安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ベニー・ゴルソン GETTIN' WITH IT

2010-03-28 20:17:17 | テナー・サックス

昨日の土曜日は、飯田市に用事があったので行ってきました。長野県内でも南の方ですが、吹く風は冷たくて、8分ほど咲いた桜も寒そうでした。赤みを帯びていて、土地の人に聞いたら「ヒガン桜」だそうです。桜並木は、春はすぐそこという景色でした。まだ3月ですが、「Apirl in Paris(4月のパリ)」が入っているアルバムを聴きました。

BENNY GOLSON (ベニー・ゴルソン)
GETTIN' WITH IT (NEW JAZZ 1959年録音)

 Gettin_with_it

「April in Paris」は、E・Y・ハーバーグ作詞、ヴァーノン・デューク作曲の名曲です。絶妙なヴァースがついていて、「パリでは春が通りで踊っているかのようだ」と書かれています。繰り返し出てくる同音の3連譜が印象的です。歌はもちろん、器楽でも取り上げられることも多く、今日はベニー・ゴルソンで聴いています。

赤い桜を見たから、紅い(ベニー)・ゴルソンにしたわけでもありませんが、語呂合わせをしてみました。彼は、「I Remember Clifford」、「Whisper Not」などを作曲し、また編曲もよくする素晴らしい音楽家です。しかし、テナーサックス奏者としては、アップテンポのソロが押しつけがましくて、僕とはいま一つ相性がよくありません。けれども最近はそれにも慣れてきました。

メンバーですが、ゴルソン(ts)、カーティス・フラー(tb)、トミー・フラナガン(p)、ダグ・ワトキンス(b)、アート・テイラー(ds)というハードバップ好きには堪えられないものです。曲目は、「Baubles,Bangles and Beads」、「April in Paris」、「Blue Streak」、「Tippin' On Thru」、「Bob Hurd's Blues」の5曲。スタンダード2曲に、ゴルソンのオリジナルが3曲です。

「April in Paris」ではゴルソンが優しくメロディを吹いていて思わず笑みがこぼれました。アドリブに入ってもその調子を維持しているので、ほんわかとした気分でいられます。テイラーのブラッシュワークもいい塩梅です。アップテンポの「Blue Streak」ではフラー、フラナガンの熱演もきけるなど、全体にまとまった作品です。


ルネ・トーマ MEETING MISTER THOMAS

2010-03-21 22:27:16 | ギター

宴会後には、なるべく飲食を控えるようにしているのですが、先日の飲会後、友人からの誘いに勝てず長野市新田町(しまんりょ小路)にあるラーメン店「麺屋じゃんご」に入りました。お店の名前は、フランスのギタリスト「ジャンゴ・ラインハルト」に由来していてBGMはジャズでした。じゃんごラーメンを頼みましたが、スープは鶏を炊き出した鶏白湯で、麺は極細で、全体に上品な味わいです。また寄ってみたいお店の一つになりました。帰宅して欧州のギタリストの作品を聴きました。

RENE THOMAS (ルネ・トーマ)
MEETING MISTER THOMAS (Barclay 1963年録音)

 Meetingmisterthomas

ジャンゴ・ラインハルトのベストものは持っていますが、今夜はベルギー出身のギタリストのルネ・トーマのアルバムにしました。トーマはハード・バップ期のヨーロッパのギタリスト中、おそらく最も有名で、一時は渡米してjazzlandにも録音を残しています。なお、僕のものはフレッシュサウンドから出た復刻LPです。

このアルバムでは、トーマのよく歌うプレイが楽しめます。メンバーは、トーマ(g)、ジャク・ぺルツァー(as,fl)、Glbert Rovere(b)、Charles Bellonzi(ds)そして、ルー・ベネット(org)というメンバーで、ぺルツァーの他、ベネットのオルガンの活躍が目立ちます。

曲は、トーマの2曲「Meeting」、「Hannies Dream」、J・マクリーンの「Dr.Jeckyll」、W・モンゴメリー「West Coast Blues」そして歌もののスタンダードといっていい2曲「If You Were The Only Girl in THe World」、「Wonderful, Wonderful」で、結構バラエティに富んだ選曲がされています。

興味は「Dr.Jeckyll」と「West Coast Blues」に集まりますが、前者ではテーマに続く、トーマのプレイが端正かつスピード感溢れるもので聴きもの。「West Coast Blues」でも迫力はいま一つですが、長尺のソロをとっています。「Hannies Dream」は、ちょっと物憂げな曲想のバラードで、ぺルツァーのフルートが美しい。

【麺屋じゃんご看板】

  Djangozenkei  Djangoramenkanban  


ポリー・ポードウェル DON'T YOU KNOW I CARE?

2010-03-14 20:47:02 | ヴォーカル(L~R)

3月も半ばになり、平成21年度も残り少なくなってきました。これから送別会のシーズンですが、ここのところ、遠くに転勤する方からご挨拶をいただく機会が増えています。長野市内でも、国内ばかりでなく香港など外国に赴任する人も当たり前のようになりました。別れと出会いの季節の歌というと「蛍の光」あたりが定番ですが、僕の頭をよぎるのは、意味合いは少々異なりますが「Just in Time」です。

POLLY PODEWELL (ポリー・ポードウェル)
DON'T YOU KNOW I CARE? (AUDIOPHILE 1994年録音)

 Dontyouknowicare

「Just in time」は、1956年のミュージカル「Bells are ringing」中の歌で、今や器楽にも非常に多くとりあげられているスタンダード曲です。歌詞の大意は、「自分を見失ってどうしようもない時に、ちょうど君が現れて恋がやってきて、一人ぼっちの生活を変えてくれた」というもので、いいタイミングであなたと出会えた喜びを表現しています。

作詞はベティ・コムデンとアドフル・グリーン、作曲はジュール・スタインで、このコンビは「ピーター・パン」、「ベルが鳴っています」、「ジプシー」、「ド・レ・ミ」、「ファニー・ガール」などのミュージカルの名作を生み出しています。スタインの曲は、軽快で楽しく、かつ派手気味なところがあり、「紳士は金髪がお好き」も彼の作品だといえば雰囲気が伝わるかもしれません。

「Just in Time」は、F・シナトラ、M・トーメをはじめ多くの歌手がとりあげていますが、今日聴いているのは、女性歌手のポリー・ポードウェルのものです。彼女は、ベニー・グッドマンに見出されただけあって、昔のバンド・シンガーのムードを持った歌手です。曲を素直に歌い、声の魅力で聴かせます。

この作品(CD)は、一言でいうと癒し系の作品です。ピアノトリオで曲によりテナーサックスが入る伴奏により、スタンダード曲が穏やか丁寧に歌われます。「Just in Time」、同じくJ・スタインの「Never Never Land」(ミュージカル「ピーター・パン」から)、C・ポーター作の「After You」、「So in Love」など、ポードウェルのささやくような高音部分にうっとりです。


エリック・アレキサンダー SUNDAY IN NEW YORK

2010-03-07 20:57:19 | テナー・サックス

今日は「カミ雪」が降る中、長野インターと松本インター間を往復しました。カミ雪とは、南岸低気圧によって長野県の南部ほど多く降る雪のことで、2~3月に降る湿った雪のことです。カミとは京都に近い方でふることから、「上雪」が当てられることが多いですが、諸説あります。これが降ると春が近いと感じます。梓川サービスエリアによったところ、木質ペレットストーブが赤々と燃えていました。暖かみのあるテナーサックスの作品です。

ERIC ALEXANDER (エリック・アレキサンダー)
SUNDAY IN NEW YORK (VENUS 2005年録音)

 Sundayinnewyork

VENUSレーベルは、かなりの作品をリリースしていますが、多くは、スタンダードを収録したピアノ・トリオ作品です。たまに、レンタルCDの棚に並んだものを借りてきて聴いていましたが、1500円の廉価盤で出たので何枚か購入しました。その中から、この一枚はよいとドライブのお供に持ってきたのが、エリック・アレキサンダー(ts)の本作品です。

エリックは、1991年のモンク・コンペティションで、ジョシア・レッドマンに次いで2位となり頭角を表しました。今では中堅の部類に入り、国内レーベルが手掛けたこともあり、日本でも人気のあるテナーサックス奏者ではないでしょうか。僕も、オーソドックスな中に力強さと新しさが感じられるので、たまに聴いています。

メンバーは、アレキサンダー(ts)、ジョン・ヒックス(p)、ジョン・ウェバー(b)、ジョー・ファンズワース(ds)という、当時のレギュラーといっていいものです。曲目は、ヒックスの「Avotcha」を除きスタンダードで、「Sunday In New York」、「Dearly Beloved」、「Like Someone In Love」、「Watch What Happens」、「My Girl Is Just Enough Woman For Me」、「Alone Together」、「My Romance」の全8曲。

「Like Someone In Love」は、ピアノとのデュオで演じられますが、かなりのスローテンポで緊張感を失わずに美しいメロディーを奏でていきます。早いテンポの「Alone Together」におけるかっこいいソロや、テナー・サックスの演奏は珍しい「Sunday In New York」、バラード「My Romance」と聴きどころ満載。ジョン・ヒックスのピアノも。

【梓川サービスエリア(上り線)】

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    カミ雪が降っています。                  木質ペレットストーブ