(イラクの首都バグダッドで、共和国宮殿に侵入したイスラム教シーア派指導者ムクタダ・サドル師の支持者(2022年8月29日撮影)【8月30日 AFP】)
【イランとの距離をめぐる政治対立は多くの犠牲者を出す混乱へ】
激しい内戦を経験した中東イラクは、大きく見ればイスラム教シーア派、同スンニ派、クルド人勢力の三者で相争う構図ですが、シーア派の中にもイランと距離を置く勢力と親イラン勢力があるなど内情は複雑です。
昨年9月に行われた議会選挙では、イランとは距離を置くシーア派のサドル師のグループが第1党になったものの、単独での組閣ができる数ではありませんでした。
そのため連立工作が続けられてきましたが、予想されたように複雑な対立関係のなかで難航。
今年6月、サドル師はグループ議員全員の辞職を指示。これをきっかけに激しい政治闘争が行われています。
後述するように、この政治闘争は多くの死者を出す衝突に発展していますが、下記記事はその衝突直前の記事です。
ちなみにサドル師は、これまでも米軍への武力抵抗や過激な政治行動などでイラク内戦・政争・混乱の中心にいた、ある意味トラブルメーカー的な存在です。
****市民の間に漂う不安:イラクは再び内戦の時代に戻ってしまうのか?****
(中略)シーア派でイランの影響力を排除しようとするサドル派というグループと、親イラン・シーア派の政治グループである法治国家連合(CF)が政治の主導権を巡って対立。
あまりにも火花を散らし過ぎていて、市民の間では「また内戦が起きるのか?」という不穏な空気が流れています。
今日は今イラク政治で何が起きているのかを解説したいと思います。
イラク政治の混乱とその経緯
ここまで、イラクの政府は事実上の「挙国一致内閣」という形でイラクの多数派であるシーア派の政党が実権を握り、スンナ派とクルド勢力に役職を分担する形(ムハササ制度)になっていました。
その中で実施された2021年の9月の議会選挙。
結果は「サドル潮流」というシーア派でイラク・ナショナリズムを強調する勢力が329議席中74議席を獲得し第一党に。このグループはスンナ派やクルド人の勢力を組み込み、「国民多数派政権」の樹立を目指しました。
その中でサドル派が試みたことが、イランの影響力を持つファタハ連合やダワ党といった、以前政権の中枢を担っていた法治国家連合(CF)の勢力を排除することでした。
現サドル派のトップであるムクタダ・サドル師は、イラクのシーア派の宗教指導者として尊敬される一家の出身で、父であるムハンマド・サーディク・サドルもイラク・シーア派の宗教指導者でしたが1999年に当時のフセイン政権により処刑されています。
彼はマフディ軍と言われるシーア派の民兵組織を率いて米軍を「占領軍」として抵抗運動を展開。同時に慈善活動にも力を入れるなどして、イラクの貧困層には固い支持基盤が存在しています。
サドル師自身、反イランという訳ではありませんが、イラクにイランの影響力が浸透することを快くは思っていません。また長く続いたシーア派政権で汚職が酷くなり、イラク国民のこのCFに対する不信感もピークに達していました。
それが今回の議会選挙でサドル派が議席を伸ばした一方で、イランの影響を受けるファタハ連合などCFに参加する勢力が議席を大幅に減らした原因でもあります。
現CF側のトップであるヌーリ・マリキ氏はイラク民主化直後から実権を握り、2006年から2014年までの8年間、首相を務めていた人物です。彼が返り咲くことは汚職対策がなされないことを意味すると市民からも見られています。
さて、議会第一党を勝ち得たサドル派でしたが、その後の政権発足で大きく躓きます。
議長の選出までは議会過半数の支持で可能なのですが、政権発足のために必要な大統領の選出が議会の2/3の支持が必要となるためです。その圧倒的多数の議席はサドル派とその連立勢力は持っておらず、長く交渉が続けられましたが、サドル派とCFの交渉は決裂しました。
次にサドル師が何をしたかというと、「サドル潮流」の全議員に辞職するよう6月に命じました。
さあ、ここでCF側は大きなアドバンテージを得ることになります。イラクの選挙法では、選出議員が辞職した後はその選挙区の第二位の候補が繰り上げ当選されます。サドル派の議員の多くはシーア派が多数派の地域の選出なので、その後に位置する候補はほぼ全員がCFに支持された候補たちでした。これでCFは議会多数派を占めることになりました。
しかしサドル派も黙っては見ていません。CFが政権発足に動き出すと今度はサドル派が支持者に対して議会を包囲してデモを行うよう命令。50℃近くなる真夏のバグダードで、数週間に渡る反CFデモを現在も展開しています。サドル派は議会解散と再選挙を求めています。
一時は議会も占拠され、最高裁判所前でもデモを実施し裁判所業務がイラクの多くの地域で停止する事態にもなりましたが、現在は議会前の座り込みとイラク南部各都市でのデモが継続されています。(中略)
CF側もカウンターデモを実施していますが、サドル派を刺激しすぎない程度に抑えていることが見て取れます。しかしデモが終わるまではサドル派との交渉にも応じないとしており、事態の膠着は長く続くでしょう。
ここまで事態が悪化した理由には、CF側のトップで前首相でもあるマリキ氏とサドル師の個人的な対立もあると見られています。
2008年、サドル派とマリキ政権軍の間で2ヵ月という短期間ながら戦闘が勃発しています。当時は米軍が政権側の支持として介入したこともあり、サドル派側が停戦に応じました。しかしこれ以降、サドル師とマリキ氏の対立は決定的となり、今もその怨恨は尾を引いています。
そして去る7月、マリキ氏の録音が暴露されたことが二人の対立の火にさらに油を注ぐ結果となりました。
イラク人ジャーナリストがマリキ氏との会話を秘密裏に録音し、それをTwitter上で公開したのですが、そこでマリキ氏はサドル師のことを「殺人鬼」や「臆病者」と罵りました。
マリキ氏はこの録音を自分のものではないと否定。サドル師も支持者に対して平静を保つよう呼びかけていますが、この直後にデモが激化していることを考えると、サドル師はかなり癇に障ったのではと思われます。
デモが始まり2ヵ月弱、今は大規模なデモと座り込みが交互に起き、膠着していますが、いつ支持者同士の小競り合い起きてもおかしくはない状態が続いています。
内戦の記憶と危惧
現在、サドル派のデモもCF側のカウンターデモも比較的静かで、デモ隊同士の衝突には至っていません。一時は議会のある政府中枢地域で治安部隊を隔てて一触即発の状態にもなったそうですが、なんとか抑え込みが行われたそうです。(後述のように、その後衝突に発展しています)
このようにシーア派内部でヒートアップしている状況を受けて、イラク市民の間には「また内戦が起きるのか」という不穏な空気が流れています。SNS上でもその話題でもちきりです。2008年のシーア派内部の内戦は短期間で終わりましたが、今度はどうなるか分かりません。
イラク中央の問題で関係がないというクルド人の間でさえも、1990年代の自民族同士の内戦が今も記憶に新しいことから、いつどんな小さな出来事がきっかけで血みどろの内戦に進んでしまうのかと危惧する声が聞こえてきています。
もしシーア派内部での内戦となれば、スンナ派勢力やクルド人勢力が今度は力を付けるきっかけともなるでしょう。シーア派グループでもそれは分かっているため、何とか武力衝突には発展しない程度に自分の要求を受け入れさせることを目指していることでしょう。
しかし前述したように、武力衝突というのはどんな小さなきっかけで起こるか分かりません。
2003年のイラク戦争以降、スンナ派とシーア派政権の内戦、シーア派内部の内戦、過激派組織ISISとの戦闘と、ずっと何かしらの戦闘が行われてきたイラク。ここ数年、やっと落ち着きが戻り、経済も上向き始めている現在、市民の誰も再び内戦の時代に戻ることは望んでいません。
中央政治の対立が、早く解決されるといいのですが。【8月27日 牧野アンドレ氏 Newsweek】
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「また内戦が起きるのか」という不穏な空気・・・・その不安が更に高まり、犠牲者を出す衝突に発展しています。
まずサドル師が政治引退を表明して揺さぶりをかけます。
****サドル師「政治から引退」 イラク、他勢力揺さぶりか****
イラクの有力なイスラム教シーア派指導者サドル師は29日、政治から「完全に引退」するとの声明をツイッターで発表した。サドル師は過去にも政界から身を引くと述べた後に復帰してきた。政情の混乱が続く中、対立する政治勢力を揺さぶる狙いがありそうだ。
イラクメディアなどによると、声明発表後、サドル師の支持者らが他の政治勢力に対する抗議を激化させ、旧米軍管理区域(グリーンゾーン)にある政府機関の敷地になだれ込んだ。首都バグダッドでは当局が29日午後からの外出規制を発表した。【8月29日 共同】
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そして、とうとう衝突が。
****イラクでサドル師派と親イラン派が衝突、少なくとも17人死亡****
イラクの首都バグダッドで29日、イスラム教シーア派の指導者サドル師の支持者と対立する親イラン勢力が衝突し、警察と医療関係者によると少なくとも17人が死亡した。
サドル師はこの日、政治活動から引退する意思を表明。ツイッターで「私はここに最終的な撤退を発表する」と発表し、改革を求めるサドル師の声に耳を貸さない同じシーア派の政治指導者を批判していた。
この数時間後、議会前ですでに数週間にわたる座り込みを続けていたサドル師の支持者らがデモを展開し、首相府の建物を襲撃する事態に発展した。
目撃者によると、サドル師支持者に向かって発砲したり、空に向けて発砲する者があった。また、対立するグループは互いに石を投げつけ合ったという。
サドル師はその後、あらゆる勢力の武器使用に抗議しハンガーストライキを行っていると述べた。
また、イラク軍は混乱の拡大を懸念して、全土に夜間外出禁止令を発令した。
イラクでは昨年10月の総選挙でイランの影響力排除を掲げたサドル師派が第1党になった。しかし、連立政権を樹立できず、サドル師派の全議員が辞職。サドル師は早期の解散総選挙を要求している。【8月30日 ロイター】
サドル師はこの日、政治活動から引退する意思を表明。ツイッターで「私はここに最終的な撤退を発表する」と発表し、改革を求めるサドル師の声に耳を貸さない同じシーア派の政治指導者を批判していた。
この数時間後、議会前ですでに数週間にわたる座り込みを続けていたサドル師の支持者らがデモを展開し、首相府の建物を襲撃する事態に発展した。
目撃者によると、サドル師支持者に向かって発砲したり、空に向けて発砲する者があった。また、対立するグループは互いに石を投げつけ合ったという。
サドル師はその後、あらゆる勢力の武器使用に抗議しハンガーストライキを行っていると述べた。
また、イラク軍は混乱の拡大を懸念して、全土に夜間外出禁止令を発令した。
イラクでは昨年10月の総選挙でイランの影響力排除を掲げたサドル師派が第1党になった。しかし、連立政権を樹立できず、サドル師派の全議員が辞職。サドル師は早期の解散総選挙を要求している。【8月30日 ロイター】
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発砲いたる混乱の状況は詳しくわかっていませんが、サドル師側に報道のような多数の死者が出た(別報道では20人)ということであれば、サドル師側はこのまま引き下がることはないようにも思えます。
この事態に、グテレス国連事務総長は29日、全関係者は事態の緊張緩和に向け早急に対策を講じ、いかなる暴力も避けるよう促す」と述べ、自制を呼び掛けています。
混乱の当事者である親イラン勢力に大きな影響力を持つ隣国イランは国境を閉鎖していますが、その意図はよくわかりません。無関係のアピールでしょうか。
****イラン、騒乱起きたイラクとの国境閉鎖 航空便も停止=国営TV****
イランはイラクとの国境を閉鎖し、国民にイラクへの渡航を避けるよう求めた。内務省高官が30日、国営テレビに明らかにした。(中略)イラン国営テレビによると、「騒乱が続いている」イラクへ向かう全ての航空便が停止された。【8月30日 ロイター】
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【石油・ガス資源をめぐるクルド自治政府とイラク中央政府の対立 触手を伸ばすトルコ】
中央政府シーア派に影響力を持つのがイランなら、クルド自治政府とつながりを持つのはトルコ。
イラク北部を支配するクルド自治政府。2017年にはイラクからの分離独立を問う住民投票を強行。圧倒的多数で独立が支持されましたが、イラク中央政府の激しい反発を受け、(クルド人側の内紛もあって)キルクークなど重要拠点を失い、独立への道はとん挫しています。
このクルド自治政府支配地域では石油・ガスが産出されますが、その支配権をめぐっても自治政府とイラク中央政府の対立があります。
自治政府は中央政府を無視して勝手にトルコへ売却していますが、今年2月にイラク最高裁は「クルド自治政府が中央政府石油省の権限の外で天然資源の取引を行うことは違憲である」と決定しています。トルコとの取引の現状はよく知りません。
トルコとクルド自治政府の関係は、上記のような石油・ガスの取引関係の他、以前のクルド人内部の武力衝突にトルコが介入、片方の勢力を支援した経緯もあって、強いつながりがあります。
そのトルコは国内クルド人勢力PKKを厳しく弾圧していますが、イラクのクルド自治政府支配地域内にあるPKK拠点にも空爆を加えています。そうしたこともあって、クルド人住民レベルではトルコへの反発もあります。
****トルコとイラクのクルド人地域:微妙なバランスで成り立つその関係性****
(中略)
トルコとしては上記のクルド自治区との経済的な繋がりを強めることで、敵対するPKKとの戦闘にクルド自治政府を利用しようとする思惑もあります。
共産主義を標榜するPKKとクルド自治政府のイデオロギーの違いも大きい理由であることは間違いないでしょう。
しかしクルド自治区内でトルコ軍がPKKを空爆するという一見主権の侵害を犯してもクルド自治政府がトルコを非難することはほとんどありません。例えそれで民間人が犠牲になったとしても、経済的な繋がりからトルコに口出しができなくなっている様子が見て取れます。
このクルド政治家たちによる「自民族への裏切り行為」に、地元市民の鬱憤が溜まっていることもまた事実です。
政治、経済、市民感情の微妙なバランス
クルド自治政府としては、トルコは域内で孤立しないためのパートナーとなり得る存在。
経済的な繋がりも特にクルド自治区側がトルコに対し依存しており、多くのトルコ籍の会社がクルド自治区の開発にも着手。また中産階級以上のクルド人にとっても、トルコは比較的簡単に渡航ができる場所として休暇を過ごすための欠かせない場所となっています。
このクルド側の依存関係により、トルコとしては軍事面でクルド自治区領内であっても敵対するPKKに対して有利な立場に立つことができています。
しかし市井のクルド人の市民感情は複雑なものがあります。実際、クルド人アイデンティティで繋がるシリアやトルコのクルド人がトルコ国家や軍の暴力にさらされていることは日常の中で頻繁に伝えられています。
事実、2019年にトルコがシリア北東部に侵攻しクルド人勢力と戦闘が起きた際にはここイラクのクルド自治区でも大きな反トルコデモに発展。数万人のクルド人難民がシリア側から新たにクルド自治区内に到着する中で、しばらくの間はトルコ製品の不買運動も起きました。
しかし生鮮食料品をはじめ、多くの生活必需品をトルコ製品に依存しているために、トルコとの経済的な繋がりはクルド人の市民生活にも欠かせないものです。さらにこれは私の中でも意外だったが、トルコへの移住に憧れトルコ語の勉強を頑張る若者も少なからず存在していることでした。
クルド自治区で仕事がない中、トルコ語を話せるようになりトルコの会社に就職することが、イラクのクルド人にとっての生存方法なのかと、少し複雑な気持ちになりました。
また「腐敗したクルドの政治家よりもトルコの方がまだマシだ」と外国人である私に話す現地の友人もおり、クルド自治区内の政治経済状況もこの複雑な関係に寄与していると感じています。
このように、トルコとイラクのクルド自治区の関係性は、政治、経済、そして市民の感情の間で微妙なバランスを保ったまま今日も続けられています。【2月27日 Newsweek】
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クルド自治政府とイラク中央政府の対立の火種となっている石油については、新たな探査や大規模な投資が必要とされる状況にありますが、中央政府との対立によって困難な状況にあります。
****イラク・クルディスタン石油生産、投資なしなら半減も=政府文書****
イラク北部クルディスタン地域での石油生産は、新たな探査や大規模な投資がなければ2027年までにほぼ半減する可能性があることが政府文書で分かった。
この地域を統治するクルド人主体の自治政府「クルディスタン地域政府(KRG)」にとって石油収入の急減は経済的苦境をさらに深刻化させると外交筋やエネルギー専門家は指摘する。
文書によると、クルディスタン地域の石油生産量は、投資が完全に最適化されたシナリオでは5年後に日量58万バレルまで増加し、53万バレルが輸出可能になる。
しかし新たな投資がなければ、古い油田が枯渇し、輸出可能な量は日量24万バレルにとどまる可能性がある。
同地域の石油・ガス委員会のメンバーは「これは非常に危険だ。しかしイラク政府との問題を解決すれば、クルディスタンは新しい鉱区を開発し、生産量を増やすことができる」と述べた。KRGはコメント要請に応じていない。
イラクの憲法では、同地域は国家予算の一部を受け取る権利がある。しかし14年にクルド人がイスラム過激組織「イスラム国(IS)」から北部の主要油田キルクークを奪取し独自に原油を販売し始めたため予算を巡る取り決めは無実化した。
18年、イラク政府軍がキルクークを含む係争地を奪還するとクルディスタン地域への予算配分を一部再開したが、散発的なものにとどまっている。【8月30日 ロイター】
文書によると、クルディスタン地域の石油生産量は、投資が完全に最適化されたシナリオでは5年後に日量58万バレルまで増加し、53万バレルが輸出可能になる。
しかし新たな投資がなければ、古い油田が枯渇し、輸出可能な量は日量24万バレルにとどまる可能性がある。
同地域の石油・ガス委員会のメンバーは「これは非常に危険だ。しかしイラク政府との問題を解決すれば、クルディスタンは新しい鉱区を開発し、生産量を増やすことができる」と述べた。KRGはコメント要請に応じていない。
イラクの憲法では、同地域は国家予算の一部を受け取る権利がある。しかし14年にクルド人がイスラム過激組織「イスラム国(IS)」から北部の主要油田キルクークを奪取し独自に原油を販売し始めたため予算を巡る取り決めは無実化した。
18年、イラク政府軍がキルクークを含む係争地を奪還するとクルディスタン地域への予算配分を一部再開したが、散発的なものにとどまっている。【8月30日 ロイター】
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もちろん新たな探査や大規模な投資にトルコは乗り気でしょうが、イラク中央政府との関係調整が必要になります。
もっとも、イラク中央政府が前述のような政治対立、あるいは武力衝突で機能マヒ状態になれば、クルド自治政府とトルコの間で勝手に進めてしまうということも。