安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ナット・キング・コール LOVE IS THE THING

2009-06-28 20:35:34 | ヴォーカル(L~R)

奥さんが昨日から東京の娘に会いにいっているので、モスバーガーに朝食を食べにいきました。モスは同業他社に比べて高価格ではあるけれど、業績は堅調なようです。それでも7月には100円台のハンバーガーを出すようなので、どのようなものが出るか楽しみです。お店のBGMで「When I Fall In Love」が、男女のデュエットにより流れていました。歌手はわかりませんが、かなりソウルフルな歌いぶりでした。今夜はナット・キング・コールで聴いてみます。

NAT KING COLE (ナット・キング・コール)
LOVE IS THE THING (Capitol 1956年録音)

 Love_is_the_thing

背中がぞくぞくするとか、頭がしびれるとか、特に素晴らしい演奏や歌に接するとそういう瞬間があります。本アルバム収録の「Stardust」を初めて聞いたとき、ヴァースが終わりコーラスに入っていったときは本当にそのような衝撃を受けました。感動を受けた男性ヴォーカルを一枚といわれたら、これです。

コールの歌を初めて聞いたのは、中学生のときに買ってもらった東芝盤で、「キサス・キサス・キサス」、「カチート」とかを聴き、てっきりラテン歌手だと思っていました。ジャズを聴くようになってから、スタンダードを多く録音していると知ったのでした。その中でも、このバラード・アルバムは傑出しています。

「When I Fall in Love」は、エドワード・ヘイマン作詞、ヴィクター・ヤング作曲で、ゴードン・ジェンキンスが弦を使ったアレンジをしています。歌詞の大意はタイトルどおりです。本アルバムの特徴の一つは、ヴィクター・ヤングの曲が多いことで、他にも「Love Letters」、「Where Can I Go Without You?」、「Love is The Thing」が収録されています。

モス・バーガーのBGMのソウルがかった歌唱を聴きながら、今の時代に生きていたらコールもこのように歌ったのかと一瞬思いましたが、端正なコールは歌をそう崩そうとはしないだろうから、ありえないとその想像を頭から追い払いました。「Stardust」、「When I Fall in Love」はもちろん、「At Last」やゴードン・ジェンキンス作曲の「I Thought About Marie」などもよく、僕にとって永遠の一枚です。


グレッチェン・ワイラー WILDーWYLERー WILDEST

2009-06-24 21:57:12 | ヴォーカル(E~K)

日帰りの人間ドックに行ってきました。各種測定値は予想通りでしたが、中には基準値以内のものもありました(笑)。その病院では、検診の合間に女性の指導員さんがやってきて来て、彼女の号令のもとストレッチを1時間弱します。僕の動きはぎこちなく体は硬いですが、その指導員さんは本当にしなやかです。彼女の印象からG・ワイラーのジャケット写真を思い出したので聴いてみました。

GRETCHEN WYLER (グレッチェン・ワイラー)
WILDーWYLERーWILDEST (Jubilee 1959年録音)

 Wildwylerwildest

女優としてブロードウェイの舞台やテレビで活躍したグレッチェン・ワイラーの多分1枚だけの作品。ブロードウェイでは、「Silk Stockings(絹の靴下)」、「Damn Yankees(くたばれヤンキース)」、「Bye Bye Birdie(バイ・バイ・バーディー)」などに出演。素晴らしい作品に出演しており、特にダンスが称賛されました。

このアルバムのタイトルにワイルデストと入っているだけに、迫力のあるナンバーが続きます。ジミー・ランスフォード楽団やトミー・ドーシー楽団に多くの編曲を提供したサイ・オリバーがアレンジを行っており、ブラスを使ったダイナミックにスイングする伴奏が多いです。

「Whatever Lola Wants」という「くたばれヤンキース」中の歌からスタートし、「Personality」、「Hard Hearted Hannah」、「Eadie was a Lady」、「An Occasional Man」、「Find Me A Primitive Man」、「Jenny」、「Mamie is Mimi」など、スタンダードといっていいものからちょっと聞き慣れないナンバーまで12曲を歌っています。

コンセプトどおり元気のいい歌唱をしており、おなじみの「Whatever Lola Wants」や「Hard Hearted Hannah」そして「An Occasional Man」など伸び伸びとさわやかに歌っています。さらに、声量がありよく声が出ていますが、抑えるところは抑えています。ないものねだりですが、バラードも聴いてみたい。


ジョン・グラース COUP DE GRAAS

2009-06-21 19:11:00 | ヴァイブ、オルガン他

今日の午後、長野市交響楽団(アマチュアオケ)の定期演奏会を聴いてきました。ヴェルディの「歌劇ナブッコ序曲」、メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲」、ブラームス「交響曲第2番」などという曲目で、ヴァイオリン協奏曲の独奏者として招かれた小杉結さんがなかなかよかったです。ブラームスの2番は、木管や金管の出番が多くホルンが目立っていました。今夜はジャズでは珍しいホルンを聴いてみます。

JOHN GRAAS (ジョン・グラース)
COUP de GRAAS (Mercury 1957年録音)

 Coupdegrass

ホルンは、優雅な楽器で、牧歌的なほのぼのという印象があります。ましてや、ジャズのソロをするとなると、音色的な面や早いフレーズへの対応が難しいと思います。ジャズホルン奏者としては、このジョン・グラースやジュリアス・ワトキンスしか思いつきません。グラースは、クリーヴランド管弦楽団の首席を務め、テクニック的に最高峰だったからジャズにも適応できたのでしょう。

メンバーは西河岸の一流どころです。グラース(frh)のほか、コンテ&ピート・カンドリ(tp)、レッド・カレンダー(tuba)、アート・ペッパー(as,ts)、ボブ・クーパー(ts)、バディ・コレット(bs,fl)、ポール・モアー(p)、バディ・クラーク(b)、ラリー・バンカー(ds)で、tubaを加えているのはアンサンブルを重視したためでしょうか。

8曲の曲目中、6曲がグラースのオリジナルで、あとの2曲がジェリー・マリガン作の「Walking Shoes」と、Dick Groue作「Blues Steet」。地味めの曲ばかりですが、バディ・クラークのベースがきいておりよくスイングしています。

アート・ペッパーの活躍が目立ちます。グラースのホルン・ソロを含めて聴きものは「Walking Shoes」と「Van Nuys Indeed」ですが、ペッパーはテナー・サックスを吹く「Rogeresque」でも乗りのよいところをみせます。中音域が厚くなったアンサンブルとそれぞれのソロが楽しめるリラックスしたアルバムです。 

ホームページにダニエル・ビダル(ポップス)を掲載しました。懐かしいと思われる方はご覧ください。モダンジャズやヴォーカルを聴こう ダニエル・ビダル


ホレス・シルヴァー SONG FOR MY FATHER

2009-06-14 18:23:28 | ピアノ

6月21日は父の日です。父の日はアメリカで始まったそうですが、日本でもデパートなどでネクタイなどプレゼント用の品物を求める人も増えているようです。21日は都合がつかないので、1週間早く実家に行き、腰が痛いと言っている父の指導のもと、プレゼントの代わりに労力を提供して畑に黒豆を植えてきました。これは父の趣味で、豆類が豊富な我が家です。ホレスが父にささげたアルバムです。

HORACE SILVER (ホレス・シルヴァー)
SONG FOR MY FATHER (BLUE NOTE 1963~64年録音)

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バップ期から活躍したホレス・シルヴァーが父に捧げた作品です。とりわけタイトル曲は、エキゾチックなメロディーとリズムがあわさり、ホレスの名曲として親しまれてきました。シルヴァーの父は、アフリカのベルデ岬諸島のマイオ島の出身で小さい時にアメリカに移住してきたといいます。ギター、ヴァイオリンを弾いたというので、シルヴァーの小さい頃の思い出がこの曲に反映されているのでしょう。

シルヴァーは、バンド・メンバーを長く固定して活動をしていましたが、ちょうどこの録音時くらいに変更しているので、2つのセッションからの作品が収録されています。旧メンバーは、ブルー・ミッチェル(tp)、ジュニア・クック(ts)がフロントに対して、新メンバーは、それが、カーメル・ジョーンズ(tp)、ジョー・ヘンダーソン(ts)に変わっています。

「Song for My Father」は、新しいメンバーによる録音(1964年10月31日)で、ジョー・ヘンダーソンのテナー・ソロも際立っています。他に、「The Natives Are Restless Tonight」、「Calcutta Cutie」、「Que Pasa」、「Lonely Woman」というシルヴァー作曲のものに、ヘンダーソン作の「The Kicker」が収録されています。

「Song For My Father」以外にも、「The Kicker」は熱気を帯びたプレイ。ピアノ・トリオで演奏した「Lonely Woman」は、いつものコンボでのリズミカルなプレイにかわり、旋律も重視したものです。通して聴いたところ、アルバム全体のムードからでしょうか、大きなスピーカーのあるジャズ喫茶に出かけたくなりました。


シーズ・スリンガー LIVE AT THE NORTH SEA JAZZ FESTIVAL

2009-06-10 23:12:30 | ピアノ

隣の市に新規に出店するスーパーが契約社員とパート合わせて130人を募集したところ、500人の応募があり、募集したスーパーが普通だとこんなに集まることはないと驚いています。不況で、離職を余儀なくされて職を探している人が多いのでしょう。景気が早く上向きになってほしいものです。大人数のコンボによるライブ盤を聴いてみます。

CEES SLINGER (シーズ・スリンガー)
LIVE AT THE NORTH SEA JAZZ FESTIVAL (LIMETREE 1982年録音)

 Liveatthenorthseajazzfestivalslinge

復刻盤によりダイアモンド・ファイブのリーダーとしても知られるようになったオランダのピアニスト、シーズ・スリンガーが82年のノース・シー・ジャズ・フェスティヴァルのために臨時に編成したオクテットによる、出演時のライブアルバムです。

メンバーは、ダスコ・ゴイコヴィッチ(tp,fh)、フェルディナンド・ポヴェル(as,ss)、ルード・ブリンク(ts)、シーズ・スモール(valve tb)、ハーマン・シューンデンヴァルト(bs,ss)、シーズ・スリンガー(p)、フレッド・プロンク(b)、ペーター・YPMA(ds)です。日本語表記はよくわからずに書いています。

フェスティヴァルだからといって有名曲ばかりではなく、「The Touch of Your Lips」、「Two Bass Hit」、「Fee-Fi-Fo-Fum」(W・ショーター作)の他はメンバーの作品です。「From Way Back」(ゴイコヴィッチ)、「Never Forever」(シューデンヴァルト)、「Changing Colours」(スモール)に、クロージング・ナンバーの「Killer Joe」の7曲。

アンサンブルが非常に整然としていて、リハーサルを入念に行ったと思われます。全体に静かに燃えるハード・バップという感じです。出された当時に、トランペットのダスコ目当てで手に入れたアルバムですが、テナーやアルト・サックスのソロもよくて大事なアルバムになりました。「From Way Back」、「Two Bass Hit」と快調です。