎるべきではない」と主張。
・ 英国のアレグザンダー国際開発相は2月3日、英国としては一部のNATO加盟国に対して、アフガニスタンでもっと役割を果たすよう望んでいると語った。
・ カナダを訪問中のポーランドのシコルスキ外相は4日「カナダが払っている犠牲を評価している。そうしたこともあって、われわれはアフガニスタンへの貢献を強化し、400人の兵士を増強する。また、ヘリコプター8機のうち、2機はカナダ向けに提供される」と述べた。
ここ数日だけでも以上のような状況です。
英米に一定の距離を置く独仏との間のやりとりは今に始まった話ではありませんが、事態が思うように進まないことから“苛立ち”を含んで大きくなっているようです。
関係各国が大きな犠牲を払いながら、ときにギクシャクしながら支援を続けているアフガニスタン社会の実情を伝えるニュースがありました。
*****ダウンロードで死刑判決:アフガニスタンの学生*****
アフガニスタンの23歳になる学生ジャーナリストが、イスラム社会の一部における弾圧的な女性の扱いを「イスラム教原理主義が女性の弾圧を正当化しているのは、モハメッドの教えを歪曲するものだ」と批判した記事をダウンロードして大学のほかの学生や教師に配布したとして、死刑判決を受けている。
報道によると、シャリーア(イスラム法)による裁判所で裁かれ、弁護士も認められなかったという。
イギリスの『The Independent』紙によると、アフガニスタン議会上院は1月末、この判決を支持する動議を通過させた。
ほかのジャーナリストに対しても、支持する抗議行動を起こした場合、逮捕するという警告が出されている。【2月4日 WIRED VISION】
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タリバンの価値観が欧米のそれと大きく異なるのは言うまでもないですが、そのタリバンの攻勢から欧米各国が守ろうとしているアフガン社会自身の価値観も、やはりイスラム社会一般の常で、部外者にはかなり奇異に思われる部分があります。
特に、議会でこの判決が支持されたということが、一部宗教保守層だけの反応ではないことを示しています。
ケイシー米国務省副報道官は先月、「報道、表現の自由を制限する行動は望ましくない」と発言。「(上級審で)異なった結果が出ることを望んでいる」と述べています。
国連アフガン支援ミッション(UNAMA)も「裁判は非公開で(被告に)弁護士も認められなかった」と批判、信教や表現の自由の問題は慎重な対応が必要だと指摘しています。
“自由”の概念は社会で大きく異なります。
今注目の“農薬ギョーザ事件”でも、マスコミ報道に苛立つ中国側が“日本も報道をコントロールしたら・・・”との意向を示したとか。
異なる文化・社会の異なる価値観を理解し、どのように対処すべきか・・・世界が抱える問題の全てと言ってもいい課題です。
*******タリバンの一部と和解協議中 外相が明らかに******
来日中のアフガニスタンのスパンタ外相は5日、タリバンの一部と、アフガン憲法の受け入れを求め和解協議に入っていることを明らかにした。外相は「アフガンを破壊しようとしている軍事指導者もいるが、中堅幹部などタリバンの一部は、市民生活に戻る準備ができている」と話し、軍事的攻勢だけでなく、対話による治安回復も重要と訴えた。
カルザイ大統領は昨年9月、タリバンに「話し合い」を呼びかけたが、タリバン側は「全外国軍の撤退が政府との和解条件」と和解を拒否している。スパンタ外相は、「タリバンは一枚岩ではない。和解に応じる余地のある勢力が、相当いる」と述べた。【2月5日 毎日】
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外相はタリバンやアルカイダの脅威が高まっていることについて、8割の国民が電気を利用できないなど、国民の生活水準が依然低いことを原因のひとつに挙げ、また、日本の貢献に関して「軍閥勢力の武装解除など最大の支援国の一つだ」と謝意を表明したうえで「平和憲法を持つ日本に自衛隊の派遣は求めない。日本の最善の役割は、民間の復興支援だ」と述べ、発電所や道路建設などの経済や教育面の援助を求めたそうです。
“タリバンの一部との和解協議”がどの程度のものか全くわかりませんが、是非そうした方向で事態が動いてほしいものです。
支援を求めて来日中の会見ですから、日本に関しては当然リップサービスもありますが、アフガニスタン現地では、ドイツが北部、フランスが首都カブールなど比較的安全な地域での民生支援や戦闘の後方支援にとどまる現状に、南部に派兵し多数の死者を出している米英やオランダ、カナダなどからは「不公平」との批判が高まっています。
・ カナダのハーパー首相は1月30日、オタワ入りしたブッシュ米大統領と会談し、NATOの支援強化がなければカナダ軍を同国から撤退させる方針をブッシュ大統領に伝えた。
・ ゲーツ米国防長官はドイツのユング国防相に対し、異例の厳しい調子でアフガニスタン南部への部隊増派を求める書簡を送った。ユング国防相は直ちに、同じような厳しい調子の返信を送ったとされる。
・ ゲーツ米国防長官の書簡に対しウィルヘルム独政府報道官は、「米とは密接なコンタクトを取っており、突然の書簡は驚きだ。ドイツはアフガンで求められる多くの仕事をしており、議会で決めた任務を変更する考えはない」と語った。
・ 同様の書簡を受け取ったフランスのモラン国防相も31日、訪問中のワシントンでのゲーツ長官との共同会見で「アフガンの問題は軍事問題だけではない。包括的な解決策が必要だ」と米の要求に疑問を投げかけた。
・ 一部のNATO加盟国は自分の役割を果たしていないとのゲーツ米国防長官の批判について、ドイツ与党キリスト教民主同盟はこれに反発。「ドイツはアフガンへの治安改善のため一層の努力を行うことは可能だが、米国は期待しすぎるべきではない」と主張。
・ 英国のアレグザンダー国際開発相は2月3日、英国としては一部のNATO加盟国に対して、アフガニスタンでもっと役割を果たすよう望んでいると語った。
・ カナダを訪問中のポーランドのシコルスキ外相は4日「カナダが払っている犠牲を評価している。そうしたこともあって、われわれはアフガニスタンへの貢献を強化し、400人の兵士を増強する。また、ヘリコプター8機のうち、2機はカナダ向けに提供される」と述べた。
ここ数日だけでも以上のような状況です。
英米に一定の距離を置く独仏との間のやりとりは今に始まった話ではありませんが、事態が思うように進まないことから“苛立ち”を含んで大きくなっているようです。
関係各国が大きな犠牲を払いながら、ときにギクシャクしながら支援を続けているアフガニスタン社会の実情を伝えるニュースがありました。
*****ダウンロードで死刑判決:アフガニスタンの学生*****
アフガニスタンの23歳になる学生ジャーナリストが、イスラム社会の一部における弾圧的な女性の扱いを「イスラム教原理主義が女性の弾圧を正当化しているのは、モハメッドの教えを歪曲するものだ」と批判した記事をダウンロードして大学のほかの学生や教師に配布したとして、死刑判決を受けている。
報道によると、シャリーア(イスラム法)による裁判所で裁かれ、弁護士も認められなかったという。
イギリスの『The Independent』紙によると、アフガニスタン議会上院は1月末、この判決を支持する動議を通過させた。
ほかのジャーナリストに対しても、支持する抗議行動を起こした場合、逮捕するという警告が出されている。【2月4日 WIRED VISION】
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タリバンの価値観が欧米のそれと大きく異なるのは言うまでもないですが、そのタリバンの攻勢から欧米各国が守ろうとしているアフガン社会自身の価値観も、やはりイスラム社会一般の常で、部外者にはかなり奇異に思われる部分があります。
特に、議会でこの判決が支持されたということが、一部宗教保守層だけの反応ではないことを示しています。
ケイシー米国務省副報道官は先月、「報道、表現の自由を制限する行動は望ましくない」と発言。「(上級審で)異なった結果が出ることを望んでいる」と述べています。
国連アフガン支援ミッション(UNAMA)も「裁判は非公開で(被告に)弁護士も認められなかった」と批判、信教や表現の自由の問題は慎重な対応が必要だと指摘しています。
“自由”の概念は社会で大きく異なります。
今注目の“農薬ギョーザ事件”でも、マスコミ報道に苛立つ中国側が“日本も報道をコントロールしたら・・・”との意向を示したとか。
異なる文化・社会の異なる価値観を理解し、どのように対処すべきか・・・世界が抱える問題の全てと言ってもいい課題です。