安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

エミリー・クレア・バーロウ LIVE IN TOKYO

2015-04-29 21:20:45 | ヴォーカル(E~K)

20年近く使ってきた、プリメインアンプ「デンオン PMA-S10Ⅱ」の故障のせいで、スピーカーから雑音が発生し、音が途切れるといった不具合が生じたので、それを修理に出しました。うまく直るといいのですが。そこで、ROTELの小型アンプのRAー05で、JBL4425MKⅡを鳴らしています。結構いいのですが、中低音を中心として音の厚みに欠けるのはやむを得ません。最近の録音ならこのアンプでもいけるかと思い、取り出したCDです。

EMILIE-CLAIRE BARLOW (エミリー・クレア・バーロウ)
LIVE IN TOKYO (eOne Music 2013年録音)

   

カナダの女性ヴォーカリスト、エミリー・クレア・バーロウが、2013年の10月14日と15日に、東京のコットン・クラブで行った公演を収録したCDです。コンスタントに新作をリリースしてきていますが、2014年発売のこのアルバムが、多分最新作だと思います。ライブということもあるかもしれませんが、スタンダードに限らず、ポップスなども選曲していて、彼女の多様な魅力に触れることができます。

伴奏ですが、バーロウは、自己のバンドを連れてきていて、商業的にも音楽的にもすごいことだと感心しました。メンバーは、Reg Schwager(g)、Kelly Jeferson(sax)、Mark kieswetter(p)、Ross Maclntyer (b)、Fabio Ragnelli(ds)。ギターのReg Shcwagerは、バーロウばかりでなく、ダイアナ・パントンの伴奏もやっていますが、ここでは、グルーヴィーでかっこよく、リーダー作を聴いてみたいギタリストです。

曲は、スタンダード、1960年代のヒット曲、ボッサなど様々です。「Raindrops Keep Fallin On My Head」(雨に濡れても)、「All I Do Is Dream Of You」、「Aguas De Marco / Waters Of Match」、「Surrey With The Fringe On Top」(飾りのついた四輪馬車)、「Just About Evelrything I Need」、「Sunshine Superman」、「Like A Lover」、「La Belle Dame Sans Regfets」、「These Boots Are Made For Walkin'」(にくい貴方)、「The Beat Goes On」、「Blame It On My Youth」の全11曲。

エミリー・クレア・バーロウは、張りのあるクリアな声で歌っていて、まさに旬の歌手。伴奏陣のソロも楽しめます。編曲が工夫されていて、「Raindrops Keep Fallin On My Head」では、チック・コリアの「La Fista」のメロディが登場します。ナンシー・シナトラのヒット曲「These Boots Are Made For Walkin'」は、嬉しい選曲。リズミカルなものばかりでなく、「Like A Lover」や「Blame It On My Youth」といったバラード系も澄んだ声がきれいで、表現力もあるように思います。歌詞が印刷されたライナー付きの国内盤がほしいところ。 

【アンプ修理中のオーディオ装置】

ラックの最下段に入っていたDENONのアンプを修理に出しました。出てくる音は、悪くはないものの軽い感じです。

   


山桜には遅かったのですが、夢農場に行ってきました

2015-04-27 22:56:59 | お出かけ・その他

4月26日(日)午前に、安曇野市の実家から車で10分くらいのところにある夢農場(長野県北安曇郡池田町陸郷)に行きました。本当は、陸郷一帯の山桜の花に間に合えばよかったのですが、都合で一週間遅くなってしまいました。でも、山の斜面を歩いて、いい気分転換になりました。

   

上の駐車場からの光景。この下や右側一帯が夢農場になります。

   

菜の花とチューリップ

   

歩道の横のムスカリ

   

モモ

   

モモの花(拡大)

   

夢農場売店の上段に咲いているモモの花。白色で八重で珍しいそうです。

   

モモの八重の花(拡大)。

   

ハナモモ

   

ハナモモ(拡大)

   

夢農場建物敷地入口

   

夢農場売店など

   

売店内部。ここで作られているハーブティーや地元の特産品などを販売しています。

   

流れていたのは、フランク・シナトラの歌でした。ちょっといい音だと思っていたら、建物に一体化して、こんな巨大なスピーカーが備え付けられていました。これは右側で、左側に同じものがもう一セットあります。社長さんが趣味で作ったそうです。売店の片隅には、蓄音器が展示してあって、かなりの音楽・オーディオマニアの方のようです。

    

アイスクリームを販売する方の小さい建物。全体は、パンジーとビオラで飾られています。女性従業員の方が是非撮ってほしいと言っていました。花の飾りは、どうやら彼女の力作のようです。

   

帰りがけにふと見たら、建物の横の木の根っこに、スミレが咲いていました。自生しているものだそうです。

女性従業員の方に、撮影した花の種類を訊ねたり、ちょっとお話もできました。詳しくはないと言っていましたが、なかなかよくご存じです。社長の趣味(オーディオ)まで解説してくれて、親切で面白い方でした。もちろんアイスクリームを買いました。6月下旬ころがハーブが咲いて最もいいので、またお越し下さいと見送りの言葉をいただいて、夢農場を後にしました。6月下旬にまた行きます。

【夢農場】

住所:長野県北安曇郡池田町大字陸郷7454-6
電話:0261-62-5510
ホームページ:yumefarm 


デクスター・ゴードン OUR MAN IN PARIS

2015-04-26 10:01:02 | テナー・サックス

先日の日曜日の午前中、暇だったのと肩が凝っているので温泉に行くことにし、松川村(長野県北安曇郡)のすずむし荘に出かけました。露天風呂で、思いがけず世間話に興じましたが、養蜂業をかつて営み、今は引退して松川村で暮らしている人の面白い話が聞けました。お風呂の後は、近くのジャズ喫茶「M-Gate」で珈琲を飲んで、じっくりとジャズを聴いてきました。そこで聴いたアルバムです。

DEXTER GORDON (デクスター・ゴードン)
OUR MAN IN PARIS (BLUE NOTE 1963年録音) 

   

1950年代を麻薬によって棒にふったデクスター・ゴードン(ts)ですが、61年5月の「Doin' All Right」からブルーノートレーベルに録音を始め、65年5月のの「Gettin' Around」まで7作品を作っています。その、5作目で63年5月にパリで録音されたのが、このアルバムです。有名過ぎていまさらですが、M-Gateで聴いても、僕の貧弱な装置で聴いても、素晴らしいのは、内容の良さとともに、僕の好みだからでしょうか。ジャズ喫茶で聴きたい一枚です。

メンバーは、デクスター・ゴードン(ts)、バド・パウエル(p)、ピエール・ミシュロ(b)、ケニー・クラーク(ds)。クラークは1956年から、パウエルは59年からパリに住んでいて、当時このトリオを結成して活動をしていました。ゴードンの豪快なプレイに比べて、パウエルは元気がありませんが、それでも、たまに光るプレイをしています。

曲目はスタンダードです。「Scrapple From The Apple」、「Willow Weep For Me」(柳よ泣いておくれ)、「Broadway」、「Stairway to The Stars」(星へのきざはし)、「A Night In Tunisia」(チュニジアの夜)。パーカー、ガレスピーの曲をはじめ、バップ時代から演奏されている曲が選択されています。 

デクスター・ゴードン(ts)渾身のロングソロが楽しめます。彼は、バップ時代から活躍していますが、このころになると、レスター・ヤングに加えて、ソニー・ロリンズの影響もかいまみえ、「Scrapple From The Apple」の後半では、そんなところが出ています。バラード「Willow Weep For Me」では、ゴードンのつけたイントロが聴けますが、こういったブルージーな曲も彼の得意とするところです。パウエル(p)は、2曲のバラードでまずまずの演奏をし、クラーク(ds)は力強いバッキングで盛り上げています。

【長野県北安曇郡松川村 すずむし荘、M-Gate】

   

   

     

   

レコードの枚数が増えています。


ジョシュア・ブレイクストーン(g)ライブ (安曇野市いさつ歯科医院)

2015-04-24 19:45:40 | 演奏会・ライブ

日時:2015年4月12日 午後3時~
場所:長野県安曇野市 いさつ歯科医院
メンバー:Jushua Breakstone(ジョシュア・ブレイクストーン)(g)、山下弘治(b)、長谷川ガク(ds)。

曲目は次のとおりです。今回はメモをとりました。

(前半)

1.Lolita (バリー・ハリス作)
2.The Lamp is Low
3.My Conception (ソニー・クラーク作)
4.不詳ですが、ブラジル、サンボ調の曲。(山下さんも読めなかったので、多分ポルトガル語の曲名)
5.Nice N Easy

(後半)

1.Where or When
2.Black (シダー・ウォルトン作)
3.Theme for Ernie
4.Baubles, Bangles, & Beads
5.All The Things You Are (アンコールとして演奏)

以上の10曲ですが、スタンダードとバップ曲中心の親しみやすいプログラムでした。

ジョシュア・ブレイクストーン(g)さんのプレイは、シングル・トーン中心で、ブルージーさばかりでなく、なかなか多彩でした。聴いていると、レニー・トリスターノ・スクールのようなフレーズがあったり、ジャズ・スタンダード曲の引用があったりと、バップが基礎だと思いますが、個性的なところが見受けられました。曲のメロディをすごく大事にしていて、丁寧に旋律を弾いているのが好印象でした。

   

   

山下弘治(b)さんは、豊かなトーンで快適にリズムを送り出し、高音まで使った余裕のあるソロも随所で聴けました。このツァーのプロデュース役をやっているようです。MCの方も慣れていて楽しいステージを演出してくれました。

   

長谷川ガク(ds)さんは、たたきすぎることもなく、ソロもリズミカルで繊細なところもあって、いいプレイでした。帰りがけに演奏がよかったと本人に伝えましたが、あとでホームページを見ると、川島哲郎グループなど既にかなり活躍している方でした。

    

(歯科用の器具の間から撮影したので、全くうまく撮れていません。本人はかなりダンディです。) 

演奏の中で最もよかったのは、シダー・ウォルトン作の「Black」で、スピード感のある白熱したギター・ソロ、ドラムスとのやりとりも決まり、スリルもあり、ちょっと興奮しました。僕の好きな、フランク・シナトラの歌でおなじみの「Nice N Easy」や、旋律のきれいな「Theme For Ernie」など、かなり楽しめたライブでした。

いさつ歯科医院は、治療室がそのままライブ会場に変身するという、ジャズ度100パーセントの歯科医院です。今日の聴衆は、14~15人といったところでしたが、安曇野市近辺の方が多いようで、会場内は和気藹藹というムードでした。休憩時間に、ブレイクストーンさんのCD(「日本のうた」という限定盤)を購入し、サインをしてもらいました。

   

たまには、日曜午後のマチネ—(午後の演奏会)もよいものです。

【ジョシュア・ブレイクストーンさんホームページ】

Joshua Breakstone 

【山下弘治さんホームページ】

山下弘治ホームページ

【長谷川ガクさんホームページ】

Gaku Hasegawa Official Website


グラント・スチュアート IN THE STILL OF THE NIGHT

2015-04-22 22:26:39 | テナー・サックス

北アルプス各地の山小屋が営業の準備のため、そろそろ山へ向かう時期です。そんなニュースもあるので、笹本稜平著「春を背負って」を読みました。奥秩父の山小屋を舞台として、そこに集う人々の生き方や心の交流を描いた小説で、「春を背負って」、「花泥棒」、「野晒し」、「小屋仕舞い」、「疑似好天」、「荷揚げ日和」の6つの連作短編集です。前半の短編の方が、テンポのよさやサスペンスがあって、読み応えがありました。ハードバップを背負っている一人。

GRANT STEWART (グラント・スチュアート)
IN THE STILL OF THE NIGHT (Sharp Nine 2006年録音)

   

グラント・スチュアートは、1971年トロント生まれで、ニューヨークで活動しているテナー・サックス奏者ですが、リーダー作が多数あり、また来日も何度かしていて、日本で一定の人気があるのではないでしょうか。僕は、このアルバムの収録曲が気になって買ってみたのですが、企画がよく、曲順も飽きないように工夫されていて、1曲目の「In The Still Of The Night」から、最後まで一気に聴き通しました。

メンバーは、グラント・スチュワート(ts)、タ―ド・ハマー(p)、ピーター・ワシントン(b)、ジョー・ファンズワース(ds)。タ―ド・ハマーは、スチュワートとの共演が多く、気心が知れている相手です。ワシントンとファンズワースも、エリック・アレキサンダーとの共演など、ハードバップの演奏が多いので、うってつけのメンバーです。

曲は、スタンダードが主です。「In the Still of the Night」(夜の静けさに)、「Theme for Ernie」、「Wives and Lovers」、「Autumn in New York」(ニューヨークの秋)、「If Ever i Would Leave You」、セロニアス・モンク作「Work」、ビリー・ストレイホーン作「Lush Life」、「Loads of Love」の全8曲。「Loads of Love」は、あまり聞きませんが、リチャード・ロジャースの作品です。

現代ハードバップの佳作。スチュワートは、ソニー・ロリンズからの影響をいわれることが多く、トーンやフレーズにそんな感じもありますが、デクスター・ゴードンを思い浮かべるところもあります。スピードのある切れのいいフレーズは、スチュアート(ts)の持ち味だと思われ、アップテンポの「In The Still of The Night」では、そのへんがよく聴けます。「Wives and Lovers」では、スチュアートのテーマの吹き方が変化に富み、ハマー(p)もスインギーで魅力的。「Autumn in New York」や「Lush Life」といったバラードも味わい深い。

【笹本稜平著 「春を背負って」(文春文庫)】

   

この小説は、木村大作監督によって映画化されて、2014年6月に東宝系で公開されました。舞台を、原作の奥秩父から立山連峰に移しています。