(ウクライナ・キーウで結婚したばかりの夫婦(2022年7月23日撮影)【8月8日 AFP】)
【急増する結婚 「戦争に、私たちの計画を台無しにする権利はない」】
戦時下では若者が結婚を急ぐ傾向が強いことは歴史的にも証明されているようですが、ロシア軍との戦いが続くウクライナでも・・・
****戦時下で結婚急ぐ若者急増、首都では8倍超に ウクライナ****
ウクライナ中部クレメンチュクで、テチアナさんは6月の結婚式当日、大きな音にたたき起こされた。シャンパンのコルク栓を抜く音なら良かったのだが、実際は自宅近くにロシアのロケット弾が着弾した音だった。
デザイナーのテチアナさんはAFPに「最初は雷鳴かと思ったが、空に雲はなく、砲撃だったと気付いた」と述べ、砲弾の直撃に備えて部屋から廊下に急いで避難したと振り返った。
夜明け前の攻撃による被害に動揺したものの、テチアナさんと婚約者タラスさんは、6時間後に迫った式を決行する意思を確かめ合った。
「初めは式をキャンセルすべきではないかと思ったけれど、婚約者から予定通りにしようと言われた」と語ったテチアナさんは、「戦争に、私たちの計画を台無しにする権利はない。私たちには家族をつくり、人生を満喫する権利がある」と強調した。
■長期化する戦争
クレメンチュクが位置するポルタワ州では、2020年に1300組が結婚したのに対し、2月24日にロシアがウクライナに侵攻した後の6週間で1600組が結婚した。
首都キーウでは、結婚の急増ぶりはさらに顕著だ。5か月間に9120件の婚姻届が提出され、2021年の結婚式の数が1110件だったことから、8倍以上も増加したことになる。キーウ中心部の役所ではある土曜日、40組以上のカップルが門出を迎えた。
アナスタシアさんとの結婚を控えたビタリーさんは、戦地に赴くため軍服を身にまとっていた。「戦争の最中に結婚するのは最も勇敢かつ困難な決断だ。次に何が起こるか分からないのだから。すぐに前線へ行くかもしれない」と話した。
ウクライナでは婚姻手続きが簡素化され、届けを出したその場で結婚できるようになったことも、増加を後押ししている。ビタリーさんは「戦争は続く。今結婚した方がいい」という考えだ。
■ウクライナ人の反骨精神
公務員のチャルニフさんは3月初め以降、息をつく暇もなく結婚儀礼を執り行っており、戦時中の特別な役割を果たしていると自負している。「公務員として国民を心の面で支えることで、国のためになれるはずだ」
戦時下では、若者が恋愛を結婚へと急いで成就させる傾向が強いことは歴史的に証明されている。第2次世界大戦中の1942年、米国では180万組が結婚したが、この数字はその10年前と比べて83%の増加だった。
ャルニフさんによると、特に兵士の間での結婚が増えているという。「こういう困難な状況の中では、あす何が起こるか分からない。皆、可能な限り早く結婚しようとしている」
中部ビンニツァのヨガ講師ダリア・ステニュコワさんは、ビタリー・ザバリニュクさんとの結婚式を何週間もかけて計画してきたが、式を翌日に控えて最悪の事態に見舞われた。
ロシア軍の巡航ミサイルが市中心部に着弾。26人が死亡し、婚姻登録を受け付けている役所に被害が出たほか、ステニュコワさんのアパートも破壊された。
ステニュコワさんは「ショックは受けたけれど、結婚式を行う決意は揺るがなかった。諦めるのは問題外だった。家は破壊されてしまったけれど、私たちの人生はそうではない」と語った。
市内に祝宴を催せるようなムードはなく、友人や家族を呼ぶ会は延期せざるを得なかった。ただ、何とか婚姻手続きだけは別の場所にある役所を探して済ませようと決めたステニュコワさん。
「どの役所も新たな1組を受け入れる余裕はなかった。可能性はないと断られたが、とにかく行ってみることにした」ところ、「一日中待つ覚悟だったが、到着して3分で結婚することができた」という。
ステニュコワさん夫妻は、結婚を記念し、攻撃を受けたアパートで写真撮影するというユニークな試みを行い、注目を集めた。「ウクライナ人がどれほどたくましいのか、その反骨精神を世界に示すメッセージだった。ロケット弾が頭上を飛来していても結婚する準備はできている」 【8月8日 AFP】
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切迫した状況にあっても、結婚という人生の極めて重大な決断は冷静に・・・・というのは余計な一言。
ただ、そもそも冷静に判断したら結婚なんてできるもんじゃない・・・というのは、もっと余計。
【国際人権団体 ウクライナの戦時国際法違反を報告するも、「深い遺憾の意」を表明】
攻撃を受ける側が軍事拠点を民間人居住地域に置いて攻撃を受けにくくする・・・・というのは、戦争・紛争において“ありがち”なことのようにも思いますが、人道上の問題だけでなく戦時国際法にも違反するようです。
そんな事例がウクライナ軍にもあると、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルが報告して話題になりました。
****ウクライナ軍、民間人居住地域に軍事拠点 アムネスティ****
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは4日に公表した報告書で、ロシアの侵攻を受けているウクライナの軍が、国際法に違反する形で学校や病院を含む民間人居住地域に軍事拠点を構築して市民の命を危険にさらしていると批判した。
アムネスティは、自衛する側のこうした戦術は「ロシアの無差別的な攻撃を正当化するものではない」として、北東部にある第2の都市ハルキウなどでロシア軍が犯した「戦争犯罪」は、ウクライナ側の戦術とは無関係だと強調した。
その一方で同団体は、ウクライナ軍がハルキウやドネツク、ルガンスク、ミコライウ各州にある19の自治体で、民間人を危険にさらした可能性がある事案を列挙した。
アムネスティの調査員は、ウクライナ軍が病院5か所、学校22か所を「事実上の軍事基地」に転用していたことを確認。学校は閉鎖されていたとはいえ、民間人居住地域内に所在していた。
アムネスティのアニェス・カラマール事務総長は「ウクライナ軍が民間人居住地域で活動する際に市民を危険にさらし、戦時国際法に違反するパターンを記録した」と述べた上で、「自衛する側にいるということは、ウクライナ軍が国際人道法を順守しなければならないという責務を免除するものではない」と指摘した。
報告の中で、ウクライナ軍が拠点を築く民間人居住地域は前線から数キロ離れており、民間人に対して危険を及ぼさない「代わりになり得る場所」もあるとの見解を示した。また、ウクライナ軍がこうした拠点からロシア軍に向かって攻撃を仕掛けることで、市民が報復攻撃にさらされるにもかかわらず、避難の呼び掛けもしていなかったと批判した。
報告書の公表を受けて、ウクライナ政府は強く反発し、アムネスティはロシア側のプロパガンダの発信元と結託していると非難した。【8月4日 AFP】
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記事最後にあるように、ウクライナ政府は強く反発していたのですが、アムネスティ側がウクライナ側に苦痛と怒りをもたらしたとして、「深い遺憾の意」を表明する展開に。
*****ウクライナ軍“非難”の報告書めぐり国際人権団体がウクライナ側に「深い遺憾の意」****
ウクライナ軍が国際人道法に違反していると非難した報告書をめぐり、国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルは7日、ウクライナ側に苦痛と怒りをもたらしたとして、「深い遺憾の意」を表明しました。
アムネスティ・インターナショナルは、4日に公表した報告書で、ロシアによる侵攻に反撃するウクライナ軍が学校や病院を含む住宅地で基地を設置するなど、「一般市民を危険にさらしている」として国際人道法に違反するとウクライナ側を非難していました。
これに対し、ウクライナのゼレンスキー大統領が「テロ国家に恩赦を与え、被害者に責任を負わせようとしている」などと強く反発していました。
こうした事態を受け、アムネスティ・インターナショナルは7日、「報告書がウクライナ側に苦痛と怒りをもたらした」として、「深い遺憾の意」を表明する声明文を発表しました。
声明文では、「民間人の確実な保護が唯一の目的だった」とウクライナ側に理解を求めました。
さらに、「ロシア軍による行為についてウクライナ軍に責任を負わせるということでも、 ウクライナ軍が国内の他の場所で十分な予防措置をとっていないということでもない」と説明した上で、ウクライナ側に国際人道義務を順守するよう改めて求めました。【8月8日 日テレNEWS】
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事実誤認を認めて謝罪したという訳ではないようです。
アムネスティ側は、「我々が訪れた19の街や村で、ウクライナ軍は民間居住地の隣にいたのを確認した。だが、ウクライナ軍が他の地域で十分な措置をとっていないと主張しているわけではない」とも。
ただ、ロシアの理不尽な攻撃に抵抗しているウクライナに不利なことを言い立てるのは配慮を欠いたということでしょうか。
ただ、だからといって「ウクライナ=正義」でもなく、抵抗のためなら何をやってもいいという訳ではありませんので、ウクライナを批判するのが憚られるような空気があるというのは、それはそれでいささか問題でもあります。
全ては、実際にはどうなのかという事実関係次第です。
【よくわかないザポリージャ原発への連日の攻撃、クリミア空軍基地の爆発】
“抵抗のためなら何をやってもいい”という類なのか、あるいはロシア側の偽装工作なのか、よくわからないのがロシア軍が占拠する欧州最大級のザポリージャ原発に対する連日の攻撃です。
****ウクライナ・ザポリージャ原発に3日連続攻撃 国連事務総長が非難****
ウクライナ南部にあるヨーロッパ最大規模の原発が、3日連続で攻撃された。
ウクライナ国営原子力運営会社によると、ザポリージャ原発は、7日までに3日連続で攻撃を受け、ロシア軍のミサイルが使用済み核燃料の貯蔵施設のすぐ近くに着弾するなどして、これまで職員2人が負傷した。
一方、ロシア国防省は、「ウクライナ軍の攻撃だ」と主張。
来日中の国連のグテーレス事務総長は、原発への攻撃を厳しく非難した。 国連・グテーレス事務総長「いかなる原発への攻撃も自殺行為だ。攻撃が終わることを願っている」
攻撃が続けば大惨事につながりかねない中、ロシア、ウクライナ双方は「相手が攻撃した」と互いに非難を続けていて、解決策は見い出せていない。【8月9日 FNNプライムオンライン】
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大惨事につながるような攻撃をウクライナ側がするというのも考えにくいですが、さりとて、ロシア側が1回だけならまだしも、連日攻撃を偽装するというのもこれまた考えにくい話で、よくわかりません。
先進7か国は10日、ロシアの原発占拠は「地域を危険にさらす」ものだとして、原発を直ちにウクライナ側に引き渡すよう要求しています。
しかし、ザポリージャ原発周辺では危険な状況が続いています。
****ロシアが原発周辺からロケット弾攻撃、13人死亡=ウクライナ****
ウクライナは、ロシアが占拠したザポロジエ原子力発電所の周辺からロケット弾を発射し、少なくとも13人が死亡、10人が負傷したと明らかにした。危険があるためウクライナ側が反撃できないことを知りながら攻撃していると非難した。
ウクライナによると、ロシアが標的にしたのは原発からドニプロ(ドニエプル)川を隔てたマルハネツという町で、ロシアは過去にウクライナが同原発のロシア兵を砲撃するのに使用した町だとしている。
ゼレンスキー大統領は10日、ウクライナ軍はマルハネツへの砲撃に対抗すると表明。同軍によると、ロシアはザポロジエ地方の他の複数の地域も砲撃した。
マルハネツの近くに位置しウクライナが支配しているニコポリの市長はテレグラムへの投稿で、近隣地域が過去1週間ほぼ毎晩、ロシアの砲撃を受けていると語った。
ゼレンスキー大統領はビデオ演説で、同盟諸国により強力な武器の提供を要請。ウクライナと同盟国は「戦争を早期に終わらせるために占領者に最大限の損害を与える方法」を考えなければならないと述べた。【8月11日 ロイター】
ウクライナによると、ロシアが標的にしたのは原発からドニプロ(ドニエプル)川を隔てたマルハネツという町で、ロシアは過去にウクライナが同原発のロシア兵を砲撃するのに使用した町だとしている。
ゼレンスキー大統領は10日、ウクライナ軍はマルハネツへの砲撃に対抗すると表明。同軍によると、ロシアはザポロジエ地方の他の複数の地域も砲撃した。
マルハネツの近くに位置しウクライナが支配しているニコポリの市長はテレグラムへの投稿で、近隣地域が過去1週間ほぼ毎晩、ロシアの砲撃を受けていると語った。
ゼレンスキー大統領はビデオ演説で、同盟諸国により強力な武器の提供を要請。ウクライナと同盟国は「戦争を早期に終わらせるために占領者に最大限の損害を与える方法」を考えなければならないと述べた。【8月11日 ロイター】
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ロシアが占領するウクライナ南部クリミア半島の軍用空港で9日、大規模な爆発が起き、少なくとも1人が死亡しました。ロシア側は事故と説明していますが、ウクライナ側の抵抗運動や特殊部隊がかかわったとの情報もあります。
****クリミア半島の空軍基地爆発、ウクライナ特殊部隊などが関与か 米メディア****
ウクライナ南部のクリミア半島で起きた大規模な爆発をめぐり、アメリカメディアは10日、ウクライナの特殊部隊が関与したと報じました。
ロシアが支配するクリミア半島の空軍基地で9日、大規模な爆発がありました。
これまで、爆発の経緯はわかっていませんでしたが、アメリカのニューヨークタイムズは10日、ウクライナ軍幹部の話としてウクライナの特殊部隊とロシアの支配に抵抗する地元勢力が関与したものだと報じました。
ウクライナ軍は現在、南部のヘルソン州を中心に反撃を強め、ロシアからの奪還を目指していて、その一環としてロシア軍基地の無力化を狙った可能性もあります。(後略)【8月11日 日テレNEWS】
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こちらも真相はまだ不明です。