安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ユタ・ヒップ AT THE HICKORY HOUSE VOL.1

2010-02-28 20:13:41 | ピアノ

先日、長野駅から松本駅への電車内で読もうと、新潮文庫の「親不孝長屋(人情時代小説傑作選)」を購入したのですが、その中の、宮部みゆき作「神無月」が人情の機微を描き、結末が余韻も残し、素晴らしくよかった。ミステリーのベストセラー作家ですが、僕ははじめて彼女の作品に触れました。続けて彼女の時代小説ものを購入しましたが、久しぶりに読みたい小説家に行き当たりました。音楽の方も、女性のピアニストです。

JUTTA HIPP (ユタ・ヒップ)
AT THE HICKORY HOUSE VOL.1 (Blue Note 1956年録音)

 Jutta_hipp_bn1

女性ピアニストは、最近では多く出ていますが、かつては、秋吉敏子、マリアン・マクパートランド、ユタ・ヒップ、パット・モラン、メリー・ルー・ウィリアムスなどと限られていました。出身がアメリカ以外の人が目に付きますが、本作の主人公、ユタ・ヒップもドイツ出身です。

ジャズ評論家のレナード・フェザーに見出されて渡米後、ヒッコリーハウスへの出演中に録音されたのが「At The Hickory House」で第1集と第2集があります。今日聴いたのは、第1集の方です。同年(1956年)7月にズート・シムズと共演したアルバムを作ったあと、音楽シーンからは姿を消してしまいました。

メンバーは、ユタ・ヒップ(p)、ピーター・インド(b)、エド・シグペン(ds)というレ二ー・トリスターノ影響下の3人です。彼女はバド・パウエルを基調として、リラックスしたスイング感をよく出しています。トリスターノの影響があると言われますが、ライブということと、渡米後に変化をしたのでしょうか。

「Take Me In Your Arms」、「Dear Old Stockholm」、「Billi's Bounce」、「Lady Bird」、「These Foolish Things」、「The Moon was Yellow」などリズム陣も寄与して心地よく聴けます。特に、「Take Me in Your Arms」、「Dear Old Stockholm」がよく、後者における魅力的なソロは、長いラインの続きで、トリスターノをちょっと想起させます。

【宮部みゆきの本】

  Oyafkounagayashinchousha   Honjofukagawafushigizoushi 


ソニー・スティット THE HARD SWING

2010-02-21 21:43:18 | アルト・サックス

普段はあまりテレビを見ない僕も、バンクーバーオリンピックの放映番組は、かじりついて見ています。スピード・スケート男子500メートルでは、長島選手が銀、加藤選手が銅メダルをとり期待に応えてくれました。僕が通った小学校の冬の体育は専らスケートで、華麗なコーナーリングには憧れたものです。メダルを取った二人のコーナー・ワークはダイナミックで、かっこいいですね。今夜は華麗なテクニックで聴かせてくれるプレイヤーです。

SONNY STITT (ソニー・スティット)
THE HARD SWING (Verve 1959年録音)

 Thehardswingcd

ジャズでテクニックというと、僕が思い浮かべるのは、チャーリー・パーカーを別格にするとソニー・スティット(as)です。力強い音で吹いていくテーマと華麗なアドリブにスリルを覚えます。渦巻き状の得意フレーズも彼ならではのものです。本作品は「Sits in with The Oscar Peterson Trio」と同年の録音だけに快調です。

共演陣にスターがいないのが残念ですが、スティットのワン・ホーンに相応しく過不足ないリズムを刻んでいます。メンバーは、スティット(as・ts)にエイモス・トリス(p)、ジョージ・モロウ(b)、レ二ー・マクブラウン(ds)です。

スティットは、メロディをきちんと吹いてくれるので、スタンダード曲をサックスで聞きたいという時に最適なプレイヤーです。本作品は、「I Got Rhytym」、「What's New?」、「If I Had You」、「I'll Remember April」、「After You've Gone」、「Street of Dreams」、「The Way You Look Tonight」という有名曲に、「Blues for Lester」などオリジナル4曲の全11曲です。

アップテンポの「I Got Rhythm」や「I'll Remember April」は力がこもった熱演です。「The Way You Look Tonight(今宵の君は)」のテーマ部分は、テナー・サックスにより比較的ゆっくりしたテンポで演奏されます。ジョニー・グリフィン(ts)をはじめ、アップテンポの扱いがほとんどで、それらもいいのですが、本来のバラードに相応しいゆっくりとしたインスト物を聴いてみたいという気持ちになりました。


ドディー・スティーブンス OVER THE RAINBOW

2010-02-11 18:15:20 | ヴォーカル(A~D)

長野県安曇野市明科駅前にあるあやめシティ内の西村菓子店では、所謂今川焼を売っています。美味しい上に1個60円と安くてよく買います。かなり昔から販売されていて、僕のおじいさんは、よく「ぱんじゅう」を食べるかと言っては、買ってくれたものです。「ぱんじゅう」は、パンとまんじゅうからの造語でしょうが、なかなか言い得て妙です。今夜はオールディーズの歌手がスタンダードを歌った作品です。

DODIE STEVENS (ドディー・スティーブンス)
OVER THE RAINBOW (DOT 1960年録音)

 Overtherainbowdodiestevens

オールディーズ(ロックン・ロール)の歌手は、スタンダードを多く収録している人が多く、オリジナル曲が少なかったせいもありますが、スタンダード曲に馴染んでいたせいでもありましょう。レスリー・ゴーア、リンダ・スコット、ブレンダ・リーとすぐ名前はあがりますが、ドディー・スティーブンスもその一人です。

ドディーは、少女歌手として、「Pink Shoe Laces」でヒットを飛ばし、エルヴィス・プレスリーの「Are You Lonesome Tonight」のアンサー・ソング「Yes I'm Lonesome Tonight」を歌ったことで日本でも知られています。オールディーズ系統の編曲で歌う「Poor Butterfly」、「Too Young」などヒット曲に限らずいい録音を残しています。

編曲はGerry Dolinで、弦やバックコーラスも使い明るめですが、バラードはオーソドックス。「Over The Rainbow」、「Be a Clown」、「Where or When」、「Look for The Silver Lining」、「Meet Me in St.Louis」、「The Trolley Song」、「Someone to Watch Over Me」、「Johnny One Note」、「You mde Me Love You」、「On The Atchison, Topeka and The Santa Fe」、「Little Girl Blue」の12曲。

伸びのある心地よい歌声で、すっと聴けます。リズム、音程ともしっかりしているせいでしょう。後年、セルメンの一員で復帰したのもうなづけます。スローな「Over The Rainbow」、「The Boy Next Door」、「Someone to Watch Over Me」、「You Made Me Love You」と印象に残り、とても少女歌手(1947年生)が歌っているとは想像もつきません。

ホームページのオールディーズにドディ・スティーブンスを掲載しました。ヴォーカルの分類でもよいのかもしれません。時間があればご覧ください。モダンジャズやヴォーカルを聴こう ドディー・スティーブンス

【ぱんじゅう】(長野県安曇野市明科の西村菓子店製造。今川焼です。)

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中に入っているあんは、小豆、クリーム、栗あんと3種類あり、写真は栗あんのもの。美味しくいただきました。


マッコイ・タイナー PLAYS ELLINGTON

2010-02-07 09:46:38 | ピアノ

長野市内のジャズスポット「Groovy」で、昨日行われた高島田孝之(p)トリオのライブに行ってきました。高島田さんには昨年自分の仕事でお世話になりましたが、ジャズ・ピアノを弾き、月に10回は名古屋を中心として活動をしていると聞いてびっくりしました。「On A Clear Day」、「Misty」、「Satin Doll」、「S.K.J」、「How Insensitive」、「Danny Boy」、「ジャガーのテーマ」などベテランらしい多彩な技と選曲で楽しいステージでした。「S.K.J」では、「お富さん(歌謡曲)」を引用するなどユーモアもたっぷりでした。

McCOY TYNER (マッコイ・タイナー)
PLAYS ELLINGTON (impulse 1964年録音)

 Playsellingtoncd

高島田孝之トリオの演奏した曲目のうち、どれか聴こうかなと思いながら、大雪の中を自宅に帰ってきました。「How Insensitive」は4ビートでやっていたし、早いテンポの「Misty」、「S.K.J」はグルービーだったし、「Satin Doll」も後半盛り上げて熱演だったとあれこれ思い浮かんだのですが、「Satin Doll」を聴くことにしました。

マッコイ・タイナー(p)は、インパルス・レーベルに6作品を残していますが、これはその最終作にあたります。コルトレーンとやっていた時期で、その後次第に個性を確立していきますが、右手で高音部を使いながら旋律をきれいに歌い、両手を使い新しい響きのコードを奏でている、この時期のM・タイナーのピアノはバランスがとれていて大好きです。

メンバーは、タイナー(p)、ジミー・ギャリソン(b)、エルヴィン・ジョーンズ(ds)というジョン・コルトレーン・バンドのリズム隊に曲によりパーカッションが加わります。曲目は、「Duke's Place」、「Caravan」、「Solitude」、「Serachin'」、「Mr.Gentle and Mr.Cool」、「Satin Doll」、「Gypsy Without A Song」の6曲が収録されています。

「Satin Doll」は、パーカッションが入り、賑やか、かつ、さわやかな演奏です。「Caravan」は、もともとラテン味が加えられていますが、ここでもパーカッションが曲の持つムードを高めています。「Serchin'」は収録されること自体が珍しいですが、演奏も細かい音符を粒だった音で弾いており、すこぶる快調。

【高島田孝之トリオのチラシ】 名古屋近辺の方など、ぜひ聴きに行ってください。

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グレン・ミラー PLAYS SELECTIONS FROM "THE GLENN MILLER STORY" AND OTHERS

2010-02-03 00:03:29 | ヴァイブ、オルガン他

この前の土曜日、長野市のMウェーブ(長野オリンピックスケート会場)で行われた全国中学校スケート大会のボランティアをやりました。当日は開会式の日だったのですが、開会式では、長野ジュニアバンド(市内中学生の希望者で編成されている吹奏楽団)が、音楽を演奏して花を添えていました。「となりのととろ」などの曲に交じり、グレン・ミラーの「アメリカン・パトロール」や「ムーンライト・セレナーデ」が取り上げられており、楽器の中にはドラムス・セットもあって、少しジャズっぽさも出ていました。

GLENN MILLER (グレン・ミラー)
PLAYS SELECTIONS FROM THE GLENN MILLER STORY 
                                                   
(RCA 1939 ~1942年録音)

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中学生たちの演奏に懐かしくなって、帰宅した後、グレン・ミラーのオリジナルバンドの演奏を聴いてみました。1953年の映画「グレン・ミラー物語」は、彼の代表曲が使われ、ストーリーもうまく作られていたため、多くの人に受け入れられました。そして、映画のヒットを記念して56年に発売されたのがこのアルバムです。

このアルバムは、比較的音のいい放送用の音源からとられており、オリジナル・グレン・ミラー楽団の短い活動期間(1938~1942年)の代表曲が網羅されています。なお、レイ・マッキンレーがリーダーとなって再結成されたバンドの録音もあり、音質がよいものを求めるならそちらもよいです。

グレン・ミラー楽団は、ヒットを連発してスイング時代の花形とはなりましたが、アンサンブル重視でソロ・スペースも少なくてつまらなそうだという理由で、敬遠される向きもあるかもしれません。しかし、クラリネット・リードによる個性的な音の積み重ねや、切れのあるスイングといった特徴は、素晴らしいものがあります。

「ムーンライト・セレナーデ」、「イン・ザ・ムード」、「真珠の首飾り」、「茶色の小瓶」、「アメリカン・パトロール」などおなじみのメロディを口ずさみながら演奏を楽しみました。テックス・べネキー(ts)、アル・クリンク(ts)、ボビー・ハケット(コルネット)、ビリー・メイ(tp)らのソロも入り、イメージと異なり意外と活気のある演奏が続きます。

以下は当日、休憩時間などに撮影した写真です。

【南側からみたMウェーブ】

   Minamigawazentai_2

【西側からみたMウェーブ 朝の7時ころ】

   Nishigawakaragaikan_2

【開会式直前の会場、長野ジュニアバンド】

   Naganojunorband

【飯縄山 左下にスキー場が見えます】

   Iizunayamaskyjo