安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

チコ・ハミルトン GONGS EAST

2010-05-30 21:25:41 | ベース・ドラムス

昨晩、松本市内で昔の仕事仲間と大宴会をやってしまいました。5時から飲み始めて、終わったのが11時です。僕を別にしてお酒が強い連中が集まっているのと、女性メンバーの一人がちょうど誕生日だったせいでもあります。メンバーの中にクラシックが好きな人がいて、ショパンやシューマンが話題に上りました。今日は、クラシックよりともとれる作品を聴いてみました。

CHICO HAMILTON (チコ・ハミルトン)
GONGS EAST! (WARNER BROS. 1958年録音)

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チコ・ハミルトン(ds)のグループは、軽快にスイングすることに加え、管楽器とチェロが織りなす室内楽的サウンドがさわやかで、日曜日の午前中にもマッチします。また、このグループにはエリック・ドルフィーが在籍していました。サウンドの面白さと、ドルフィーのソロを求めて、ごくたまにですが、チコの作品を聴きます。

メンバーは、C・ハミルトン(ds)、Dennis Budimir(g)、E・ドルフィー(as,fl,cl,bcl)、ネイサン・ガーシュマン(cello)、ワイアット・ルーサー(b)という、ウエストコーストにあっても特異な編成です。しかもここでは、チコはジャケット写真にあるとおり銅鑼もたたいていますが、効果のほどはどうでしょうか。

曲目は、比較的知られている「Beyond The Blue Horizon」、「Long Ago 」、「Passion FLower」に、ジェラルド・ウィルソン作「Where I Live」、C・ハミルトン作「Gongs East」、フレッド・カッツ作「Nature By Emerson」、ナット・ピアース作「Far East」など全10曲。

「Beyond The Blue Horizon」は、軽くよくスイングするという特長が伺え、「Gongs East」は、チコの東洋趣味が反映されたものでしょう。同曲でドルフィーはバスクラを吹きます。「Long Ago」の陰影をつけたアンサンブルがクラシックよりです。「Nature By Emerson」は、ドルフィーがアルト・サックスにより長いラインのソロをとり、「Far East」では、幻想的なテーマに続く舞い上がるようなフルート・ソロに快感を覚えます。

【松尾寺】
 日帰り温泉の帰りに松尾寺山公園(安曇野市穂高有明)によったところ、フジとボタンがちょうど咲いていたので撮りました。松尾寺は本堂が国指定重要文化財になっています。フジ棚は70メートル、ボタンは1000株あるそうです。フジもボタンも白色の花もありました。

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スザンナ・マッコークル  NO MORE BLUES

2010-05-23 19:19:32 | ヴォーカル(S~Z他)

先週の金曜日、上田市(長野県)に出張しました。パーティーもあるので、長野市からは電車(しなの鉄道)を利用しました。久しぶりに近くで見たしなの鉄道の車両は、そのデザイン・色合いがよいもののように感じました。多分、田園地帯を疾走している姿はりりしいだろうと想像しました。ゴトン、ゴトンというレールの継ぎ目を過ぎる時おきる規則的な車輪の音を聴いていたら、ジャジーなヴォーカルを聴きたくなりました。

SUSANNAH McCORKLE (スザンナ・マッコークル)
NO MORE BLUES (Concord 1988年録音)

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このところ、ヴォーカルはムーディーなものを聴いていたので、ジャズっぽいものをききたくなり、スザンナ・マッコークルの作品(LPです)を取り出しました。彼女については、歌詞を大事に考えているところや、テンポの遅いものの歌唱など、アン・バートンと似たところがあるように感じます。

この作品は、ケン・ぺプロウスキー(cl,ts)、エミリー・レムラー(g)、バッキー・ピザレリ(g)、デイヴ・フリシュバーグ(p)、ジョン・ゴールズビイ(b)、テリー・クラーク(ds)という伴奏陣も素晴らしく、ぺプロウスキーが音楽監督としてまとめています。

選曲が、適度に凝っています。スタンダードの「Fascinating Rhythm」、「Do Nothing Till You Hear From Me」、「Sometimes I'm Happy」、「P.S. I Love You」、「No More Blues」に加え、「Swing That Music」、「The Ballad of Pearly Sue」、「Don't Let The Sun Catch You Cryin'」、「Breezin' Along With The Breeze」など10曲です。

スイングしたものが聴きたいという欲求は、「Fascinating Rhythm」、「Breezin' Along With The Breeze」で満たされました。せつせつと歌う「P.S.I Love You」や軽くスイングした「Sometimes I'm Happy」(ベースのボーイング・ソロが微笑ましい)、「No More Blues」など聴きどころが多く、「Fascinating Rhythm」の出だしのドラムスやそれぞれ入るソロなど伴奏も工夫されています。

【しなの鉄道の車両】

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ハンク・ジョーンズ THE RHYTHM SECTION

2010-05-21 00:12:28 | ピアノ

ピアニストのハンク・ジョーンズが、5月16日に亡くなりました。91歳でした。ご冥福をお祈りします。バド・パウエルとともにテディ・ウィルソンやアート・テイタムにも通じるプレイは、繊細で穏やかさが感じられます。わき役としても多くのセッションに起用されて、ミュージシャン仲間の信頼も厚かったのではないかと想像します。つい最近まで活動を続けていたのが驚異的です。

HANK JONES (ハンク・ジョーンズ)
THE RHYTHM SECTION (EPIC 1956年録音)

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ハンク・ジョーンズは、1918年の生まれで、活動歴が半世紀を軽く上回っています。アルバムも多数に上っており、僕が聴いたのは、主として50~60年代のサヴォイやアーゴレーベルへの録音でしたが、70年代以降の「ハンキー・パンキー」やグレイト・ジャズ・トリオ名義のものも時に楽しませてもらいました。

この作品は、当時、サイドメンとして録音によく起用されるメンバーを主役に据えたものです。ジョーンズ(p)、バリー・ガルブレイス(g)、ミルト・ヒントン(b)、オシー・ジョンソン(ds)という協調性に富んだメンバーで、それぞれの楽器が3曲ずつフューチャーされますが、ピアノ中心です。

全12曲で「Hallelujah」、「Polka Dots and Moonbeams」、「Do Nothin' Till You Hear From Me」、「Ruby, My Dear」といったスタンダード曲は主にピアノが演奏し、他の曲はフューチャーされるメンバーが自ら作っています。B・ガルブレイスやM・ヒントンの珍しいソロ・プレイが聴けるのも貴重。大きめの音で聴きました。

ハンクの自然で温和な和音や、分離のいい単音をきいていると素直に心地よくなります。「Hallelujah」、「Polka Dots and Moonbeams」などがそれにあたります。B・ガルブレイスが、チャーリー・クリスチャン直系のスリルあるソロをとる「They Look Alike」などバラエティに富んだ作品です。そして、英文字でデザインされたジャケットはたいへん目立ち、LPを手放せません。


ジャッキー・マクリーン FAT JAZZ

2010-05-16 22:16:59 | アルト・サックス

先週の日曜日、安曇野市の実家で近くの専業農家に頼んで田植えを行いました。このところ気温が低い日が続いていますが、順調に成育してほしいものです。その日は、植え直しのために裸足で田に入りましたが、犀川から引いている水がたいへん冷たく感じられました。久しぶりに体を動かしたので疲れて甘いのものがほしくなり、ケーキやチョコレートを食べました。長野へ戻り、FAT JAZZを聴きました。

JACKIE McLEAN (ジャッキー・マクリーン)
FAT JAZZ (JUBILEE 1957年録音)

 Fatjazz

1970年代のジャズ喫茶では、ジャッキー・マクリーン(as)の人気は高かったのですが、僕は、音程がずれ気味で、せっつくようなリズムへの乗りに、はじめ馴染めませんでした。しかし、何度も聴いていると、癖になるというか、不思議に聴きたくなってきたのです。そのきっかけは、たまたま買ったジュビリー・レーベルの2作品です。ただし、1枚はアドリブの再発なので、ジュビリーへの録音は、当作品だけです。

「FAT JAZZ」という変わったタイトルの作品ですが、ジャケットには甘いのものばかりが写っているので、日本語では「太ったジャズ」という意味だろうかと考えながら再聴しました。セクステットによる演奏で、チューバが入るのが異色です。

メンバーは、マクリーン(as)、ウェブスター・ヤング(tp)、レイ・ドレイパー(Tuba)、ギル・コギンズ(p)、ジョージ・タッカー(b)、ラリー・リッチー(ds)です。曲目は、「Filide'」、「Millie's Pad」、「Two Sons」、「What Good Am I Without You」、「Tune Up」の5曲。「What Good Am I Without You」は遅いテンポのバラードです。

マイナー調のメロディーに、アルトサックスの甘く、せつない音色がよく似合います。「Filide」、「Two Sons」が、印象的なテーマに加え、マクリーンのアドリブが甘美です。チューバによるソロはないほうがいいと感想を抱いたものですが、「Two Sons」のテーマ部分など面白いアンサンブルになっていて、チューバが一定の役割を果たしていることにも気がつきました。ジョージ・タッカーのベースが強力です。

【田んぼ付近から北アルプス眺望】

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ホームページの安曇野散策に、5月の烏川渓谷を掲載しました。時間があればご覧ください。モダンジャズやヴォーカルを聴こう 5月の烏川渓谷


サド・ジョーンズ DETROIT-NEW YORK JUNCTION

2010-05-09 21:05:24 | トランペット・トロンボーン

先日、昼時に長野市の善光寺よりの市街地をプラプラと歩いていたら、食堂(蕎麦が主体)の店主から声をかけられ、世間話をしました。話をしたのは20年ぶりくらいです。出前はとったことはありますが、名前まで覚えていてくれたので、びっくりしました。近頃は、長野駅前ばかりですが、たまには善光寺方面に足を伸ばすのもいいなと感じました。もちろんこのお店(丸新食堂)には寄ります。出身地が同じ仲間が集まって録音した作品です。

THAD JONES (サド・ジョーンズ)
DETROIT-NEW YORK JUNCTION (BLUE NOTE 1956年録音)

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サド・ジョーンズは、カウント・ベイシー楽団やサド=メル楽団での活躍が華々しく、、また、作曲家としても「A Child Is Born」をはじめ名曲を書いており、ミュージシャンとしては高名なのですが、トランペッターとしてはあまり話題に上ってこなかったかもしれません。彼のプレイは派手さこそありませんが、中間派的な味わいや美音もあって結構好きです。

メンバーは、当時デトロイトからニューヨークに出てきた若手がそろっています。サド・ジョーンズ(tp)、ビリー・ミッチェル(ts)、ケニー・バレル(g)、トミー・フラナガン(p)の4人で、あとはオスカー・ぺティフォード(b)、シャドウ・ウィルソン(ds)です。リズム隊のせいもあるのか、締まった作品になっています。

曲目はサド作が3曲で、「Tarriff」、「Scratch」、「Zec」そしてロジャース=ハートの2曲、「Blue Room」と「Little Girl Blue」で全5曲。トミー・フラナガンは、ピアノ・トリオ作品「Let's Play The Music of Thad Jones」で、この中の2曲「Scratch」と「Zec」を取り上げています。

トランペット・ソロがメロディアスなことに加えて、ギター、ピアノなどもフューチャーされた「Scratch」が気持ちよい。「Zec」では躍動するピアノ・ソロが聴きもので、フラナガンの参加がこの作品の価値を一層高めています。2曲のスタンダードも悪くなく、「Little Girl Blue」はトランペットとギターのデュエットで奏されます。

ホームページにサド・ジョーンズ(トランペット)を掲載しました。時間があればご覧ください。モダンジャズやヴォーカルを聴こう サド・ジョーンズ

【丸新食堂】 住所:長野市大字南長野西後町1549

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