安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ドリス・デイ DUET

2009-10-24 21:33:19 | ヴォーカル(A~D)

アンドレ・プレヴィンがNHK交響楽団の首席客演指揮者に就任し、この10月の定期公演に登場しています。プレヴィンはいまやクラシック音楽界の巨匠として、指揮、作曲、ピアノ演奏で活躍を続けています。彼は、1950年代~60年代前半はジャズ、映画音楽の世界で活動し歌手の伴奏も手がけていますが、その中からドリス・デイのアルバムを聴いてみます。

DORIS DAY (ドリス・デイ)
DUET (COLUMBIA 1961年録音)

 Duet

昨年、プレヴィンは、NHK交響楽団の定期公演に登場し、モーツァルトのピアノ協奏曲を弾き振りなどしましたが、それは定期公演のNO1に定期会員から選ばれました。その公演を、僕はテレビで見ましたが優美な演奏に感じました。今夜はダイナ・ショア、ダイアン・キャロルの歌伴をしているレコードも聴きましたが、音の粒立ちはさすがというほかありません。

さて、ドリス・デイですが、ちょうど1960年ごろは、映画女優として絶頂期に当たっていて、「夜を楽しく」、「ミンクの手ざわり」といった映画に出演しています。そのさなかにこの録音をしたわけですが、いい贈り物をヴォーカルファンにしてくれました。

曲目は、プレヴィン作の2曲以外はスタンダードで「Close Your Eyes」、「Fools Rush In」、「Nobody's Heart」、「Remind Me」、「Daydreaming」、「Give Me Time」、「Wait Till You See Him」、「My One And Only Love」、「Falling In Love Again」などです。ピアノの他にレッド・ミッチェル(b)、フランク・キャップ(ds)が曲により伴奏に当っています。

ドリスの少しハスキーながら、温かい声で、バラード「Fools Rush In」、「Give Me Time」、「Wait Till You See Him」、「My One And Only Love」などが切々と美しく歌われます。それに寄り添うようなプレヴィンの伴奏は、これ以上ないくらい。「Close Your Eyes」は、トリオ伴奏で軽快にスイングし、作品全体に格調の高さが感じられる気がします。

ホームページに京都の散策記事を載せました。時間があればご覧ください。 モダンジャズやヴォーカルを聴こう 京都のレコード店とジャズ喫茶


タル・ファーロー THE ARTISTRY OF TAL FARLOW

2009-10-17 13:24:42 | ギター

デジタルカメラが壊れたので、5年ぶりに買い替えました。カメラは全くわからないので、店頭でデザインが気に入った「リコーCX2」にしました。奥さまの評価は、おじさん向けな感じだから、合ってるんよとのことです(苦笑)。秋も深まってきたので、渓谷の景色でも撮りにいきたいところです。秋といえば、まず思い浮かぶ曲「Autumn in New York」が入ったアルバムです。

TAL FARLOW (タル・ファーロー)
THE ARTISTRY OF TAL FARLOW (Verve 1954年録音)

 Theartistryoftalfarlow

タル・ファーローというと、エディ・コスタ(p)、ヴィニー・バーク(b)と組んだトリオで録音した「Tal」、「The Swinging Guitar」という2作品が知られています。しかし、本作品はそれらに劣らず素晴らしく、また、収録曲の好みもあり、彼の作品中では、聴いた回数が多いものです。

ロサンゼルス録音であり、顔ぶれはユニークです。タル・ファーロー(g)、ジェラルド・ウィギンス(p)、レイ・ブラウン(b)、チコ・ハミルトン(ds)というメンバー。サイドメンは、それぞれタルの伴奏役として心得たプレイぶりで、リズムはかなり快適です。

曲目は、「I Like to Recognize The Tune」、「Strike Up The Band」、「Autumn in New York」、「Little Girl Blue」、「Have You Met Miss Jones」、「Cherokee」というスタンダードに、タルの作曲による「And She Remembers Me」、「Tal's Blues」で全8曲。「Tal's Blues」は、ウィンギンス、ブラウンのソロやハミルトンがスティックでプレイするなど、サイドメンも活躍するよいトラックです。

スピード感溢れる「Cherokee」は、タルのテクニック発揮のトラックですが、「Autmn in New York」、「Little Girl Blue」という2曲のバラードで、繊細なプレイぶりを聴くことができます。太い音色に、短めの音を用いて、ミディアム以上の曲ではよくスイングします。それに加え、バラードでは、たくましさの中に優しさがうかがわれて、聴き入ってしまいました。

購入したカメラです。バックのジャケ写真は、ローズマリー・プリンツ。

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キャノンボール・アダレイ THEM DIRTY BLUES

2009-10-11 19:47:42 | アルト・サックス

先週、岡谷市(諏訪湖のほとり)に出張しました。車中では、ブルーレイ・レコーダー、プリンターなどの話で盛り上がりました。私を除く3人はプリンターを最も使うのは、DVDやCDのレーベル印刷だそうで、録画や録音、ディスクへの焼き付けが一般的になっているのだと改めて感じさせられました。仕事は、自動車の往来の激しい道端での危険を伴う作業で、折からの寒さも手伝い、労働をしたという気分になりました。ワーク・ソングです。

CANNONBALL ADDERLEY (キャノンボール・アダレイ)
THEM DIRTY BLUES (Riverside 1960年録音)

 Them_dirty_blues

ナット・アダレイの作曲した「Work Song」は、ファンキー時代を象徴する名曲の一つです。本人のリーダー・アルバムの他、オスカー・ブラウンJRがつけた詞による歌としても知られています。今日は、二管編成のキャノンボールのアルバムで聴いてみます。

キャノンボール・アダレイ(as)、ナット・アダレイ(cor)、バリー・ハリス(p)、ボビー・ティモンズ(p)、サム・ジョーンズ(b)、ルイス・ヘイズ(ds)という豪華メンバーです。レギュラーピアニストはティモンズだったのですが、ツァーの合間をぬった録音のため、シカゴでの収録は、A・ブレイキーに呼ばれたB・ティモンズの代わりにB・ハリスが参加したそうです。

曲目は「Work Song」、「Dat Dere」、「Easy Liveing」、「Del Sasser」、「Jeannine」、「Soon」、「Them Dirty Blues」。CDでは「Work Song」と「Dat Dere」の別テイクが追加されています。ジャケット写真は日本盤LPですが、聴いているのはCDで、「Work Song」はB・ハリスがピアノを弾いていますが、別テイクではB・ティモンズで、これを聴きたいのでCDも購入しました。

「Work Song」ではキャノンボールに負けず劣らず、弟のナットが熱いプレイを繰り広げています。管楽器の二人は本テイクの方がよいように感じます。他にも、「Dat Dere」、「Jeannine」とかっこいいプレイが詰まっています。「Dat Dere」でティモンズが分厚いブロック・コードを用いながらリズミックなソロをとっているところでは、思わず身を乗り出してしまいました。

ホームページに、ブレンダ・リー(オールディーズ)を掲載しました。時間があればご覧ください。モダンジャズやヴォーカルを聴こう ブレンダ・リー


ジョン・テイラー DECIPHER

2009-10-04 19:14:11 | ピアノ

ジャズが流れる洋食屋、バックドロップ(長野市)で遅い昼食。お客さんが他にいなかったので、マスターは大きめの音量でピアノトリオをかけてくれました。チック・コリアに似たところがあるけど誰だかわからず訊ねてみたところ、ジョン・テイラーとの答え。そういえば持っていたはずで、このごろ所持品まで忘れることが多くなりました。重症の健忘症でしょうか(笑)

JOHN TAYLOR (ジョン・テイラー)
DECIPHER (MPS 1972,73年録音)

 Decipher

ピアノのジョン・テイラーは、1942年英国生まれで、ジョン・サーマンやアラン・スキモドアと共演し、77年にはケニー・ホイーラー(tp)らを加えたグループ「アジムス」を結成して、ECMに録音を残しています。いまとなっては、彼に注目する人は少ないかもしれませんが、「DECIPHER(覚醒)」は一聴の価値があります。

力強く流れるようなピアノとベース、ドラムスが一体になった刺激的な作品です。この路線の先輩格は、チック・コリアの「Now He Sings, Now He Sobs」なのでしょうが、曲目にメロディの綺麗なものがあること、ドラムスのプレイが多彩なことなど、こちらの作品も悪くありません。

ジョン・テイラー(p)、クリス・ローレンス(b)、トニー・レヴィン(ds)というメンバーですが、リズムの二人は結構自由にピアノに絡んでいます。曲目はすべてジョン・テイラーの自作で、「Cipher~Wait For Me」、「Leaping」、「Speak to Me」、「Song For A Child」、「White Magic」というもの。はじめの曲が、印象的なテーマと切れのあるピアノ・タッチによるアドリブによって一番聴きごたえがあります。

このトリオの響きを聴いていると、午後の昼下がりのお客さんがほとんどいなかった1970年代のジャズ喫茶空間を思い浮かべます。そういえば、ジョン・テイラーとジョー・ハイダー(ドイツのピアニスト)を混同して、バックドロップのマスターと話をしてしまいました。最近、このあたりの作品とは疎遠になっているせいでしょうか。