一昨日の金曜日、長野県松本文化会館で行われたサイトー・キネン・フェスティヴァル松本Gigを聴きに行きました。大西順子トリオと小澤征爾指揮サイトー・キネン・オーケストラによるガーシュイン作曲「ラプソディー・イン・ブルー」は、ダイナミック、かつ、しなやかで鳥肌ものの演奏でした。彼女の重厚でパーカッシブなところは、この曲にあっているし、小澤征爾の指揮によるオーケストラがうねるようなグルーヴ感を出していて、最高でした。今夜は大西順子のアルバムです。
JUNKO ONISHI (大西順子)
WOW (somethin'else 1992年録音)
サイトー・キネン・フェスティヴァル松本Gigでは、大西順子トリオだけによる演奏もありました。ベースのレジナルド・ヴィールとドラムスのエリック・マクファーソンは、このGigのためだけにアメリカから呼んだのでしょうが、その甲斐あって、すごい推進力、スイング感で、それだけで興奮しました。ピアノの高音部まで目一杯使った彼女のソロもよかった。
実は、この「WOW」ですが、かなり昔に買ったものの、左手も含めてパーカッシブなところが目立ち、セロニアス・モンクからの影響も強く感じて好みではないとして、積んだままになっていました。しかし、改めて聴いてみると、ジャズの伝統に根ざした多様なところのあるプレイで、曲によっては抒情性もあって、よい方に印象を改めました。
メンバーは、大西順子(p)、嶋友行(b)、原大力(ds)。曲は、大西順子の自作が4曲で、「The Jungular」、「B-Rush」、「Prospect Park West」、「Point-Counter-Point」、デューク・エリントンの「Rockin' In Rhythm」、セロニアス・モンクの「Brilliant Corners」、エデン・アーべズの「Nature Boy」、オーネット・コールマンの「Broadway Blues」の全8曲。初リーダー作ということもあってか、意欲的な曲目が並んでいます。
厚い和音を用いるなど低音部も使ったダイナミックなプレイで、よくスイングしています。大西さん自作の「The Jungular」や、エリントン作曲の「Rockin' In Rhythm」は、彼女の奏法の特徴が良く出ていて、スケール感があり、なかなかの迫力。自作の「B-Rush」は、ちょっと「Alone Together」に似たテーマを持ち、右手シングルライン中心のアドリブもしっくりきて、気に入りました。「Nature Boy」は、スローテンポで繊細なプレイから盛り上げていきますが、こういうスタンダードも悪くありません。
【サイトー・キネン・フェスティヴァルプログラム、翌日の信濃毎日新聞記事】
会場全体が華やかなムードに包まれており、そのムードに乗せられるまま、記念にプログラムを購入しました。