少し前ですが、黒部ダムの麓の長野県大町市に住んでいる友人のところに遊びに行ってきました。約束の時間より大部早く着いたので、町を散歩していると、自家焙煎の珈琲店「UNITE COFFEE」というお店があったので、入ってみました。珈琲と一緒に頼んだチーズ・ケーキが美味しかったのですが、ふと傍らを見ると看板娘ならぬ看板犬がいて驚きました。元エリントン楽団の看板トランペッターを聴いてみます。
CLARK TERRY (クラーク・テリー)
SERENADE TO A BUS SEAT (RIVERSIDE 1957年録音)
クラーク・テリー(tp)は、カウント・ベイシー楽団やデューク・エリントン楽団などビッグ・バンドへの在籍が長く、バンドの一員という印象が強くて、はじめは関心を持ちませんでした。しかし、リヴァーサイド・レーベルへ録音したリーダー作を聴いて以来、熟成されたようなまろやかな音色や明るいフレージングに、「和み系ペット」と勝手に名付けて、たまに聴いていました。
メンバーは、クラーク・テリー(tp)、ジョニー・グリフィン(ts)、ウィントン・ケリー(p)、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)。リーダー以外は、バリバリのハード・バッパーが参加しています。曲は、パーカーの「Donna Lee」、H・カーマイケルの「Stardust」(スター・ダスト)、H・アーレンの「That Old Black Magic」、テリーの自作が5曲で、「Boardwalk」、「Boomerang」、「Digits」、「Serenade to A Bus Seat」、「Cruising」で全8曲。
「Serenade To A Bus Seat」というタイトルの意味ですが、ここでいうバスはエリントン楽団の移動用バスを指し、セレナーデは、本来、恋人や女性を称える曲ですが、デューク・エリントンを称える意味が入っているのだろうと想像しています。演奏を聴くと、セレナーデとは全く異なりハードな曲なので、そのギャップにユーモアが感じられます。
楽しく、充実した演奏が聴け、ことにジョニー・グリフィン(ts)、ウィントン・ケリー(p)は、まさに全盛期という感じのプレイぶり。最初の「Donna Lee」では、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)に煽られ全員一丸となったプレイが続き、次の「Boardwalk」は、テリー(tp)、グリフィン、ケリーともに黒っぽいソロをとりブルージー。「Stardust」では、テリーが美しい音色でメロディーをストレートに奏で、グリフィンが細かいフレーズを吹いて、両者の対比が効果を上げています。
【ユナイトコーヒー】
住所:長野県大町市大町4098-4
電話:0261-85-0180
定休:毎週金曜・第3木曜
ユナイトコーヒー外観
店 内
看板犬