安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ヤン・ラングレン PLAYS THE MUSIC OF VICTOR YOUNG

2012-05-27 20:11:42 | ピアノ

単身赴任生活も、約2カ月が過ぎようとしています。仕事と飲会、炊事洗濯だけでは、潤いに欠けると思い、CDプレイヤー、プリメインアンプ、スピーカーを買おうと物色を始めました。土日も飯田市や下伊那郡での仕事が多く、長野市の自宅へなかなか戻れないことも理由です。CDラジカセはありますが、もう少しいい音で聴きたいと、低予算でスピーカーは場所をとらないものを探しています。試聴用によさそうなアルバム。

JAN LUNDGREN (ヤン・ラングレン)
PLAYS THE MUSIC OF VICTOR YOUNG (Sittel 2000、2001年録音)

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オーディオショップを2~3軒回ってみましたが、トール・ボーイ型も含め最近の小型スピーカーは、低音も出ていて、驚きました。例えば、試聴したJBLのSTUDIO5シリーズの530CHは、ペアで実売6万円台とは思えないものでした。試聴用に持っていったのは、このアルバムですが、ピアノ・トリオにヴォーカル、テナー・サックスが曲により入り、ベースがメロディを弾く曲(「Love Letters」)もあって試聴に好都合です。

メンバーは、ヤン・ラングレン(p)、マティアス・スヴェンソン(b)、ラスムス・キールべり(ds)に、曲によりゲストとして、ステイシー・ケント(vo)、デボラ・ブラウン(vo)、ジョニー・グリフィン(ts)が参加します。デンマークのコペンハーゲンで4回に分けて録音されていて、丁寧なプロデュースが行われたものと推測いたします。

収録曲を見ると、ヴィクター・ヤングは、本当にいい曲を書いたと感嘆します。ピアノ・トリオで「Song Of Delilah」、「Golden Earrings」、「Sweet Sue - Just You」、「Love Letters」、「Alone At Last」、ステイシー・ケントを迎えた「I Don't Stand A Ghost Of A Chance With You」、「Street Of Dreams」、「My Foolish Heart」(愚かなり我が心)、デボラ・ブラウンを迎えた「A Hundred Years From Today」、「Stella By Starlight}(星影のステラ)、「Beautiful Love」、そして、ジョニー・グリフィンを迎えた「A Weaver Of Dreams」、「When I Fall In Love」の全13曲。

味わい深い作品で、ゆったりとした時間に聴きたい作品。ピアノ・トリオでは、哀切窮まりないメロディの「Golden Earrings」や歯切れのいいタッチが光る「Sweet Sue - Just You」が注目され、歌ものでは、ステイシー・ケントがスローテンポで丁寧に歌う「I Don't Ghost of A Chance」やデボラ・ブラウンが自在に歌う「Beautiful Love」が気に入りました。ジョニー・グリフィン(ts)がメロディーを吹く「When I Fall In Love」は風格が感じられます。

このCDは、いいオーディオ装置で聴きたいものです(笑)。


エディ・ヒギンズ SOULERO

2012-05-23 22:51:32 | ピアノ

先週の週末、久しぶりに安曇野市の家(実家)に帰り、雑用をしてきました。掃除をしていると、飯田市の単身赴任宅に持っていくと良さそうな、新品のお盆や座布団があったので、もらってきました。使い勝手もよく、たいへん重宝しています。単身赴任宅では、CDしか聴けませんが、このところ出される廉価盤を通信販売で入手しており、重宝しています。最近発売された、アトランティック盤です。

EDDIE HIGIINS (エディ・ヒギンズ)
SOULERO (ATLANTIC 1965年録音)

 Souleroeddiehiggins

1950年代、60年代に、シカゴで活躍したピアニストは、サービス精神があって、エンタテイメントに優れたアルバムを残しています。例えば、ラムゼイ・ルイスやハロルド・ハリスですが、このエディ・ヒギンズもその一人に数えていいのではないでしょうか。彼は、近年、日本のヴィーナス・レーベルからアルバムを出していたので、知名度もあります。

このアルバムは、レプリカ盤、ヴィージェー盤に次ぐ、ヒギンズの3枚目のものですが、リズミックで、よくスイングし、適度にブルージーなプレイをしていて、結構気分が高揚します。ピアノ・トリオで、メンバーは、エディ・ヒギンズ(p)、リチャード・エヴァンス(b)、マーシャル・トンプソン(ds)。

曲は、バラエティに富んでいて、ヒギンズの自作「Tango Africaine」、リチャード・エヴァンス作「Soulero」と「Mr.Evans」、ビル・トラウト作「Shelle's World」、ジョン・ルイス作のおなじみの「Django」(ジャンゴ)、スティーヴン・フォスター作「Beautiful Dreamer」(夢みる人)、そしてスタンダードの「Love Letters」、「Makin' Whoopee」の8曲。

「Tango Africaine」には、タイトルどおり、タンゴのリズムなのでびっくりしましたが、面白いです。「Beautiful Dreamer」をジャズでやっているのも珍しいですが、適度にスイングしていて楽しい。バラードの「Love Letters」は、途中からスイングしますし、「Makin' Whoopee」も、ゆっくりしたテンポで出て、次第に早くなっていく趣向。ヒギンズは右手でスタッカート気味にピチピチとした音を出すので、僕は勝手にピチピチ派と名付けています(笑)。

【梓川サービスエリアからの北アルプス】

天気が良かったので、山に向かって写真を撮ってみましたが、青空ばかり映ってしまいました。

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メリー・アン・マッコール DETOUR TO THE MOON

2012-05-20 07:28:06 | ヴォーカル(L~R)

このごろ、南信州(飯田市と長野県下伊那郡)のあちこちに出かけることが多くなっていますが、先日は、天龍村の中井侍(なかいさむらい)に行ってきました。当地はお茶が栽培されていて、新茶のこの時期ならではの茶摘みの様子も見ることができました。また、茶畑から見た天龍川と渓谷の光景は、絶景と言ってよく、しばし見入りました。その景色を思い浮かべながら聴いたヴォーカルです。

MARY ANN McCALL (メリー・アン・マッコール)
DETOUR TO THE MOON (JUBILEE 1958年録音)

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ヴォーカル・アルバムの
タイトルの中には意味がわかりにくものがあり、「Detour To The Moon」は、直訳すると「月への回り道」という意味なんでしょうが、長年不思議なタイトルだと思っていました。曲の方は、「Detour Ahead」で、素直に「回り道」ととればいいだろうと思いますけれども。これは、メリー・アン・マッコールの、月に因んだ歌を集めたアルバムです。

伴奏は、コンボで、曲によりチェロ・ヴィオラが加わります。メンバーは、ジミー・レイニー(g)、テディ・チャールズ(vib)、ジョージ・デュヴィヴィエ(b)、ジェリー・シーガル(ds)の編成と、レイニー(g)、チャールズ(vib)、マル・ウォルドロン(p)、オスカー・ぺティフォード(b)。ジミー・レイニーは、ソロ・オブリガートなどで活躍していますが、テディ・チャールズは、参加が不明なくらい出番がなく、編曲をやったのではないかと推測しています。

曲は、「Detour Ahead」、「I Wished on The Moon」、「The Moon Was Yellow」、「Oh! You Crazy Moon」、「Moonlight Becomes You」、「Moonglow」、「Shine On Harvest Moon」、「Blue Moon」、「East of The Sun」、「No Moon at All」、「It's Only A Paper Moon」、「Moon Country」の12曲。おなじみのものばかりですが、ジョニー・マーサー作詞、ホーギー・カーマイケル作曲の「Moon Country」は、珍しい。

マッコールは、ウディ・ハーマン楽団やチャーリー・バンチェラ・グループに在籍した経歴からもわかるように、ジャズテイストの高い歌手です。歌声は、ややクールに響きますが、バラードも情感豊かに歌います。全体にいいですが、軽くスイングした「Moonglow」や「I't Only A Paper Moon」、弦を入れてしんみりとした「I Wished On The Moon」あたりが印象に残ります。月に関した歌を知るのにも好都合なアルバム。

【長野県天龍村中井侍のお茶畑】

いい香りと甘味が感じられて、たいへん美味しいお茶です。

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パット・マルティーノ EXIT

2012-05-13 22:09:37 | ギター

きのうは、長野県下伊那郡根羽村の植樹祭があったので、出かけてきました。矢作川の水源地に当たるので、愛知県の安城市や明治用水の関係者や市民も、その縁で大勢おみえになっていました。根羽村の特産品は、きれいな木目の「杉の木」、山で捕れる「鹿の肉」、地元の原料を用いた「ヨーグルトやソフトクリームなどの乳製品」や「豆腐」、「そば」などです。ヨーグルトを買ってきましたが、酸味がさわやかで美味しい。緊張感もあるギターです。

PAT MARTINO (パット・マルティーノ)
EXIT (MUSE 1976年録音)

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パット・マルティーノは、コルトレーン以降のジャズや、ロックの影響も消化したギタリストですが、1970年代のアルバムは、無機質なフレーズや乾いたサウンドの傾向に、あまり親しみが持てませんでした。僕は当時、ギターといえば、ウェス・モンゴメリーやケニー・バレルだったので無理もなかったのですが。

かなり経ってからですが、聴き返してみると、スピード感やアクセントを頭に持ってくるフレーズ、あまり情緒をからめない演奏もなかなかいいと感じ始めました。彼のファンは多く、好みも様々だろうと思いますが、硬質なオリジナルとスタンダードの選曲もいいので、僕は、このアルバムをたまに聴いてきました。

メンバーは、パット・マルティーノ(g)、ギル・ゴールドスタイン(p)、リチャード・デイヴィス(b)、ビリー・ハート(ds)。曲は、マルティーノの自作が「Exit」と「Three Base Hit」の2曲、スタンダードの「Days of Wine and Roses」(酒とばらの日々)、ジャズメンオリジナルですが、スタンダード化している、D・エリントンの「Come Sunday」、K・ドーハムの「Blue Bossa」そしてB・ゴルソンの「I Remember Clifford」の全6曲。

マルティーノのギターから、マシンガンのように出る細かい音符が連続したフレーズは、迫力があり、また爽快感もあります。ピアノのゴールドスタインも同傾向の演奏をしていて、そのあたりを堪能できるのが、自作の「Exit」、「Three Base Hit」。スタンダードは、どれもテーマをきちんと弾いていて、「Days of Wine and Roses」、「I Remember Clifford」と、力がこもったソロで、甘さは控えめながら、飽きがきません。「Blue Bossa」のソロもかっこいい。

【根羽ヨーグルト】

製造者は、ネバーランド株式会社。根羽とネバーとかけたのでしょうか。アイスクリームや、豆腐などもこの会社の製造です。

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サル・ニスティコ JUST FOR FUN

2012-05-06 19:12:41 | テナー・サックス

5月3日は、下伊那郡大鹿村(長野県)に行き、この土地に伝わる大鹿歌舞伎を初めて観ました。役者さん、弾き語りをはじめ裏方さんまで、もちろん地元の方ですが、本格的で感動しました。会場では、掛け声やおひねりが飛び交うなど、客席と舞台に一体感がありました。数人の小学校4年生が子役として出演し、やんやの喝采をあびていました。台詞や演技にアドリブを交えた演出もあって、演目は人情ものですが、愉快な一面も出ていました。飯田市内に戻った後は、居室でジャズ三昧。

SAL NISTICO (サル・ニスティコ)
JUST FOR FUN (EGO 1976年録音)

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ドイツのEGOレーベルは、ピアニストのジョー・ハイダーが主宰していたもので、活動期間は、1975年から1984年まででした。ダスコ・ゴイコヴィッチ(tp)の「After A Long Time」などを例外として再発されてきませんでしたが、このたびOrganic Musicが、ボックス・セットでCD復刻してくれたので早速購入しました。今回はvol.1となっているので、続編も期待したいところです。

4枚組のセットの内訳は、ダスコの「After A Long Time」、サル・ニスティコ(ts)の「Just For Fun」、ベニー・ベイリー(tp)の「Serenade To A Planet」と「East Of Isar」です。今日は、その中のサル・ニスティコのものですが、彼の作品中、「Coming' On Up」(Riverside)を拙ブログでは昨年9月に取り上げました。

メンバーは、サル・ニスティコ(ts)、ジョー・ハイダー(p)、ギュンター・レンツ(b)、ジョー・ネイ(ds)。曲は、ジョー・ハイダーの自作が3作で、「7787」、「I Remember Duke」と「Beautiful Black Casanova」、サル・ニスティコの「Groovin' Sal」、ギュンター・レンツの「Do Not Make Circles」とメンバーの5曲に、スタンダードの「Invitation」の全6曲。

モーダルさも感じられるエネルギッシュな作品です。初期のウェイン・ショーターを思わせるようなハードボイルドなニスティコ(ts)、輝くタッチできらびやかなフレーズを繰り出すハイダー(p)と、しばし興奮しました。エキゾチックで美しいメロディの「Beautiful Black Casanova」、バラード「I Remember Duke」そしてスピード感のある「7787」と、ハイダーの自作曲の曲想もよく、スタンダードの「Invitation」も収録されていて親しみやすさもあります。

【大鹿歌舞伎】

国選択無形民俗文化財で、300年余りの歴史があり、5月3日と10月の第3日曜日に定期公演が行われています。昨年は、原田芳雄さん主演の映画「大鹿村騒動記」が公開されて、全国にこの村と歌舞伎が広く知られるようになりました。

大鹿村ホームページ   村や歌舞伎の紹介があります。

2012年5月3日の舞台の様子。天候の関係で、小学校の体育館での公演でした。

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