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(テロを繰り返すイスラム過激派「ボコ・ハラム」 “flickr”より By DTN News http://www.flickr.com/photos/54892559@N06/9223221050/in/photolist-f42qhA-f2sgJp-eZCgFs)
【中には生きたまま焼かれた生徒も】
これまでも再三取り上げているように、西アフリカのナイジェリアは豊富な石油資源をもとに著しい経済成長を実現し、その市場に海外資本も注目していますが、一方で、成長のから取り残されている多くの貧困層が存在し、南部キリスト教地域と北部イスラム教地域の間では激しい民族対立が続いています。
特に、イスラム過激派武装勢力「ボコ・ハラム」(地元言語で「西洋教育は罪」)は、主にキリスト教徒を狙った残忍なテロを繰り返し行っています。
そうしたテロのひとつと言えばそれまでですが、あまりにもむごい事件が報じられています。
****武装集団が学校襲撃、30人死亡…ナイジェリア*****
AP通信によると、ナイジェリア北東部ヨベ州で6日未明、イスラム過激派とみられる武装集団が寄宿学校を襲撃し、29人の子供と教員1人を殺害した。
同通信によると、武装集団は子供たちに発砲し、学校に火を付けた。焼け死んだ子供もいた。
ナイジェリアでは、イスラム過激派武装勢力ボコ・ハラム(地元言語で「西洋教育は罪」)が政府施設などへの襲撃を繰り返しており、ジョナサン大統領はヨベ州など北東部3州で今年5月、掃討作戦を開始した。【7月6日 読売】
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“中学校は、宿舎が併設されており、事件時は生徒や教師は睡眠中だった。集団はオイル缶を持ち込み、中には生きたまま焼かれた生徒もいたという”【7月7日 朝日】とも。
犠牲者数については、続報では“42人”と報じられています。
おそらく、ジョナサン大統領が開始した掃討作戦への対抗措置なのでしょうが・・・。
人間性のかけらもない狂気としか思えませんが、ボコ・ハラムは執拗にこうしたテロを繰り返しており、多くの学校が放火され、大勢の生徒が犠牲となっています。
大多数のイスラム教徒はこうしたテロとは無縁な平和的な市民であることはわかりますが、国際社会においてイスラム教徒が尊厳ある地位を占めるためには、まずは世界のイスラム教徒・イスラム国家自身が過激派によるこうした非道を糾弾する姿勢を改めて明確にする必要があるでしょう。
【牛泥棒】
ナイジェリアでは先月末にも多くの犠牲者を出す事件が起きています。
****武装集団が村襲撃、48人死亡=ナイジェリア****
ナイジェリア中部プラトー州の三つの村が27日、武装集団に襲撃され、軍部隊との間で銃撃戦となった。軍報道官は28日、住民少なくとも28人のほか武装集団20人が死亡したと明らかにした。AFP通信が伝えた。
牛泥棒に絡んだ抗争が原因とみられる。被害に遭ったのはキリスト教徒が多い村で、牧畜に携わるイスラム教徒が襲撃に関与した疑いがある。
ナイジェリア中部では近年、キリスト教徒とイスラム教徒の間で土地などをめぐる衝突が多発、多数の犠牲者が出ている。【6月28日 時事】
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詳細はわかりませんが、この事件はボコ・ハラムによるテロではなく、“牛泥棒”絡みの部族対立に宗教的対立も加わったもののようです。
牛はアフリカの住民にとっては貴重な生活な糧であり、各地でしばしば“牛泥棒”をめぐる部族対立が起きています。
2011年末から12年初頭にかけて、南スーダンでも牛をめぐる深刻な衝突が起き、一時は3000人が虐殺されたとの報道も流れました。3000人云々については証拠が見つからなかったということになっています。
****家畜の牛をめぐり過去最悪の民族衝突、政府軍が支配権奪還 南スーダン****
南スーダン東部のジョングレイ州の町ピボルで家畜の牛をめぐり過去最悪の民族衝突に発展した問題で、同国のバルナバ・ベンジャミン情報相は3日、ピボルの支配権を奪還したと発表した。
民族衝突は、ロウ・ヌエル部族の6000人余りの武装集団が、敵対するムルレ部族を牛の強奪犯と名指しし、ムルレ部族のせん滅を誓ってピボルを襲撃したことが発端となった。
武装集団はわらぶき屋根の住居に火を放ち、国境なき医師団が運営する病院を略奪した。
この衝突による避難民は、国連の推計で2万人以上にのぼった。避難した女性や子供、最大で150人が殺害されたとの未確認情報もある。
ベンジャミン情報相は会見で、ロウ・ヌエル部族に対しピボルからの退去を命じ、退去が始まっていることも明らかにした。
国連の報告書によると、同州では昨年1年間に民族間対立、牛の強奪、その報復攻撃による死者が1100人を超え、避難民も6万3000人に達している。民族間対立が新生国家の不安定化要因になることを危惧する政府と国連は同州の駐留軍を強化している。【2012年1月4日 AFP】
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何か事があると、自身の武力で報復・解決しようとする風潮が強く、いまだ、法律にのっとって警察・司法が裁くという社会システムが根付いていないようです。
【停戦後も治安改善しないダルフール】
アフリカでは、土地や水をめぐる農耕部族と牧畜部族の対立もしばしば起きます。
スーダン西部のダルフールでは、非アラブ系農耕部族とアラブ系牧畜部族の対立を背景にした、国連が「世界最悪の人道危機」とも呼んだ大規模な紛争が続いていました。
スーダンに関しては、北部スーダンと南スーダンの衝突・分離独立、その後の緊張関係が注目され、ダルフールの話題はここ数年あまり目にしなくなりました。
“2010年10月23日、カタールの首都ドーハで、カタール政府などの仲介により、スーダン政府と主要反政府勢力「正義と平等運動」が即時停戦を含む「ダルフール問題解決のための枠組み合意」に調印した。また、カタールのハマド首長は、スーダン再建のために約10億ドルを拠出することを明らかにした。
2013年2月10日、スーダン政府と「正義と平等運動」が、カタールの首都ドーハで停戦協定に調印した。”【ウィキペディア】
ということで、反政府勢力とスーダン政府の間で一応の停戦が成立はしています。
ただ、それでダルフールが安定した訳ではないようです。
****NGO事務所にロケット弾、1人死亡 治安悪化のスーダン・ダルフール****
国連(UN)によると、スーダン西部・南ダルフール州の州都ニャラで4日、国際援助団体の事務所にロケット弾が撃ち込まれ、職員1人が死亡、3人が負傷した。負傷者のうち2人は重体という。
国連人道問題調整部(OCHA)によると、攻撃を受けた国際NGO事務所は、同日正午ごろに市内で発生した戦闘に巻き込まれたとみられる。市内にある複数の国際団体の事務所が略奪被害に遭ったとの報告もあるという。被害に遭った団体名は公表されていない。
南ダルフール州当局は、4日の戦闘の原因は治安部隊の中での「意見の相違」だったと発表し、夜間外出禁止令を出した。
国連アフリカ連合ダルフール派遣団(UNAMID)のエルベ・ラドゥス事務次長によれば、ダルフール地方では3日にも、救急車が武装集団の待ち伏せ攻撃を受け、UNAMID要員3人が負傷している。
ダルフール地方の治安はこのところ悪化の一途をたどっている。
最悪の状況は脱したダルフール紛争だが、武装勢力間の戦闘はここ10年にわたって続いている。
特に、アラブ系と非アラブ系の勢力間で戦闘や誘拐事件、自動車強盗などが相次ぎ、治安を脅かしているが、こうした犯罪行為はスーダン政府とつながりのある民兵や準軍事組織によるものとの見方が強い。
国連の推計では、ダルフール地方ではこれまでに30万人が民族間紛争のため国内避難民と化している。【7月5日 AFP】
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