パキスタンでは今月18日に国民議会(下院)・州議会選挙が行われます。
全国約6万4000カ所の投票所のうち、イスラム過激派の活動が活発な北西辺境州やアフガニスタン国境の部族地域を中心に、治安維持のため約2万8000カ所が軍の警備下に置かれるそうで、すでに6万人規模の軍が配備されています。【2月12日 時事】
党首のブット元首相を痛ましいテロで失ったパキスタン人民党も、先週末あたりから選挙運動を再開しています。
これまで、先月24日には有力野党指導者、シャリフ元首相の車列が通過を予定していたペシャワルの道路上で時限爆弾が発見されるという事件もありました。
また、北西辺境州チャルサッダで9日、野党アワミ民族党が開いていた集会会場で爆発があり、25人が死亡、20人以上が負傷しました。
無事に18日の投票が行われることを願いますが、選挙戦をめぐる報道はブット元首相という“カリスマ”を失ってから萎んでしまったような雰囲気も。
一方、一般庶民にとっては、選挙よりも食料品などの物価上昇に伴う生活苦のほうが問題のようです。
選挙結果については、ブット元首相を失ったパキスタン人民党(PPP)に同情票が集まるのでは・・・という見方もありますが、どうでしょうか。
ただ、ブット元首相のいないPPPは政権を獲得してもリダーシップを発揮できる人材がいるのか不安があります。
イスラム主義政党とも協力関係にあるシャリフ元首相が支持を集めれば、パキスタン国内でのイスラム主義勢力の更なる台頭も予想されます。
ムシャラフ大統領の支持母体の与党は、あまり人気がないようで苦戦が予想されています。
ムシャラフ大統領の政権運営は厳しいものがありそうですが、そのあたりを見越しての動きでしょうか、軍部もムシャラフ大統領とは距離を置き始めた・・・という報道もあります。
****軍、政治に関与せず=新参謀長が方針*******
パキスタンのムシャラフ大統領から昨年11月に軍トップの座を引き継いだキアニ陸軍参謀長が、政治や行政への軍の関与を控える方針を鮮明にし始めた。
1月、政治家との会合や懇談を禁じる通達を将校に出したのに続き、今月11日には中央省庁を含む文民組織に「出向」中の将校約300人に対し、軍への復帰を命じた。
大統領による一連の強権措置で軍の威信は大きく低下している。参謀長の方針転換は威信回復と組織の引き締めが狙いだが、「ムシャラフ大統領と距離を置き始めたことを示す兆候」との見方も出ている。 【2月13日 時事】
****************************
ムシャラフ大統領と“心中”する気はない・・・ということでしょうか。
軍の支持が弱まるとムシャラフ大統領はますます苦しい事態になります。
アメリカは“民主化”要求のもとで、ムシャラフ大統領に軍服を脱ぐように強く迫りましたが、アメリカが“テロとの戦い”における要と最重視するパキスタンの情勢にどう影響するか・・・。
アメリカの民主化要求、その後の国内混乱という図式はあちこちで見られます。
パレスチナでのハマス内閣、エジプトのイスラム勢力台頭、イラクの混迷もそのような線で見ることもできます。
もちろん、民主化自体はよいことでしょうし、強権的に押さえ込んだ安定がいいとも言いませんが、民主化と政治・社会の安定が両立しないことがままあるということは大いに考えるべき問題です。
地域の実情にどのように配慮するかという問題でしょう。
ついでに言えば、アメリカの“民主化”の尺度も、ご都合主義的なところもあります。
イランを強く非難しますが、サウジアラビアや湾岸の王制の国にイランほどの民主主義が存在しているようにも思えません。そういった国々に“民主化要求”を迫ったという話もあまり聞きません。
全国約6万4000カ所の投票所のうち、イスラム過激派の活動が活発な北西辺境州やアフガニスタン国境の部族地域を中心に、治安維持のため約2万8000カ所が軍の警備下に置かれるそうで、すでに6万人規模の軍が配備されています。【2月12日 時事】
党首のブット元首相を痛ましいテロで失ったパキスタン人民党も、先週末あたりから選挙運動を再開しています。
これまで、先月24日には有力野党指導者、シャリフ元首相の車列が通過を予定していたペシャワルの道路上で時限爆弾が発見されるという事件もありました。
また、北西辺境州チャルサッダで9日、野党アワミ民族党が開いていた集会会場で爆発があり、25人が死亡、20人以上が負傷しました。
無事に18日の投票が行われることを願いますが、選挙戦をめぐる報道はブット元首相という“カリスマ”を失ってから萎んでしまったような雰囲気も。
一方、一般庶民にとっては、選挙よりも食料品などの物価上昇に伴う生活苦のほうが問題のようです。
選挙結果については、ブット元首相を失ったパキスタン人民党(PPP)に同情票が集まるのでは・・・という見方もありますが、どうでしょうか。
ただ、ブット元首相のいないPPPは政権を獲得してもリダーシップを発揮できる人材がいるのか不安があります。
イスラム主義政党とも協力関係にあるシャリフ元首相が支持を集めれば、パキスタン国内でのイスラム主義勢力の更なる台頭も予想されます。
ムシャラフ大統領の支持母体の与党は、あまり人気がないようで苦戦が予想されています。
ムシャラフ大統領の政権運営は厳しいものがありそうですが、そのあたりを見越しての動きでしょうか、軍部もムシャラフ大統領とは距離を置き始めた・・・という報道もあります。
****軍、政治に関与せず=新参謀長が方針*******
パキスタンのムシャラフ大統領から昨年11月に軍トップの座を引き継いだキアニ陸軍参謀長が、政治や行政への軍の関与を控える方針を鮮明にし始めた。
1月、政治家との会合や懇談を禁じる通達を将校に出したのに続き、今月11日には中央省庁を含む文民組織に「出向」中の将校約300人に対し、軍への復帰を命じた。
大統領による一連の強権措置で軍の威信は大きく低下している。参謀長の方針転換は威信回復と組織の引き締めが狙いだが、「ムシャラフ大統領と距離を置き始めたことを示す兆候」との見方も出ている。 【2月13日 時事】
****************************
ムシャラフ大統領と“心中”する気はない・・・ということでしょうか。
軍の支持が弱まるとムシャラフ大統領はますます苦しい事態になります。
アメリカは“民主化”要求のもとで、ムシャラフ大統領に軍服を脱ぐように強く迫りましたが、アメリカが“テロとの戦い”における要と最重視するパキスタンの情勢にどう影響するか・・・。
アメリカの民主化要求、その後の国内混乱という図式はあちこちで見られます。
パレスチナでのハマス内閣、エジプトのイスラム勢力台頭、イラクの混迷もそのような線で見ることもできます。
もちろん、民主化自体はよいことでしょうし、強権的に押さえ込んだ安定がいいとも言いませんが、民主化と政治・社会の安定が両立しないことがままあるということは大いに考えるべき問題です。
地域の実情にどのように配慮するかという問題でしょう。
ついでに言えば、アメリカの“民主化”の尺度も、ご都合主義的なところもあります。
イランを強く非難しますが、サウジアラビアや湾岸の王制の国にイランほどの民主主義が存在しているようにも思えません。そういった国々に“民主化要求”を迫ったという話もあまり聞きません。