安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ヤン・ラングレン BLUE LIGHTS

2012-03-25 08:49:28 | ピアノ

奥様が友人と泊りで温泉に出かけたので、昨日の夕食は近所の食堂でとりました。この食堂には、漫画本が少し置いてあり、弘兼憲史著「取締役 島耕作」もありました。各章毎に、題がつけられているのですが、スタンダード曲のタイトルをもってきているので、びっくりしました。パラパラ読んだだけですが、各章の内容は、その曲のタイトルと相応しているようです。弘兼さんは、音楽に詳しいのに違いありません。スタンダードも収録された作品。

JAN LUNDGREN (ヤン・ラングレン)
BLUE LIGHTS (Marshmallow EXPORT 2003年録音)

 Bluelightsjanlundgren

先日、マシュマロ・レーベルのオーナーの上不三雄さんから拙ブログにコメントをいただきました。同レーベルは、デューク・ジョーダンやカーステン・ダールの新録音やJ.J.ジョンソン、スタン・ゲッツなどの未発表音源の発掘を行っています。カタログは既に相当数あり、注目されるアルバムも多数に上っていますが、これもその中の一枚です。

デンマークのヤン・ラングレンは、既に日本でも名が通ったピアニストですが、僕のイメージは、バップに根ざした比較的ハードな演奏をするというものでした。ところが、この作品は、抒情性も持ち、北欧発のピアノ・トリオに対して抱く一般的なイメージに近づいています。メンバーは、ヤン・ラングレン(p)、イェスパー・ルンゴー(b)、アレックス・リール(ds)で、コペンハーゲンにおける録音。

曲は、スタンダードの「Take Me In Your Arms」、「Stranger In Paradise」、「Winter Moon」、「Skylark」、「We Could Make Such Beautiful Music Together」、アーティー・ショー作「Love of My Life」、ジジ・グライス作「Blue Lights」、ベニー・ゴルソン作の「Fair Weather」、「Out of The Past」、ラングレン自作の「Easily Found」と「A Sunny Rain」で全11曲。A・ショーの曲などをはじめ興味深いものが並んでいます。

「Take Me In Your Arms」は、ラングレンが、ノンビートで慈しむように出だしのメロディを弾いていて、豊かな抒情が冒頭から漂い、ランニングベースに支えられたピアノ・ソロは緊張感を伴って美しく、強く印象に残ります。「Out of The Past」は、アート・ファーマー(tp)のアルバム「Art」(Argo)に収録されていて覚えた曲ですが、ここでのラングレン、ルンゴーのプレイもよく、他にも爽やかな「Stranger in Paradise」など耳を傾けたいトラックが多く、最近よく聴くアルバムです。

【取締役 島耕作】

作者は、弘兼憲史さんで、目次にはずらっとスタンダード曲のタイトルが並んでいます。サラリーマンなら誰もが憧れる取締役になった島耕作の活躍が描かれています。

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サム・クック MR. SOUL

2012-03-18 15:13:28 | ヴォーカル(S~Z他)

本当に久しぶりに、レコード・コレクターズ誌を買いました。サム・クックの特集が組まれていたからです。同誌は、創刊当初は、ヴォーカルやジャズに焦点が当てられていたのですが、営業上の理由から、ほとんどロック関連の記事ばかりになってしまいました。これは仕方ないところですが、最近でも興味を惹かれる特集があると、たまに買っています。サム・クックのスタンダード・アルバム。

SAM COOKE (サム・クック)
MR. SOUL (RCA 1962年録音)

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サム・クック(1931~64)の「Mr. Soul」は、日本盤LPで聴いていましたが、ようやくCD化されたのでCDも買いました。ソウルやR&Bのファンばかりでなく、CD化を待ち望んでいたヴォーカル・ファンもいるのではないでしょうか。彼の歌うスタンダードは、アレンジがポピュラー系統のものと異なりますが、伴奏が、メリスマを効かせたスイングするストリングスやサックス入りコンボということもあり、親しみやすいです。

サム・クックは、ソウル・ミュージックのパイオニアと言われ、ゴスペル・グループに属して歌手歴をスタートし、独立した後は、オリジナリティを発揮し、「Nothing Can Change This Love」や「Send Me Some Lovin'」という大ヒット曲を放ちました。なんといっても、ソフトで暖かく、高音まで滑らかに伸びていく歌声は、いつの時代にも歓迎されるだろうと思います。

曲は、スタンダードが「I Wish You Love」、「Willow Weep For Me」(柳よ泣いておくれ)、「Smoke Rings」、「All The Way」、「Cry Me A River」、「For Sentimental Reasons」、「Little Girl」、「These Foolish Things」、ブルーズ系の「Chains of Love」と「Driffin' Blues」、そしてサムのヒット曲「Nothing Can Change This Love(この曲は彼自身の作詞作曲)と「Send Me Some Lovin'」の全12曲。

「These Foolish Things」の大意は、「口紅の付いた煙草やロマンティックなところへ行く航空券など、つまらないものがあなたを想い出させる」で、本来かなり落ち込んでいる気分なのですが、サム・クックの高音を生かした歌は、それがどうしたというような勢いがあって、昔から好きな歌唱です。「Willow Weep For Me」、「All The Way」といったスタンダードもいいですが、ブルーズ「Chains Of Love」やヒット曲「Nothing Can Change This Love」が圧倒的で、たまに聴いている作品です。

【レコード・コレクターズ 2012年3月号】

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レイ・ブラウン SOULAR ENERGY

2012-03-11 18:56:52 | ベース・ドラムス

安曇野市の家に泊るときには、近くの日帰り温泉に行くことが多く、あまり自宅の風呂は利用しませんが、先週は久しぶりに使いました。屋根には、太陽熱利用の温水器が設置されていて、冬でも熱いお湯が沸いて、お風呂などに利用しています。パネル利用の太陽光発電が普及しつつありますが、温水器はまだまだ現役で頑張ってくれています。「Solar」(太陽)と「Soul」(魂)をかけあわせたタイトル。

RAY BROWN (レイ・ブラウン)
SOULAR ENERGY (Concord 1984年録音)

 Soularenergyraybrown

正確なタイトルは、SOULAR ENERGYの次に「THE RAY BROWN TRIO FEATURING GENE HARRIS」と入り、レイ・ブラウン(b)とともに、ジーン・ハリス(p)が主人公です。ハリスは、The Three Soundsでブルーノート・レーベルへの録音を多数残しましたが、このコンコードへの録音以降、再び表舞台で活躍するようになりました。

メンバーは、レイ・ブラウン(b)、ジーン・ハリス(p)、ゲリック・キング(ds)で、「Mistreated But Undefeated Blues」の1曲に、レッド・ホロウェイ(ts)とエミリー・レムラー(g)が加わっています。1曲を除き超有名曲ばかりなので、レイ・ブラウンとジーン・ハリスのプレイに興味が集まります。

曲は、「Exactly Like You」、「Cry Me A River」、「Teach Me Tonight」(今夜教えて)、「Take The A Train」(A列車で行こう)、「Mistreated But Undefeated Blues」、「That's All」、「Easy Does It」、「Sweet Georgia Brown」の8曲。

レイ・ブラウン(b)の高音までしっかりと使ったベースはよく唄い、ジーン・ハリス(p)のプレイは、同じフレーズの繰り返しを適度に用いてソウルフルです。「Teach Me Tonight」の出だしの跳ねるような処理に感心すると同時に、「Cry Me A River」や「Take The A Train」などスローテンポの演奏も面白い。「Mistreated But Undefeated Blues」における、エミリー・レムラー(g)のプレイは、ウェス・モンゴメリーを想像させますが、音色やタイミングなど非常に好みです。


ローランド・ハナ EASY TO LOVE

2012-03-08 00:59:10 | ピアノ

先週は長野県を含めた関東甲信地方で雪が降り、気温も低かったのですが、ようやくきのうあたりから気温が上がってきました。今シーズンは、低音が続き、所によっては降雪も多く厳冬でした。県の北部などかなりの積雪になっているところがあり、雪どけの遅れは、稲の作付にも支障が出るので、この調子で春に向かってほしいものです。暖かそうな美女ジャケです。

ROLAND HANNA (ローランド・ハナ)
EASY TO LOVE (ATCO 1959年録音)

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美女ジャケは多いですが、これだけ顔を大きく捉えたものは、そうないかもしれません。ローランド・ハナ(P)のアトコ・レーベルへの2作目で、ジャケットはもちろん、内容が素晴らしいので、LPで持ち続けています。ハナは、1966年から74年にかけてのサド=メル楽団での活動、録音も知られていますが、ピアノ・トリオの本アルバムに愛着を覚えている人は多いのではないでしょうか

ローランド・ハナ(p)、ベン・タッカー(b)、ロイ・バーンズ(ds)というメンバー。ハナは、デトロイト出身で、先輩にはトミー・フラナガンがいますが、フラナガンからの影響もあるかもしれません。バラードを弾く際の細かな音の美しさは、小さいころからクラシックをみっちりと習っていたせいでしょうか。

曲は、スタンダードが多く、「The Best Things in Life Are Free」、「Like Somone in Love」(恋の気分で)、「Yesterdays」、「It Never Entered My Mind」、「Easy To Love」、「Night In Tunisia」(チュニジアの夜)に、ベン・タッカー作「Next Time You See Me」と「Farouk Thelonious」そしてリー・ハーライン(代表曲は「星に願いを」)作の「From This Day On」の9曲。タッカーが2曲提供しているのが目を引きます。

最初の「The Best Things in Life Are Free」から、3人のバランスがよい上質なプレイが聴け、特に和音で奏されるテーマ部が心地よい。ベン・タッカー作の「Next Time You See Me」は、ブルースらしく黒っぽく、バラード「From This Day On」や「It Never Entered My Mind」では、端正で美しいピアノ演奏が聴けます。「Night In Tunisia」は、急速調で、目一杯高音まで使ったハナ(p)の迫力あるプレイに加え、バーンズ(ds)も活躍して爽快な出来栄え。


ティナ・ロビン THE FOUR SEASONS 

2012-03-04 19:53:09 | ヴォーカル(S~Z他)

アルストロメリアをたくさんもらったので、職場に飾りました。切り花として日持ちがよく、多彩な色も楽しめるため、人気がある花です。長野県では、花卉栽培が盛んで、アルストロメリア、シクラメン、トルコギキョウは、全国一の生産量だそうです。ハウス栽培をしている知人によると、栽培には、色や形に対するセンスと高い技術が必要とのこと。ボリュームのある花束が似合いそうな歌手です。

TINA ROBIN (ティナ・ロビン)
THE FOUR SEASONS (CORAL 1958年録音)

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ティナ・ロビンは、オールディーズ・ファンの間では知られた女性歌手です。代表曲は、ジェリー・ゴフィン作詞、キャロル・キング作曲による「Dear Mr. D.J.Play It Again」1961年ビルボード95位)で、甘いロッカ・バラードを張りのある声で歌いあげています。その彼女が、季節に関連したスタンダード曲をコーラル・レーベルに録音したのが、このアルバムです。僕が持っているのは、LPTIMEレーベルのCDですが。

ティナ・ロビンのためにBuddy Kayeが「The Four Seasons」という曲を作り、タイトル曲として収録されています。また、ディック・ジェイコブズ指揮の弦入りオーケストラとビッグ・バンドが曲により伴奏を分けていて、コーラルは売り出しに力を入れたに違いありません。

曲は、「The Four Seasons」、「It Might As Well Be Spring」(まるで春みたい)、「Spring is Here」、「Summertime」、「Under A Blanket of Blue」、「Row, Row, Row」、「'Tis Autumn」、「Shine On Harvest Moon」、「Sptember in The Rain」、「Winter Wonderland Cha Cha」、「Let It Snow! Let It Snow! Let It Snow!」、「I've Got My Love to Keep Me Warm」の12曲。LPTIMEレーベルのCDには、「Sunshine」と「The Power of Prayer」の2曲が追加されています。

弦の伴奏をバックにした「It Might As Well Be Spring」や「Spring is Here」がしっとりとして、聴きごたえがありますが、リズムへの乗りがいいので、早いテンポの「Row, Row, Row」や、ラテン・リズムの「Winter Wonderland Cha Cha」も元気はつらつで楽しい。CDに追加の2曲は、ドゥーワップ・コーラスなどが被りヒット狙いですが、こちらも悪くなく、オールディーズファンには嬉しい追加です。

【ティナ・ロビンが歌う「Dear Mr. D.J.Play It Again」とポートレート】

YouTube: Tina Robin - Play It Again (stereo)

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【アルストロメリア】

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