安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ダイアナ・クラール LIVE IN PARIS

2008-02-28 22:06:01 | ヴォーカル(A~D)

オードリー・モリスの弾き語りアルバム「ビストロ・バラッズ」を聴いたところ、ピアノはほとんどムードを設定するのに使われていました。これはこれで上手く歌をひき立てているのですが、ピアノも活躍する弾き語りアルバムを聴いてみようかと、ダイアナ・クラールのCDを取り出しました。

DIANA KRALL (ダイアナ・クラール)
LIVE IN PARIS (Verve 2001年録音)

 Liveinparisdianakrall

2001年11月29日から12月2日にかけてパリのオランピア劇場に出演した際のライヴアルバムです。DVDも出ているので、そちらをもっていらっしゃる方も多いと思います。ピアノ、歌ともによくスイングする人気アルバムです。

メンバーは、ダイアナ・クラール(vo,p)のほかジョン・クレイトン(b)、ジェフ・ハミルトン(ds)、アンソニー・ウィルソン(g)、ジョン・ピサノ(acg)、ポウリーニョ・ダ・コスタ(per)、アラン・ブロードベント(指揮)、ヨーロッパ交響楽団です。ジョン・クレイトンとジェフ・ハミルトンを入れていますから、リズムがいいわけですね。

曲によりインスト・ソロもたっぷりと聞けるので、ヴォーカル・ファンばかりでなくインスト・ファンにも楽しめるアルバムです。「I Love being Here With You」や「Devil May Care」では、早いテンポでピアノ、ギターなどの鮮やかなソロが聴けます。

「S' Wonderful」はボサノヴァで軽くやっています。ピアノソロも心地よく、こういうヴァージョンもいいです。僕ははじめて、この曲のボッサヴァージョンをここで聴きました。しっとりとしたものでは「A Case of You」(ジョニ・ミッチェル作)がよく、その他にシナトラ・ナンバーの「East of The Sun」、「I've Got You Under My Skin」などが収録されています。全12曲。

それにしても、CDが続々と発売されています。多すぎて新譜情報を見ようという気にもなかなかなりません。マイペースで楽しんでいます。ホーム・ページにオードリー・モリス(ヴォーカル)を掲載しました。時間があればご覧ください。モダンジャズやヴォーカルを聴こう


ジャネット・サイデル COMME CI COMME CA

2008-02-25 21:34:46 | ヴォーカル(E~K)

先週あたりから仕事に追われっぱなしなので、せめてゆったりとしたテンポでリラックスできるアルバムを聴こうと、ジャネット・サイデルのCDを取り出しました。この作品は、あるレコード店の店主から教えていただき購入したものです。さすがに目のつけどころが素晴らしく、僕もたいへん気に入っています。

JANET SEIDEL (ジャネット・サイデル)
COMME Ci COMME Ca (LA BRAVA 1999年録音)

 Commecicommecaseidel 

最近もヘンリー・マンシー二曲集が人気を集めているオーストラリアのジャネット・サイデルの6番目の作品です。特徴は、スタンダードだけでなくシャンソンや映画音楽などを取り上げると同時に、英語と仏語を用いて歌っているところです。それも一曲の中で(コーラス毎に)使い分けています。例えば「These Foolish Things」も途中から仏語になるのです。

選曲はバラエティに富んでいて、スタンダードの「And The Angels Sing」、「Smile」、「These Foolish Things 」、「I Wish You Love」(元はシャルル・トレネ作のシャンソン)、 映画から「Windmills of Your Mind」(風のささやき)、「A man and a woman」(男と女)、「I will wait for You」(シェルブールの雨傘)、シャンソンの「C'est si Bon」、「Padam」、「Les Plaisirs Demodes」(昔かたぎの恋)など14曲です。

伴奏は、Kevin Hunt(p)中心のピアノ・トリオに、曲によりテナーまたはアルト・サックスが加わりますが、Bob Jeffery(sax)がなかなか的確な間奏をいれています。サイデルの仏語は全然違和感がありませんし、言語に関係なく全体に親しみやすく上品でとてもいいです。

彼女の歌を聞いていると、「馥郁」という言葉が浮かんできます。「馥郁たる梅の香り」といえば、とてもよい梅の香りのことですが、仏語で歌っていることもあり「馥郁たる歌声」というかなり感覚的ですが、そんな印象を受けました。

シャンソンやコンチネンタル・タンゴの楽譜を買ってきて、アコーディオンで弾いたことがあります。ボタンの操作など自己流ですが、「パリの空の下」、「ドミノ」、「奥様お手をどうぞ」など今でもメロディだけは出てきます。このCDを聴いているうちに、しまってあるアコーディオンを弾いてみようかという気持にもなりました。

馥郁たるコーヒーの香りとともに聴きたい作品です。


グラント・グリーン GREEN BLUES

2008-02-23 22:56:12 | ギター

レコード店でLPやCDを購入してルンルン気分で帰り、いざ聴こうとして曲目やメンバーに目を通すとか、音を出してから、実は既に持っていたということが最近起こるようになりました。物忘れが多くなったという理由が一番ですが、再発に際しタイトルが変更になっていたということもあります。タイトルの変更に加えて、リーダーも変えている一枚です。

GRANT GREEN (グラント・グリーン)
GREEN BLUES (Muse 1961年録音)
   

  Greenbluesmuse_2          Reaching_out_dave_bailey                               

オリジナルは、リーダーがデイブ・ベイリー(ドラムス)で、タイトルは「Reaching Out」(Jazztime)です。ジャズタイムは、フレッド・ノースウォーシーというプロデューサーがやっていたレーベルですが、売れ行き不振で倒産。続いてデイブ・ベイリーも出資したジャズラインというレーベルも倒産し、これらのテープがアラン・ベイツに売却され、さまざま再発されました。

テープの売却はビジネスの世界ですからよくあることですが、リーダー名まで変えています。売れ行きを考えて、ネーム・ヴァリューのあるグラント・グリーン(ギター)をリーダーにしたものでしょう。ベイリー・ファンとしてはちょっと残念ですが、グリーンはソロも長くとっており、またよく歌っていてリーダーといわれても違和感がありません。

メンバーは、フランク・ヘインズ(ts)、ビリー・ガードナー(p)、グラント・グリーン(g)、べン・タッカー(b)そしてデイブ・ベイリー(ds)です。早く亡くなってしまったテナー・サックスのヘインズの貴重な録音でもあります。ハンク・モブレイにやや似ていますが、もう少し黒っぽいプレイです。

曲目は、「One for Elena」、「Our Miss Brooks」、「A Flick of a Trick」、「Falling in Love With Love」、「Baby you Should Konw It」、「Reaching Out」です。グラント・グリーンに焦点を当てているので、このような順番になったものでしょう。ベン・タッカー作曲の「A Flick of a Trick」と「Baby You Should Know」がとりわけブルージーです。全体に自然と体が揺れるようなスイング感にも溢れています。

ホームページにデイブ・ベイリー(ドラムス)を掲載しました。時間があればご覧ください。
モダン・ジャズやヴォーカルを聴こう


ジョン・ルイス AFTERNOON IN PARIS

2008-02-19 22:23:19 | ピアノ

大学4年の子供が卒業旅行に行くというので、どこに行くか訊ねたところ「沖縄」という答えが返ってきました。昨年の秋にはパリの美術館とかローマの遺跡と騒いでいたのですが、卒論などで忙しく友達と相談して国内旅行に決めたようです。時間的、もちろん経済的に遠くに出かけられない私は、せめてジャケットでパリに行った気分に。

JOHN LEWIS & SACHA DISTEL (ジョン・ルイスとサッシャ・ディスティル)
AFTERNOON IN PARIS (ATLANTIC 1956年録音)

 Afternooninparisjohnlewis

ジャズレコードのジャケットにもパリはいくつか登場しますが、エッフェル塔が写っているものにしてみました。ハンク・モブレイ「Reach Out!」(Blue Note)などもありますが、ジョン・ルイス(p)がいかにもパリに相応しいような気がします。

サッシャ・ディスティル(フランスのギタリスト)は、後にフレンチ・ポップスの歌手、作曲家、俳優としても著名でした。ブリジット・バルドー(フランスの往年の人気女優)の恋人?でもあったようです。みるからに好青年、美男子です。二人の双頭アルバムですが、実質はジョン・ルイスが仕切っています。

二人の他にバルネ・ウィラン(ts)、そして曲によりピエール・ミシェロ(b)、コニー・ケイ(ds)とパーシー・ヒース(b)、ケニー・クラーク(ds)です。モダン・ジャズ・カルテットからミルト・ジャクソンが抜け、フランスのミュージシャンを加えて録音されたもので1956年のMJQのヨーロッパ楽旅中の吹き込みです。

曲目は、J・ルイス書き下ろしの「Afternoon in Paris」以外は、「I Cover The WaterFront」、「Dear Old Stockholm」、「All The Things You Are」、「Bags' Groove」、「Willow Weep for Me」というスタンダード5曲です。

典雅な室内楽的ジャズが聴けます。バルネはこのとき19歳です。音はかなり豪放なものの、フレーズは全体のムードに合わせています。ディスティルからは、タル・ファーローの面影も聞こえます。「Willow Weep For Me」がなんといっても聴きもので、落ち着いたグルービーさが感じられます。

ジャケットを眺めながら、ルイスのみずみずしい音に耳を澄ませていると、パリにいるような気分になってくるから不思議です。


エセル・エニス MY KIND OF WALTZTIME

2008-02-16 23:29:29 | ヴォーカル(E~K)

レコード店で、クラシック売場を眺めていたところ、2008年のウィーン・フィルのニュー・イヤー・コンサートのCDが並んでいました。指揮者はフランスのジョルジョ・プレートルで驚いた人が多かったようですが、フランス関連の曲が多かったのがその理由でしょう。ウインナ・ワルツでは、「美しき青きドナウ」のほか「春の声」や「酒・女・歌」が好みです。曲でなくても「酒と歌」は好みですが。ワルツからエセル・エニスの「My Kind of Waltztime」です。

ETHEL ENNIS (エセル・エニス)
MY KIND OF WALTZTIME (RCA VICTOR 1964年頃録音)

 Mykindwaltztimeennis

コンセプトどおりワルツの曲が並んでいて壮観です。わからないものもあるので、必ずしもそうではないかもしれませんが。ディック・ハイマンのアレンジはそれぞれ趣向が凝らされていて、レコードを聴く限りでは原曲がワルツだとはわかりません。また、伴奏も工夫されていてしゃれた雰囲気です。

収録曲は、リチャード・ロジャース作曲のものが多くて3曲で「Oh, What a Beautiful Mornin'」、「It's a Grand Night for Singing」と「Falling in Love With Love」。次いでアーヴィング・バーリン作曲が2曲で「Remember」と「The Song is Ended」。その他「Someday My Prince Will Come」、「Paradise」、「My Coloring Book」など全部で12曲です。

エセル・エニスは50年代から活躍しているよく知られている歌手です。ところが、彼女のCDは、現在入手できるものがほとんどありません。洗練されていてしかもよくスイングする彼女のアルバムはいつも手に入るのが理想です。

最高に愉快なのは「The Song is Ended」です。休止(クラシックでいえばゲネラル・パウゼ状態)を用いて、終わるとみせかけてまた歌います。それが絶妙のタイミングです。「Falling in Love With Love」はボサノヴァでやってくれています。「Oh, What a Beautiful Mornin'」はペギー・リーのものが好きなのですが、これもよく、「Remember」、「Paradise」と好唱が詰まっています。