安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

カウント・ベイシー JAZZ AT THE SANTA MONICA CIVIC '72

2011-03-27 22:05:26 | ヴァイブ、オルガン他

送別会のシーズンですが、東北地方太平洋沖地震や原子力発電所の事故があり、僕の回りでは自粛ムードです。そんな中、お世話になった方が定年を迎えたり、早期退職をする人がいたりで、送別会を催しました。送られる方の思い出話や今回の災害のことが話題に上りましたが、最後は皆で頑張ろうということでお開きにしました。パワーをもらえそうなアルバムです。

COUNT BASIE (カウント・ベイシー)
JAZZ AT THE SANTA MONICA CIVIC '72 (PABLO 1972年録音)

 Jazzatthesantamonicacivic72

ヴァーヴ・レーベルのプロデューサーだったノーマン・グランツが新たに立ち上げたパブロ・レーベルの第一弾です。ヴァーヴ時代のスターたちを集めて行ったコンサートの実況録音で、ベテランを中心とした楽しさ溢れる演奏、歌が収録されています。新譜として出された当時、NHKFMの番組「ジャズ・フラッシュ」でかかったのを耳にしてすぐ買いに走り、聴きまくりました。

メンバーは、カウント・ベイシー楽団、エラ・フィッツジェラルド(vo)、スタン・ゲッツ(ts)、オスカー・ピーターソン(p)、トミー・フラナガン(p)、ハリー・エディソン(tp)、アル・グレイ(tb)、エディ・ロックジョー・デイビス(ts)、ロイ・エルドリッジ(tp)、フレディ・グリーン(g)などスイング~モダンにかけての豪華メンバーです。

最初の曲が、「Basie Power」(ベイシー・パワー)で、ベイシーのイントロに、フレディ・グリーンのリズム・ギターが被さり、続いてこれでもかのアンサンブルで全員一丸となったパワフルな演奏が続きます。この醍醐味はベイシー楽団ならではで、ソロはジミー・フォレスト(ts)とエリック・ディクソン(fl)がとっています。50年代の全盛期に比肩するトラックで、これを聴くと元気が出るかのようです。

ベイシー楽団の演奏する「Meeting」や「Blues In Hoss's Flat」は楽しく、オール・スターズによるジャム・セッション「In A Mellow Tone」では、スタン・ゲッツの低音域から高音域まで自在に操るソロがすごい。同じくジャム・セッションで、エラがリードする「C Jam Blues」、そして、エラの歌う「Shiny Stockings」などなど、聴きどころ満載のアルバムです。 


ヒュー・ローソン PRIME TIME

2011-03-20 17:36:59 | ピアノ

先日、近所の食堂で遅い夕飯を食べていたら、学生と思しき一団が就職活動の話をしていました。どうやら皆苦戦しているようで、地方銀行やIC関連会社、大手建設会社など長野県内に本社がある有名企業を受けたけど落ちたという話が多く、元気がありません。お店のおばさんからは、落ち込まずに他をどんどん回れと激励されていました。元気が出そうな闊達なピアノです。

HUGH LAWSON (ヒュー・ローソン)
PRIME TIME (STORYVILLE 1977年録音)

 Primetime2hughlawson

ヒュー・ローソンは、1935年デトロイトの生まれ(97年死去)で50年代から活躍したピアニストですが、あまり知られていません。70年代後半にはチャールス・ミンガスとツアーをしていますが、77年録音の本作が初リーダー作です。ライナーの執筆はピアニストのホレス・パーランで、H・ローソンは過小評価されていると記しています。

ハードバップタイプでオーソドックですが、早い曲など手数が多く力強いので、はじめはマッコイ・タイナーをもイメージしました。メンバーはヒュー・ローソン(p)、ボブ・クランショー(b)、ベン・ライリー(ds)。購入理由の一つが、ベースがB・クランショーだったことで、彼の演奏はラインがメロディアスなので昔から好きでした。

曲は、ローソンの自作が2曲で「Blue Bones」、「Rip-Off」、クリフォード・ジョーダン作「The Highest Mountain」、C・ミンガスの「The Duke Ellington Sound of Love」、B・パウエルの「I'll Keep Loving You」、Sonelius Smith作「The Need To Smile」、そしてジュール・スタインの名曲「I Fall in Love Too Easily」とJ.T.Willimasの「Make Me Rainbows」の8曲。

スイングしてすかっとした演奏が収録されています。早めの曲がよく、「The Highest Mountain」は、良く動く右手と力強い和音のコントラストが面白く、「Rip-Off」も小刻みなフレーズが小気味よく躍動的。ミディアムテンポの「Make Me Rainbows」は力を抜いたプレイが楽しめ、バラード「I Fall in Love Too Easily」は、詩情を感じさせながらもやや硬派な演奏。


ライオネル・ハンプトン HAMP AND GETS

2011-03-13 11:08:09 | ヴァイブ、オルガン他

昨日、長野市内で行われた結婚式に出席しました。きのうの午前4時ごろ長野県と新潟県境で起きた地震(前日の東北地方の地震の関連かもしれません)があったので、午前5時ごろから出勤していたのですが、招待状をいただいていたので11時頃会場のレストランに顔を出しました。スピーチを行い、挨拶などをしてすぐに職場に戻りましたが、新郎は事情を理解しているのでいいとして、親族の皆さんには失礼をしました。でも、会場は暖かいムードに包まれ、主役の二人は幸せそうでした。ハッピーなアルバムです。

LIONEL HAMPTON (ライオネル・ハンプトン)
HAMP AND GETZ (Verve 1955年録音)

 Hampandgetz

スイング時代にベニー・グッドマン楽団で名を成したライオネル・ハンプトン(ヴァイブ)ですが、そのヴィブラートのほとんどかからない音色は、ミルト・ジャクソンなどのプレイを聴き慣れていると却って新鮮です。ヴォーヴ・レーベルでは大物同士の顔合わせで多くの録音が行われましたが、その中でも興味をひかれる一枚。

ハンプトンの相方は、スタン・ゲッツ(ts)ですが、こういうスイングものをやらせても超一流のプレイヤーだけに、彼のプレイを聴きたくてこの作品を入手する方も多いと思います。メンバーは、L・ハンプトン(vib)、S・ゲッツ(ts)、ルー・レヴィ(p)、リロイ・ヴィネガー(b)、シェリー・マン(ds)で、リズム陣は西海岸の名手達です。

曲目が僕には嬉しいものばかりで、「Cherokee」、バラード・メドレーが「Tenderly」、「Autumn in New York」、「East of The Sun」、「I Can't Get Started」の4曲、「Louise」、「Jumpin' at The Woodside」、そしてハンプトン自作の「Gladys」。レスター・ヤング(ts)に名演のある「Louise」、カウント・ベイシー楽団の急速調ナンバー「Jumpin' at The Woodside」が注目されます。

ライオネル・ハンプトンというと、古そうだと敬遠される向きもあるかもしれませんが、ゲッツの次々と出てくるメロディアスなアドリブ、ハンプトンのスイングしまくりマレットさばき、ルー・レヴィのつぼを得た伴奏などと聴きどころ満載の作品です。ハンプトンとゲッツが白熱したプレイを繰り広げる「Cherokee」と「Jumpin' at The Woodside」が白眉で、ことに後者におけるゲッツのプレイは手に汗握るスリリングなもの。4曲のバラード・メドレーもまた素晴らしい。


キャロル・ローレンス TONIGHT AT 8:30

2011-03-06 21:48:42 | ヴォーカル(A~D)

松本市内に用事があるので行ってくると母に言ったら、マサムラのベビーシューを買ってきてほしいと頼まれました。僕も大好物なので、松本駅近くにあるマサムラ本店で買物をするついでに、コーヒーとともに一つだけいただいてきました。中のクリームはもちろん、上にかかった粉砂糖も美味しくて、このあたりではよく知られた洋菓子です。上品な甘さも感じられるヴォーカルです。

CAROL LAWRENCE (キャロル・ローレンス)
TONIGHT at 8:30 (Chancellor 1960年録音)

 Tonightat830carollawrencecd

「今宵8時半」というタイトルのアルバムですが、これはジャケットに写ったチケットから、ミュージカルの開演時間を指すものでしょう。また、これからキャロル・ローレンスの歌が始まりますよという意味と、彼女が出演したウェスト・サイド物語中の歌「Tonight」をかけたものかと想像を巡らさせるタイトルです。

キャロル・ローレンスは、1957年9月から732回上演されたウエスト・サイド物語のマリア役(主役)を演じたことで有名ですが、歌とともに踊りのできる女優として活躍しました。歌は、素直な癖のないポピュラー系統のもので、ミュージカルからの歌を聴こうとする場合に最適な歌手の一人だろうと思います。

ミュージカルからのヒット曲集で、彼女に相応しい企画といえます。ウエスト・サイド物語から「Something Coming」と「Tonight」、他に「Sleepin' Bee」、「It's Good to be Alive」、「Isn't It a Pity」、「Warm All Over」、「Do It Again」、「You'll Never Get Away From Me」、「This is All Very New to Me」、「Lazy Afternoon」、「It Never Way You」、「Any Place I Hang My Hat is Home」の12曲。

伴奏は、ビッグバンドですが、バラードではストリングスも入ります。舞台の経験がものをいってか、歌詞が非常に明晰で聴きやすく、伸ばした高音が軽くてきれいです。スイングした「It's Good To Be Alive」、バラード「Isn't It a Pity」や「It Never Was You」における優しげな表情がよく、もちろん、S・ソンドハイム作詞、L・バーンスタイン作曲の「Something Coming」と「Tonight」は18番。ミュージカルナンバーを気軽に楽しめる一枚です。

ホームページのヴォーカルにキャロル・ローレンス(Carol Lawrence)を掲載しました。時間があればご覧ください。モダンジャズやヴォーカルを聴こう キャロル・ローレンス

【松本の洋菓子店 マサムラ

 住所:松本市深志2-5-24
 電話:0263-33-2544
 営業:9:00~19:30  定休日:火曜(月2回)
 松本市内に、3店舗ありますが、喫茶があるのは本店だけです。


 
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             お店の入り口

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   ベビーシュー(クリーム) 1個 110円
   ベビーといってもそんなに小さいわけでなく、中はクリームがたっぷりです。

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    コーヒーも美味しかったのですが、器がいいです

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       入口に飾られた砂糖菓子で作られた松本城


ジョン・ルイス GRAND ENCOUNTER

2011-03-02 22:33:40 | ピアノ

信州大学工学部の先生に仕事の関連で用事があって、長野市若里にあるキャンパスに行ってきました。近くに住んではいるものの、工学部のキャンパス内に入ったのは初めてですが、驚いたのは敷地と校舎の狭さでした。結構な業績を上げている、名の通った教授のところにお邪魔したのですが、研究や授業を伸び伸びやるのには、もう少し広い場所があればいいのにと思いながら帰ってきました。広いアメリカのアルバム。

JOHN LEWIS (ジョン・ルイス)
GRAND ENCOUNTER (Pacific Jazz 1956年録音)

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ジョン・ルイス(p)が実質的なリーダーだったMJQ(モダン・ジャズ・カルテット)は、人気コンボでした。クラシックの香りがするといって、僕の友人で熱心なクラシックファンも、MJQだけは聴いていました。ジョン・ルイスはクラシック志向もありますが、他方、僕は彼のプレイにみる推進力、スイングの力のすごさに魅力を感じています。本作品では、それが発揮されたソロが聴けます。

メンバーは、タイトルどおり、イースト(東海岸)の方から、ジョン・ルイス(p)、パーシー・ヒース(b)が、ウェスト(西海岸)からはビル・パーキンス(ts)、ジム・ホール(g)、チコ・ハミルトン(ds)が参加しています。ウェスト・コースト・ジャズという言葉も最近では、あまり聞かれなくなりましたが、一つの雰囲気、イメージを表すものとして現在も有用ではないでしょうか.

曲目は、大スタンダードの「Love Me or Leave Me」、「I Can't Get Started」、「Easy Living」、「Skylark」、「Almost Like Being in Love」そして、ジョン・ルイス作「2 Degrees East -3 Degrees West」(2度東・3度西)という6曲。それぞれ良く知られたものだけに、テーマをどう展開していくのか、メンバーのソロに注目したいところです。

全ての曲がミディアム・テンポ以下ですが、フレーズやリズムが生き生きとしていて、飽きるところがありません。ビル・パーキンス(ts)は、「Easy Living」でレスター・ヤング直系の吹奏をしていますが、この曲の名演の一つとしてあげたいもの。ルイスの簡潔でぐいぐいとスイングしていくピアノも聴ける「2 Degrees East-3 Degrees West」や「Love Me Or Leave Me」など落ち着いたセッションが楽しめます。ジム・ホールもソロをとり、「Skylark」は彼のフューチャーナンバー。