孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

大寒波で温暖化を揶揄する“無責任なやから” 海洋で急速に広がる低酸素の窒息状態

2018-01-10 20:27:51 | 環境

(メキシコ、バハ・カリフォルニア沖のコルテス海を泳ぐクロカジキ【1月10日 NATIONAL GEOGRAPHIC】)

アメリカでは記録的寒波 オーストラリアは記録的熱波
私が住む鹿児島も今日はみぞれ模様の寒い一日でした。この寒さは明日・明後日も続くようで、原付(屋根付きではありますが)で2時間ほど走らなければいけない外出予定をどうしようか迷っています。

世界的には、アメリカの記録的大寒波が報じられています。

****米 記録的な寒波で空港閉鎖 住宅地で高潮被害も****
発達した低気圧の影響で大雪に見舞われているアメリカ東部では、これまでに空の便4000便以上が欠航したほか、沿岸部で高潮が発生し住宅地などで被害が出ています。今後、気温がさらに下がる見通しで、気象当局は路面の凍結などに警戒を呼びかけています。

年末から記録的な寒波が続いているアメリカでは、発達した低気圧が大西洋を北上している影響で4日、ニューヨーク州など東部の広い範囲で吹雪となりました。気象当局によりますと、4日夜までの降雪量は、マサチューセッツ州ボストンで35センチ、ニューヨークのマンハッタンで25センチなどとなっています。

この影響で、ニューヨークのケネディ国際空港などが閉鎖され、アメリカ東部を離着陸する便を中心に合わせて4000便以上が欠航しました。

また、マサチューセッツ州では低気圧の接近に伴って高潮が発生し、ボストンやその周辺の沿岸部では海水が堤防を越え、住宅地や商業地などで被害が出ています。

このほか交通事故が各地で相次いでいて、これまでに4人が死亡したほか、一時、最大で10万戸が停電しました。

気象当局によりますと、雪は一部の地域で5日朝まで続き、その後、7日にかけて各地で気温がさらに下がる見通しで、気象当局は路面の凍結などに警戒を呼びかけています。【1月5日 NHK】
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1月1日にマサチューセッツ州ナハントで起きた住宅火災の消火活動を終えた後の消防隊員の1人【1月5日 Huffington Post】

寒さも、見ているだけならいいのですが・・・・。下記は“大寒波、熱湯が空中で凍る! シャボン玉も!”【1月10日 NATIONAL GEOGRAPHIC】の美しい映像。

上記サイトに動画でアップされていますが、分解写真で“空中で凍る熱湯”のさわりを。





“凍るシャボン玉”は動画でないと、シャボン玉表面に広がる結晶がクルクル回転しながら拡大する様子の美しさが伝わらないので、上記サイトをご覧ください。

アメリカなど北半球の寒波の一方で、南半球のオーストラリアでは猛烈な熱波が。

****オーストラリアは熱波 アメリカは滝も凍る大寒波*****
アメリカの各地では寒波の影響で厳しい寒さが続いています。一方、夏を迎えた南半球のオーストラリアは記録的な猛暑に見舞われています。

オーストラリア・シドニーの西部・ペンリスでは7日、最高気温が47.3度まで上がりました。CNNによりますと、この記録は実に79年ぶりだということです。ニューサウスウェールズ州カムデンで45.7度、リッチモンドで46.3度を観測するなど、オーストラリア各地で熱波に見舞われています。当局は高温による熱中症、そして、火事などに注意するよう呼び掛けています。遠く離れたアメリカ・ニューヨーク州では滝や噴水が凍るなど、年末からの寒波が今も続いています。【1月8日 FNN】
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まあ、一時的な天気というのは場所・時間でさまざまに変化しますので、こんなものでしょう。当然ながら、長期的気候変動とは別物です。

一時的な寒さを理由に、地球温暖化は偽りだと主張しようとする無責任なやから
米紙ワシントン・ポストは「一時的な寒さを理由に、地球温暖化は偽りだと証明されたなどと主張しようとする無責任なやからがいるといけないので」と警告していたのですが、やはり“無責任なやから”がいたようです。

****北米寒波、トランプ大統領が温暖化あざけるツイートで物議****
北米が猛烈な寒波に襲われる中、フロリダ州マーアーラゴの別荘で休暇中のドナルド・トランプ米大統領(71)は28日、気候変動説を揶揄(やゆ)するコメントをツイッターに投稿した。

「東部では史上『最も寒い』大みそかになるようだ。たぶんわれわれは、古き良き地球温暖化をもうちょっと活用してもいいんじゃないか。わが国は他の国々とは違い、温暖化対策に『何十兆ドルも』つぎこむ予定だったのだから。暖かい格好をしよう!」
 
このトランプ氏の投稿には、寒波を利用して気候変動の科学的根拠をあざけっているとして、多くのツイッターユーザーからあきれた声が上がっている。

「天気と気候は違うものだ。大統領はその違いを理解するべきだ。難しいことではない」と、ワシントン州選出のプラミラ・ジャヤパル米下院議員はツイートした。
 
カリフォルニア科学アカデミーのジョン・フォーリー館長は、「信じようが信じまいが、地球の気候変動は正真正銘の現実だ。たとえ今まさにトランプタワーの外が寒くてもだ。あなたがビッグマックにかぶりつこうとする瞬間にも、世界では飢餓に苦しむ人がいるように」と投稿した。
 
一方、米紙ワシントン・ポストの気象欄「キャピタル・ウェザー・ギャング」の公式ツイッターアカウントは27日、トランプ氏の投稿に先立ち、寒さが1週間続くとの予報に続けて次のように警告していた。

「世界の他の地域では平年よりかなり暖かい天候が続く点にご留意ください。米国の一時的な寒さを理由に、地球温暖化は偽りだと証明されたなどと主張しようとする無責任なやからがいるといけないので」
 
トランプ氏は地球温暖化を中国人の作り話だと主張。温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」からの離脱を表明し、環境関連の主要政権ポストに化石燃料推進派を起用した。また、トランプ政権の国家安全保障戦略では、米国を脅かす脅威の項目から地球温暖化が削除された。(後略)【2017年12月29日 AFP】
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子供じみた自称“天才”の言動にいちいち反応していても仕方がないのですが、その者が世界で最も大きな権力と影響力を持つ人物であり、日本も安全保障を含めて大きく依存しているという話になると・・・・困ったものです。

週内に予定されているトランプ大統領の健康診断に精神衛生に関する検査が含まれているのか記者から質問が出て、報道官は「ない」と簡潔に答え、「大統領は頭脳明晰だ」と述べたとのこと。【1月9日 AFP】

世界の海はわずか50年の間に約2%の酸素を失った
話を戻しましょう。

地球温暖化については、様々な議論・検証がなされていますが、海水温の上昇や海の酸性化以外にも、温暖化によって“海が窒息する”状況が広がっているとのことです。

****温暖化で「窒息」する海が世界的に拡大、深海でも****
10年以上前のある日、研究用のタグを付けた魚を追跡していたエリック・プリンス氏は奇妙なことに気がついた。米国南東部沖に生息するニシクロカジキは獲物を追って800メートルは潜るのに対し、コスタリカとグアテマラ沖では海面付近にとどまっていて、潜っても100メートルを超えることがめったになかったのだ。(中略)
 
調査してわかったのは、カジキたちが窒息を回避していたことだった。グアテマラとコスタリカ沖のニシクロカジキは淀んだ深海に潜らない。そこには巨大な低酸素海域があり、さらに拡大を続けていた。

カジキが深く潜らなくなったのは、まだあまり知られていない海の変化に反応した海洋生物の行動変化の一例だった。

気候変動により、近海だけでなく外洋まで酸素濃度が低下して、海洋生物の生息地や生き方に大きな影響が出ているのだ。
 
米スミソニアン研究センターの上席科学者デニース・ブライトバーグ氏は、「これは地球規模の問題で、地球温暖化が状況を悪化させています」と言う。「解決には地球規模の取り組みが必要です」
 
ブライトバーグ氏らはこのほど、海洋酸素濃度の低下に関する主要な研究を検証した論文を1月5日付けの科学誌『サイエンス』に発表した。

論文によると、海洋酸素濃度の低下により広大な海域から生物が消え、海洋生物の生息地や食物が変化している。その結果、魚の個体数が減り、魚のサイズが小さくなり、乱獲につながりやすくなっているという。

海水温の上昇や海の酸性化と同様、海洋酸素濃度の低下も気候変動の最も重要な副産物の1つだが、ほとんどの人がこれを理解していない。

「酸素濃度の低下は、多くの点で生態系の破壊につながります」とブライトバーグ氏は言う。「陸上にそうした広大な領域ができて、動物が住めなくなったとしたら、誰でも気がつくでしょう。けれども同じことが水の中で起こっている場合には、わからないのです」

25年間で酸素濃度が30%も低下した深海域も
ブライトバーグ氏の研究には、メキシコ湾の原油流出事故により汚染されたような沿岸の「デッドゾーン(死の水域)」だけでなく、外洋で数千キロにわたって広がる深海の低酸素海域も含まれている。
 
深海の低酸素海域は、20世紀半ばから面積では450万平方キロ以上拡大している。これは、EUと同じくらいの広さに相当する。原因の1つは水温の上昇だ。
 
水温が上昇すると海水に含まれる酸素の量は低下する。また、温かくなると微生物や大型の生物の代謝がさかんになり、酸素消費量が増える。

さらに、温暖化により海が表面から温められると、温かい水は冷たい水より軽いために表面の水が上層にとどまりやすくなり、空気中の酸素が深層の低酸素海域まで届きにくくなる。
 
現在、深海の低酸素海域は年間1メートルのペースで海面に向かって拡大している。太平洋東部とバルト海のほとんどでそうした状況にある。

米カリフォルニア南部沖のある深海では、わずか25年間で酸素濃度が30%も低下した。アフリカ沿岸付近の大西洋の低酸素海域は米国本土の面積より広く、1960年代から15%も拡大している。
 
この新たな研究結果によると、世界の海はわずか50年の間に約2%の酸素を失い、酸素が全くない海水の量は4倍に増えたという。

現在、沿岸のデッドゾーンは500カ所ほど知られているが、そのうち20世紀半ば以前から酸欠状態だったところは10%未満である。(後略)【1月10日 NATIONAL GEOGRAPHIC】
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トランプ大統領にはニシクロカジキの話より、下記のお金の話のほうが伝わりやすいかも。

****米 去年の自然災害被害 過去最大34兆円余****
アメリカの政府機関は、ハリケーンや山火事などの自然災害による去年1年間の被害額は日本円で過去最大の34兆円余りに上ったと発表し、専門家は気候変動による異常気象が原因だと指摘して警鐘を鳴らしています。

アメリカ海洋大気局が8日に発表した報告書によりますと、去年1年間にアメリカで起きた自然災害による被害額は、およそ3060億ドル(34兆円余り)に上ったということです。

これは1800人以上が死亡したハリケーン「カトリーナ」による被害があった2005年の2150億ドル(24兆円余り)を大きく上回り、1980年の集計開始以来、過去最大になったということです。

報告書によりますと、去年は、被害額が10億ドルを超える災害が16回発生し、このうち南部テキサス州を直撃したハリケーン「ハービー」による被害は1250億ドル余り、カリフォルニア州で相次いだ大規模な山火事では、合わせて180億ドルの経済損失が生じたということです。

相次ぐ自然災害について専門家は「最近起きたいくつかの異常気象は気候変動が原因だ。慎重にこの事態に向き合わなければならない」と指摘し、警鐘を鳴らしています。【1月10日 NHK】
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世界に残されている時間はあまりないのですが、その貴重な時間を自称“天才”にゆだねなければならいのは、アメリカだけでなく世界全体の不幸です。

100年後の人類は「どうしてあのとき、あの男を・・・」と悔やむかも。

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