安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

デイヴ・パイク PIKE'S GROOVE

2011-08-31 22:46:17 | ヴァイブ、オルガン他

長野駅前の書店に立ち寄ったら、「ジャズ・ロックって何だ?」という特集が目を引いたので、ジャズ批評2011年9月号を買いました。ジャズ・ロックというと、リー・モーガンの「The Sidewinder」が代表に挙げられるものの、定義付けや分類は難しいようです。どうせ特集するなら、リズムなど技術面の分析記事があったらもっとよかったのですが。ラテンやロック色の濃い作品も作ったヴァイブ奏者を聴いてみました。

DAVE PIKE (デイヴ・パイク)
PIKE'S GROOVE (Criss Cross 1986年録音)

 Pikesgroovedavepike

デイヴ・パイク(vib)は、ビル・エヴァンス(p)が参加した「Pike's Peak」(Epic)が広く知られています。この他に、彼にはラテンものやロックに近寄った録音が多くありますが、これは、タイトル通り、ジャズど真ん中で、しかも、デリケートなプレイも楽しめる飛びきりのアルバムです。メンバーは、デイヴ・パイク(vib)、シダー・ウォルトン(p)、デヴィット・ウィリアムス(b)、ビリー・ヒギンズ(ds)。

曲は、チャーリー・パーカー作が2曲で「Big Foot」と「Ornithology」、ディジー・ガレスピー作も2曲で「Con Alma」と「Birk's Works」、パイクの自作が「Reflections in Blue」、そして、スタンダードの「Spring can Really Hang You Up The Most」、「You Are My Everything」の7曲。ただし、「Big Foot」と「You Are My Everything」は2つのテイクを収録してあり、9つのトラックです。

パーカーとガレスピーのナンバーが4曲もあり、意気込みを感じさせます。また、僕の大好きな曲「You Are My Everything(You're My Everything)」(ハリー・ウォーレン作曲)をとりあげ、やや早いテンポで美しいメロディを奏でてくれるのが嬉しいところ。この曲は、マイルス・デイビス(tp)もプレイ(「Relaxin'」に収録)するなど、ミュージシャンに愛される曲なのでしょう。パイクのヴァイブ演奏で旋律がくっきりと浮かび上がります。

パイクは、湿り気のない乾いた感じのグルービーさを醸しだしています。バックのシダー・ウォルトン以下のリズム隊のよさもあり、どれもこれも聴き逃せません。「Big Foot」では、はじめの方で、パイクがアクセントをつけてタ、ターとソロに入るところなどぞくぞくします。全体にわたり、彼はハミング(聞きようによっては唸りながら)しながらプレイしています。「Birk's Works」でも、そうなのですが、メリハリをつけたプレイ。バラード「Spring Can Really Hang You Up The Most」では、それを控えめにして繊細な扱いをしています。

【ジャズ批評2011年9月号】

  Jazzhihyou201109  


パット・トーマス DESAFINADO

2011-08-28 19:12:20 | ヴォーカル(L~R)

奥様が一泊の温泉旅行に出かけたので、朝食を作りました。ファミレスに行ってモーニングを食べようと思ったのですが、冷蔵庫を開けたら食材が多く残っているので、珍しく作ることにしたものです。といっても、煎り卵、納豆、レタス、ミニトマトのサラダ、ご飯、ヨーグルトという簡単なメニューです。花壇に植えた木からもいできたミニトマトが味が濃く美味でした。ミニヒットも収録されたボサノバ集。

PAT THOMAS (パット・トーマス)
DESAFINADO (MGM 1962年録音)

 Desafinadopatthomas

パット・トーマスは、アート・ブレイキーとジャズメッセンジャーズの3回目の来日に同行して日本でも歌っています。その時は、1965年でしたので、彼女のヒット曲「Desafinado」が62年9月の録音で、全米チャートで78位まで上昇しましたから、それが知られていたり、ボサノヴァが日本でもブレイクしていれば、もっと注目されたかもしれません。

ヒット曲を含む、彼女のボサノヴァ、ラテン曲集です。スタン・ゲッツとチャーリー・バードのヒットを受けて、このアルバムもヒットを狙ったものでしょうか。アレンジはラロ・シフリンが担当して、ストリングスも加わる伴奏になっていて、手がかかった録音です。ジャズというより、ポップ色の濃いアルバムです。

曲は、「Carnival」、「Desafinado」(デサフィナード)、「Baia」、「One Note Samba」、「C'est Si Bon」(セシボン)、「Recardo Bossa Nova」(リカード・ボサ・ノヴァ)、「Could Be」、「I Wish You Love」、「Samba De Orfeu」(オルフェのサンバ)、「Once Again」、「Soft Nights」、「To Welcome The Day」の12曲。

彼女の歌声は、シャウトや粘っこさがなく高音なども綺麗です。ストランド・レーベルに録音した第1作「Jazz Patterns」は、なかなかジャジーですが、こちらの作品もスキャットなどがまじります。ヒット曲の「Desafinado」はもちろん、スキャットで鼻歌風に歌う「Recado Bossa Nova」、シャンソンとしておなじみの「C'est Si Bon」や「I Wish You Love」など、気軽に楽しめます。まだまだ暑さが続きそうなこの頃に、ちょっとクール気味の彼女の声もよろしいかと。

ホームページのヴォーカルにパット・トーマス(Pat Thomas)を掲載しました。時間があればご覧ください。モダンジャズやヴォーカルを聴こう パット・トーマス

【ミニトマト】

もともとは花壇のところに植えてみました。オクラ、なすもありますが、ミニトマトはよく採れます。長野市内は暑さが続きますが、そろそろ花に変えようかと思っています。

 Minitomatokajitu2011

     Minitomatonoki2011


ジョー・ハイダー JOE HAIDER QUARTET '84

2011-08-21 10:07:55 | ピアノ

送り盆の16日は、朝からかなり暑かったので、思い立って車で美ヶ原高原(松本市)に行って涼んできました。安曇野市から1時間弱で、別天地です。本来は、少なくともハイキングの恰好をして、山歩きを楽しむのが王道でしょうが、半袖シャツにスニーカーという手抜きのスタイルでした。それでも、遊歩道も少し歩き、写真を撮りました。かなり爽快な気分になって、帰りの車中はルンルンでした。熱くて爽快な作品。

JOE HAIDER (ジョー・ハイダー)
JOE HAIDER QUARTET '84 (JPV 1984年録音)

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ジョー・ハイダー(P)は、ドイツのベテランピアニストでアルバムも多数あります。僕は、ダスコ・ゴイコヴィッチ(tp)名義の「After a Long Time」でサイドメンを務めていたので知りましたが、スインギーでモーダル、マッコイ・タイナーのインパルス時代をちょっと思い起こさせる演奏で気に入り、彼のリーダー作として買ったのがこのアルバムです。

メンバーは、ジョー・ハイダー(p)、ロマン・シュヴァーラー(ts)、イズラ・エッキンガー(b)、ビリー・ブルックス(ds)。このアルバムは、ジョー・ハイダー目当てで買ったのですが、ロマン・シュヴァーラー(Roman Schwaller)が活躍していて、テナー・サックスのワンホーン・アルバムともいえます。

曲は、メンバーのものばかりで、シュヴァーラー作「The Essential Point」、ハイダー作が4曲で、「It Only Happens Every time」、「Only for You」、「Blues in the School」、「High Lights」、エッキンガーの「Deep in my Dreams」の6曲。オリジナルばかりですが、どこかで聴いたメロディを思わせるものもあり、それぞれ聴きやすい曲です。

ハイダーの作品中、一般に評価の高い「Katzenvilla」では、フリーに近いトラックもあり、敬遠気味です。しかし、ここではストレートに弾きまくっていて好感がもてます。シュヴァーラー(ts)のプレイは、音色、フレーズ、スピード感など、ハードバップ全開。力のこもったプレイはジョニー・グリフィンを思わせるところがありますが、バラードでは優しげなところもみえます。「The Essential Point」、「Only for You」など、メンバー全員の快調な演奏が続きます。

【美ヶ原高原】
山頂一帯が標高2000メートル、面積600haの台地となっている美ヶ原高原は、アルプスの山々を一望できる素晴らしい眺望や高山植物をはじめ、様々な草花や野鳥の姿を楽しめます。八ヶ岳中信高原国定公園です。

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   台上の道路から松本方面の眺望。天気がよければ北アルプスも見えます。

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            「想い出の丘」付近の景観

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    台上の道路。遠くに見える塔は、テレビの中継局

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   松本市から美ヶ原へ行く途中にある美鈴湖。釣り人の姿も。
   コンパクトデジカメでとっていますが、もう少し性能のよいカメラがほしい
   ものです。腕はありませんが(笑)

ホームページの散策、安曇野に8月中旬の美ヶ原高原と穂高大王わさび農場近辺を掲載しました。時間があればご覧ください。モダンジャズやヴォーカルを聴こう 8月中旬の美ヶ原高原と穂高大王わさび農場近辺


ジミー・レイニー TWO JIMS AND ZOOT

2011-08-14 19:17:48 | ギター

お盆なので、安曇野市の実家に来て、仏壇をきれいにしたり、お墓参りにいったりして過ごしています。こういう行事をすると、敬虔な気持ちになります。もっとも、夜は、ビールを飲んで、すぐに横になってしまうのですが(笑)。こういう日が、たまにあってもよいですね。ちょっと地味めのギターです。

JIMMY RANEY (ジミー・レイニー)
TWO JIMS AND ZOOT (MAINSTREAM 1964年録音)

 Twojimsandzootjimmyraney

ジミー・レイニーは、1950年代にプレスティッジ・レーベルにリーダー作があるなど、名前は一応知られています。しかし、音色の黒さやフレーズにファンキーさがあまり感じられない、クール系のレイニーは、ジャズファンの間で話題に上ることも少なかった気がします。けれども、スイングする長めのフレージング、抒情的なところなど、いい点がいっぱいあるように思えました。

彼のリーダー作の中で、ズート・シムズが加わっているということもあり、密かな人気盤がこの作品です。レイニーはアルコール中毒だったので、活動が途切れたこともありましたが、この時期よくこれを残してくれたものです。ジミー・レイニー(g)、ジム・ホール(g)、ズート・シムズ(ts)、スティーヴ・スワロー(b)、オシー・ジョンソン(ds)というタイトル通りのメンバー。

曲は、ジェリー・マリガンの「Hold Me」、「A Primera Vez」、「Presente De Natal」、「Morning of The Carnival」(黒いオルフェ)、ジョビン作の「Este Seu Olhar」、レイニー作「Betaminus」、ジム・ホールの「Move It」と「All Across The City」、「Coisa Mais Linda」、バートン・レインの「How About You」の10曲。テーマがボサノヴァのリズムで奏されるナンバーが多く、夏向きの一面も。

「Hold Me」では、ボッサリズムでテーマが両ギターにより奏され、シムズ、レイニー、ホールと快調なアドリブが続き、演奏時間の短いのが残念なくらい。急速調の「A Primera Vez」は、ズートのスインギーなソロや2台のギターのからみが聴きもの。「Morning of The Carnival」(黒いオルフェ)は、2台のギターだけで演じられ、レイニーのソロはソフトで哀調を帯びています。バラードの「All Across The City」は、ズート、レイニーのプレイが美しい。全体にソフトなサウンドで、深夜にもおすすめな作品。


ヘレン・オコネル AN ERA REBORN

2011-08-11 22:44:08 | ヴォーカル(E~K)

8月7日(日)のNHK教育テレビのN響アワーは、漫画家の手塚治虫の愛したクラシック音楽と題して、ストラヴィンスキー「火の鳥」などを放映していました。手塚治虫は、クラシック音楽を聴きながら仕事をしていましたが、漫画の内容によっては好きな映画音楽も聴いていたようです。その中から「サウンド・オブ・ミュージック」が取り上げられて、ジュリー・アンドリュースの歌、アンドレ・プレヴィン指揮NHK交響楽団の伴奏で演奏されたものが放映されました。曲、歌ともに素晴らしく久しぶりに感動しました。「The Sound Of Music」の入っているアルバムです。

HELEN O'CONNELL (ヘレン・オコネル)
AN ERA REBORN (CAMEO 1963年録音)

 An_era_reborn

「サウンド・オブ・ミュージック」は、作詞オスカー・ハマースタイン2世、作曲リチャード・ロジャース、主演メアリー・マーティンにより、1959年11月16日から1443回も上演されたヒット・ミュージカルで、1965年には、ジュリー・アンドリュース主演で映画化されました。「ドレミの歌」、「私のお気に入り」(My Favorite Things)と並んで、「The Sound of Music」も主な曲です。映画では冒頭に、「The Sound of Music」が歌われています。

N響アワーでは、ジュリー・アンドリュースの登場、そして歌の最後まで、映画の一場面を見ているようでした。指揮者がアンドレ・プレヴィンというのもゴージャス。さて、ヘレン・オコネルは、「グリーン・アイズ」や「ユアーズ」といったヒット曲を持つスイングバンドで活躍した歌手ですが、ここでは当時の最新のヒット曲を、ベニー・グッドマンやグレン・ミラー風の編曲により歌っています。

編曲は、ジャック・プライスで、クラリネットやサックスのソロも入るビッグ・バンドの伴奏です。曲は、「The Sweetest Sounds」、「Till There Was You」、「Fly Me To The Moon」、「I Can't Stop Loving You」(愛さずにはいられない)、「Small World」、「Moon River」、「Make Someone Happy」、「What Kind of Fool Am I」(愚かなり我が心)、「Wichcraft」、「Where is Love」、「The Sound of Music」、「I Left My Heart in San Francisco」(想い出のサンフランシスコ)の12曲。

収録曲は、名曲辞典といっても過言ではなく、当時いかに後世に残るよい歌が作られていたかがわかります。ヘレン・オコネルは、余裕をもってスイングし明るく歌っており、楽しめるアルバム。伴奏も含めて、「The Sweetest Sounds」と「Till There Was You」が印象に残ります。「The Sound of Music」は、ヘレンの歌も悪くないものの、放映されたジュリー・アンドリュースの歌が、美しいメロディをストレートに出し、スケール感もあって圧倒的でした。

【ジュリー・アンドリュースの歌う、The Sound of Music】

このステージ(1993年)の映像がYouTubeにあったので、載せました。
YouTube: The Sound of Music (Medley) 【720P】 - サウンド・オブ・ミュージック

 

 画面のジュリー・アンドリュースを撮ってみました。

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