(【2021年3月5日 日テレNEWS24】 学生団体による調査
厚労省が今年2月にインターネットで実施した調査(18~49歳の3000人から回答)では、生理用品の購入や入手に苦労したことが「よくある・ときどきある」との答えは8.1%。【4月18日 東京】)
【英スコットランド 「生理用品の無償提供は平等と尊厳の基礎であり、経済的な障壁を取り除くものだ」】
世界の多くの国々で、女性の権利が制度的、あるいはインフォーマルに仕組みによって制約を受けており、その地位の向上に向けた取り組みがなされています。
その取り組みは、生存に関わるもの、就業・教育といった基本的な人権に関するものもあれば、女性が適正に処遇されるためのより高次な取り組みもあります。
最近注目されているのが、経済的な理由で生理用品を購入できない女性がいるという「生理の貧困」という女性特有の問題です。
****スコットランド、生理用品の無償提供を自治体に義務付け 世界初****
英北部スコットランドで15日、生理用品を必要とする人への無償提供を学校や自治体などに義務付ける法律が施行された。英BBC放送によると、生理用品を無料で入手できる権利が法制化されたのは世界初という。
経済的理由で生理用品を買えない「生理の貧困」が世界各地で社会問題となる中、スコットランド議会は2020年に全会一致で法制化を支持していた。この日施行された法律の対象者は「生理用品を必要とする全ての人」とされ、今後は学校などの公共施設で無料で入手できるようになる。
スコットランド自治政府は17年以降、法制化に向けて2700万ポンド(約44億円)を投じて取り組みを進めてきた。自治政府のロビソン社会正義担当相は施行前日の14日、「生理用品の無償提供は平等と尊厳の基礎であり、経済的な障壁を取り除くものだ。世界で初めてこのような行動を取った(自治)政府であることを誇りに思う」との声明を出した。
英紙ガーディアンはスコットランドの市民団体が18年に公表した調査を引用する形で、女性は月平均13ポンド(約2100円)を生理用品の購入に支出し、生涯では数千ポンドに上ると伝えている。
だが近年は新型コロナウイルス禍などの影響もあり、困窮した女性が生理用品を入手できないケースも指摘されている。こうした中、日本でも対策に乗り出す自治体が徐々に増加。スコットランド自治政府によると、韓国やニュージーランドでも同様に無償化の動きがあるという。【8月17日 毎日】
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上記記事にもあるように、日本でも自治体独自の取り組みは増加しつつあります。
「生理の貧困」に係る地方公共団体の取組(第2回調査 2021年7月20日時点)(内閣府男女共同参画局)によれば下記のようにも。
****「生理の貧困」に係る地方公共団体の取組(第2回調査 2021年7月20日時点)*****
【調査結果】
「生理の貧困」に係る取組を実施している(実施した・実施を検討している)ことを今回把握した地方公共団体の数は581団体。 ※前回調査(第1回調査 2021年5月19日時点)で把握した地方公共団体の数は255団体。
調達元としては、防災備蓄が最も多く、次いで予算措置(予備費の活用も含む。)、企業や住民等からの寄付が多い。
社会福祉協議会や教育委員会と連携して取組を実施している例や、民間事業者と協定を締結して無料のナプキンディスペンサーを設置することで継続的に支援を 行う仕組みを構築している例もある。
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英スコットランドに話を戻すと、世界初の試みではありますが、いろいろと試行錯誤はあるようです。
*****「生理の尊厳担当官」に男性任命、広がる反発 英スコットランド****
英スコットランドのテーサイド地方で17日、初代「生理の尊厳担当官」に男性が任命され、激しい反発が広がった。女子テニスの元スター選手マルチナ・ナブラチロワ氏はこの決定を「ばかげている」と呼んだ。
スコットランドで初めて設置された「生理の尊厳担当官」に任命されたのは、エディンバラの北にあるダンディー市出身のジェイソン・グラント氏。生理用品の無償提供を推進するほか、閉経をめぐる問題についての議論も求められる。
四大大会(グランドスラム)で18回の女子シングルスで優勝18回のナブラチロワ氏は、男性の「生理の尊厳担当官」任命を受けて、「私たち(女性)が男性にひげのそり方や前立腺のケアなどを説明しようとしたことがあっただろうか? こんなのばかげている」とツイッターに投稿した。
英ラジオ局LBCスコットランド支局政治部のジーナ・デビッドソン記者は、娘を連れた女性と生理用品について話すグラント氏の写真が公開されたことを受けて、任命を「マンスプレイニングの典型」と評した。
マンスプレイニングとは、「女性は男性よりも知識がない」というジェンダー的な偏見に基づき、男性が女性を見下したような態度で物事を説明する行為のこと。
コラムニストで女性の権利活動家でもあるスーザン・ダルゲティ氏は「なぜ男を任命することが良い考えだと思ったのか、理解できない」とツイートした。
グラント氏は就任に当たりコメントを発表。「男性であることは障壁を取り除き、偏見を減らし、より開かれた議論を促すのに役立つと思う」「生理の影響を直接受けるのは女性だが、全員にとっての関心事だ」と述べた。 【8月18日 AFP】
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状況を改善していくのに男性も女性も関係ない・・・というのは、一応の理屈ではありますが、現実的には不自然な感じも。
【「女子は敬意を払われるべき存在」と言いつつ、現実には著しい女性の権利侵害】
「女性は男性よりも知識がない」というジェンダー的な偏見に基づき、男性が女性を見下したような態度で物事を説明する“マンスプレイニング”は、このような書き方をすればわかりやすいですが、「女性は肉体的にも、社会的にも弱い存在なので守ってやらねばならない」という話になると、現実世界にも多くの事例が。
そうした「守ってやらなければ」という保護・制約と「母性保護」という観点の取り組みの間には微妙な重複・相違があるようにも。
「守ってやらなければ」ということを建前にして、現実には女性の権利が著しく侵害されているのがイスラム世界であり、特に、タリバン支配化のアフガニスタン。
****「教育に反対する人はいない」 タリバン高等教育相インタビュー****
アフガニスタンのタリバン暫定政権のアブドル・バキ・ハッカーニ高等教育相が、首都カブールで毎日新聞の取材に応じた。
国際社会から懸念が出ている女子教育の制限について「アフガンで教育に反対している人はいない」と述べ、国立大学には女性も通っていると強調した。
再開が延期されている女子の中等学校(日本の中学、高校に相当)については資金不足で女子生徒のための交通手段など「イスラム法に則した」学習環境を整備できないことが理由だと主張した。
タリバン暫定政権は今年3月に中等学校の女子生徒の通学を再開するとしていたが、予定日当日に急きょ延期が発表された。ハッカーニ氏は「我々は資金不足に直面し、男女を別々の場所で教えるための十分な施設がない」と訴えた。
さらに「アフガン社会では、女子は敬意を払われるべき存在だと考えられている」と説明し、男子生徒のように徒歩や公共交通機関で通学するのではなく、車などの通学手段が確保されるべきだと主張した。こうした学習環境整備のために「世界中に支援をお願いしている」と述べた。
タリバン内部で女子教育に反対する声があるとの指摘もあるが、ハッカーニ氏は「我々は教育はすべての人のためのものだと考えている」と否定。一方で「我々にとって重要なのはアフガン社会やイスラム教の信仰に即した方法でなくてはならないということだ」と繰り返した。
報道によると、国連は国際会議などに出席するために一部のタリバン暫定政権幹部を制裁の対象外としてきたが、ハッカーニ氏ら2人を制裁対象に戻した。ハッカーニ氏は「ほかの国に渡航して高等教育の分野で支援を求めることができない」として「アフガンの発展を阻害する動きだ」と批判した。
タリバン暫定政権下では大学の他、小学校でも女子の授業が行われている。
◇大学も男女別学に
これまでアフガンの大学では共学が認められてきたが、タリバン暫定政権は女子学生への配慮のために男女共学を禁止した。当事者である女子学生はどう考えているのだろうか。
8月上旬にカブール大を訪ねると、試験を終えた大勢の女子学生が連れ立って門を出てきた。同大では男女の登校日が分けられ、この日は女子の登校日だった。構内の取材許可は得られず、少し離れた場所で友人と帰宅中のナルゲスさん(21)に声をかけた。
ナルゲスさんは周囲を気にしながら「勉強を続けることができて良かった」と話す一方で「タリバンが政権に就くまで毎日登校できたが、いまは週3日しか登校できないので、その他の日は自宅で勉強している。奨学金で日本で勉強できないか」と訴えた。【8月18日 毎日】
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女子は敬意を払われるべき存在、車などの通学手段が確保されるべき、しかしそうした環境整備のための資金がないので女性の通学は認めない・・・奇妙な論理です。詭弁と言うべきでしょう。
男子生徒のように徒歩や公共交通機関での通学に危険があるというのであれば、対処すべきはそうした危険を生んでいる男性への対応でしょう。
必要なのは、女性に自体に閉じこもることを強要し、顔を覆うことを求めることではなく、女性に危害を及ぼす男性の男根を切除することでしょう。
女性だけの外出が認められず、就業も著しく制約される状況では、男性がいない母子家庭は生きていく術がありません。
****タリバン最高幹部に単独インタビュー 「女性の権利の問題」認識するも「問題とは思わない」****
イスラム主義組織タリバンがアフガニスタンの実権を握って1年。最高幹部の一人・ムッタキ外相代行が、日本メディアの単独インタビューに初めて応じ、「女性の権利の問題は認識」するも「問題だとは思っていない」と述べました。
JNNは、アフガニスタン第二の都市・カンダハルで、タリバン最高幹部の一人・ムッタキ外相代行と接触。ムッタキ氏は、20年前のタリバン政権時代に閣僚をつとめ、前アフガン政権やアメリカとの和平交渉の際、タリバンの代表団を率いていました。
タリバン ムッタキ外相代行
「(予算内で)約8000人の職員の給与を支払い生活を維持できています」
国の統治は順調に進んでいると強調したムッタキ氏。女性の権利や教育への厳しい制限が、男性がいない母子家庭の命を脅かすとの指摘については。
タリバン ムッタキ外相代行
「我々は9200人の女性の職員を抱えています。多くの部署で女性が活躍しています。つまり問題として取り上げられるレベルのものとは認識していません。我々は女性の権利を守るために、具体的な政策を実施できるように努力しています」
このように述べたものの、女性の権利をめぐる具体的な策については明らかにしませんでした。【8月18日 TBS NEWS DIG】
JNNは、アフガニスタン第二の都市・カンダハルで、タリバン最高幹部の一人・ムッタキ外相代行と接触。ムッタキ氏は、20年前のタリバン政権時代に閣僚をつとめ、前アフガン政権やアメリカとの和平交渉の際、タリバンの代表団を率いていました。
タリバン ムッタキ外相代行
「(予算内で)約8000人の職員の給与を支払い生活を維持できています」
国の統治は順調に進んでいると強調したムッタキ氏。女性の権利や教育への厳しい制限が、男性がいない母子家庭の命を脅かすとの指摘については。
タリバン ムッタキ外相代行
「我々は9200人の女性の職員を抱えています。多くの部署で女性が活躍しています。つまり問題として取り上げられるレベルのものとは認識していません。我々は女性の権利を守るために、具体的な政策を実施できるように努力しています」
このように述べたものの、女性の権利をめぐる具体的な策については明らかにしませんでした。【8月18日 TBS NEWS DIG】
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「問題として取り上げられるレベルのものとは認識していない」・・・これは事実隠蔽でしょう。あるいは都合の悪い現実を見ようとしていないとも。