安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

丸島和洋著「真田四代と信繁」(平凡社新書)を読みました。著者は、NHK大河ドラマ『真田丸』の歴史考証を担当。

2024-06-27 19:30:00 | 読書

NHK大河ドラマ「徳川家康」(1983年放映)、「功名が辻」(2006年放映)に続き、「真田丸」(2016年放映)をDVDで観始めています。その参考として、丸島和洋著「真田四代と信繁」を読み始めたら、とても面白く、一気に読んだので、感想などを記します。

   

表紙

(著者略歴)

丸島和洋さんは、1977年大阪府生まれ。2000年、慶應義塾大学文学部史学科卒。05年、同大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学。08年、「戦国期武田氏権力の研究――取次論の視座から」で博士(史学)。専門は戦国大名論。現在、東京都市大学共通教育部 人文・社会科学系 教授。著書多数。

(カバー裏に記載された本書の概要)

信濃国小県郡真田郷を本拠とする真田氏は、武田、上杉、北条、織田、徳川など並みいる大大名らに囲まれつつも、幾多の難局を乗り切り、ついには近世大名として家を守りとおした。したたかに、実直に生きのびた武家100年の歩みは、お家生き残りの物語であった。「表裏比興者」昌幸、「日本一の兵」信繁(幸村)をはじめ、16~17世紀、戦国期に活躍した真田氏歴代の歩み。

(目次)

(感想など)

真田家当主4代(幸綱、信綱、昌幸、信之)と信繁(「幸村」という名前は、後世の造語)の波乱万丈の人生を描いた好著です。新たな「国衆」という概念(軍事的には従属したが、自領内に自治権を持っていた戦国武将)により、国衆である真田氏と諸大名との関係が整理されていたのも新鮮でした。

小説を読んだくらいの知識しかなかったのですが、関ヶ原の戦において、真田家の昌幸と信繁が西軍についたのが、ずっと不思議で、情勢を分析すれば、東軍(徳川方)につきそうなものだと思っていました。

それが、昌幸と石田三成はかなり懇意で、しかも縁戚であったこと、信繁の妻(竹林院殿)は大谷吉継の娘であったことを本書で知り、そのへんが影響したのかと、疑問が解けました。また、徳川方についた信之に対し、家康はきちんと約束を果たしていて、さすがに家康と、この点には驚きました。

(以下、参考)

真田家略系図 

信之の妻は小松殿で本多忠勝の娘です。これに対し、信繁の妻は竹林院殿で、大谷吉継の娘です。

真田昌幸像

天正8年(1580年)頃の武田領国。真田管轄は、岩櫃と沼田。

石田三成と真田昌幸との関係

   

真田丸(DVD)

   

大河ドラマの方は、観始めたところです。  


ジョー・ラ・バーベラ著「ビル・エヴァンス・トリオ 最後の二年間」を読み、関連CDを聴きました。

2024-06-15 19:30:00 | 読書

ビル・エヴァンス・トリオ最後の二年間(草思社)を読みました。ジョー・ラ・バーベラ、チャールズ・レヴィンによる執筆内容、荒井理子さんによる翻訳が良く、読みやすい本です。

   

表紙

(本書の紹介)

   

(感 想)

ジャズ・ジャイアントの一人、ビル・エヴァンスについて書かれた本や雑誌は数多ありますが、ジョー・ラ・バーベラとチャールズ・レヴィンにより書かれたこの本は、エヴァンス晩年の生活と音楽について核心に迫るもので、読んで良かった一冊です。

ジョー・ラ・バーベラは、エヴァンスのピアノトリオでドラムスを演奏し、日常でも接点を多く持っていたので、伝聞ではない文章に迫力があります。エヴァンスは、薬物依存によって命を落としましたが、最後まで音楽に愛情を持ち、高いプロ意識を持っていた点に感銘を受けました。

アルバム「We Will Meet Again」の収録当日の様子について書かれた第7章は、特に興味を惹かれました。エヴァンスが音楽を作っていく課程が描かれ、さらに、録音場所がマイルス・デイヴィスのアルバム「Kind of Blue」と同じだったので、そのことが話題に上るなど、ジャズファンの琴線に触れてきました。

(掲載された写真から)

リックス・カフェ・アメリケインで行ったギグ(1979年1月)の休憩中のビル・エヴァンス・トリオ。左から、マーク・ジョンソン(b)、ジョー・ラ・バーベラ(ds)、ビル・エヴァンス(p)。

(執筆者のプロフィール)

   

   

   

(読みながら、また、読了後聴いてみたCD)。

ビル・エヴァンス「We Will Meet Again」

   

本書の第7章に登場するアルバム「We Will Meet Again」(Warner Brothers)。ビル・エヴァンスの作曲した「Bill's Hit Tune」は、このアルバムが初出です。これは、僕の大好きな曲です。

ジャン=イヴ・ティボーデ「Conversatioons with bill evans」

   

フランスの有名なクラシックのピアニスト、ジャン=イヴ・ティボーデによるエヴァンス曲集。エヴァンスが素晴らしい作曲家でもあったことがわかります。

田窪寛之「WALTZ FOR DEBBY  A TRIBUTE TO BILL EVANS」

  

ピアノトリオによりエヴァンスの曲を演奏しています。エヴァンスが大好きで、影響も受けたというピアニスト、田窪寛之さんによるエヴァンス曲集。こういう作品が、日本で作られたというのが嬉しいです。


太田和彦著「大人の居酒屋旅」(新潮選書)と、太田和彦のふらり旅「新・居酒屋百選」(BS11)。

2024-06-05 19:30:00 | 読書

太田和彦著「大人の居酒屋旅」をパラパラ見たら、島崎藤村の石碑のことが書いてあり、興味を惹かれたので購入。また、著者出演のテレビ番組「新・居酒屋百選」もyoutubeですが、観てみました。

   

表紙

(本書の紹介)

   

(著者紹介)

太田和彦
1946(昭和21)年生まれ。グラフィックデザイナー、作家。東京教育大学(現・筑波大学)卒。資生堂宣伝制作室を経て独立。著書に『超・居酒屋入門』『日本居酒屋遺産』『映画、幸福への招待』など。テレビチャンネルBS11(イレブン)で、『太田和彦のふらり旅 新・居酒屋百選』を放映中。

(大まかな目次 全26章のうち僕が特に気になった章)

3 風になる口笛――盛岡 「海ごはん しまか」ʘどんこ丸焼
   賢治が詠んだ川と銀行、水面に映る孤光燈

5 ふるさとの古書店――松本 「きく蔵」ʘ馬刺
   なじみの居酒屋で、来し方を想う

6 信濃の国の歌人――松本 「満まる」ʘ雑きのこ
   秋はきのこで、海こそなけれ物さわに

7 藤村の青春の碑――仙台 「一心」ʘ活きボタン海老 
   カウンターで蘇る「人こひ初めし」ころ

11  VIKINGの世界――神戸 「すぎなか」ʘ甘海老の醤油漬
   同人誌に心をあずけた若き令嬢の生涯

13 望郷の歌――鳥取 「ファルケンシュタイン」ʘジャーマンポテト
   名唱歌の地で、ドイツビールをぐい!

14 太宰治と珈琲――弘前 「土紋」ʘいがめんち
   北国津軽の酒と肴、そして情と文学

23 文人気風の町――中野・高円寺・阿佐ケ谷 「だいこん屋」ʘはまぐり紹興酒漬け
   中央線沿線の町柄が表れる酒場

(感想など)

居酒屋訪問を目的に一人旅をした旅行記です。その街に到着してから居酒屋に入るまでの、街歩き(お城、神社仏閣、記念館、石碑など)について焦点を当ててあるのが特徴です。もちろん、居酒屋におけるお酒やお料理の紹介もあります。

著者の興味の向かう先が楽しく、一気に読了しました。藤村の石碑が紹介されている第7章「藤村の青春の碑」(仙台)、若くして自殺した小説家、久坂葉子が登場する第11章「VIKINGの世界」(神戸)、太宰治の若き日の足跡を辿った第14章「太宰治と珈琲」(弘前)が、特に印象に残りました。

著者は、テレビ番組「新・居酒屋百選」(BS11)に出演しています。過去のものをyoutubeで観ましたが、素朴で心温まる語り口で、気持ちのよい番組です。「大人の居酒屋旅」に描かれた街に行ってみたいと、思っています。

(本書に掲載された写真から)

   

第11章に掲載されている小説家、久坂葉子の写真。

   

第13章に出てくる唱歌「ふるさと」(作詞:高野辰之、作曲:岡野貞一)の歌碑

   

第14章「太宰治と珈琲」に出てくる太宰治のノート。

   

太田さんが入った弘前の居酒屋「土絞」。

   

第16章「墨堤の桜」(浅草)に登場する居酒屋「ぬる燗」。


【太田和彦さんのホームページ 太田酒倶楽部】

太田酒倶楽部 (ota-sakeclub.com)

 

【太田和彦のふらり旅 新・居酒屋百選】

ホームページ:太田和彦のふらり旅 新・居酒屋百選[字]|BS11(イレブン)|全番組が無料放送

   

太田和彦さん

以下、6月9日放映予定の番組から。  

   

   

   

   


NHK大河ドラマ「徳川家康」(DVD)を観て、本多隆成著「徳川家康の決断」(中公新書)を読みました。

2024-05-29 19:30:00 | 読書

レンタルで、NHK大河ドラマ「徳川家康」(1983年放映)を見だしたら、面白くて、つい全巻見てしまいました。ただ、実際はどうだろうかと、参考に本多隆成著「徳川家康の決断」(中公新書)を読んでみました。

【NHK大河ドラマ 徳川家康】

   

1983年に放送されたNHK大河ドラマ。『動乱の戦国時代を生き抜き、徳川三百年の礎を築いた徳川家康。その誕生から死に至る75年の波乱の生涯を描いた壮大な歴史ロマン!』

出演:滝田 栄、役所広司、武田鉄矢、大竹しのぶ、八千草薫、近藤正臣、池上季実子、夏目雅子、藤真利子、鹿賀丈史、長門裕之、竜 雷太、竹下景子、石坂浩二 ほか

原作:山岡荘八、脚本:小山内美江子、音楽:富田 勲

感想:家康の滝田栄さんなど配役が非常に良くて、全体にリアルに感じられ、重厚かつ面白いドラマでした。ただ、美化もされていて、例えば、旗印として掲げた「厭離穢土 欣求浄土」の意味には、違和感を感じて見ていました。そこで、本当のところを知りたいと、最新の家康に関する著書を読んでみました。

【本多隆成著 徳川家康の決断(中公新書)】

   

表紙

(著者略歴)

著者の本多隆成さんは、1973年静岡大学人文学部に赴任、2008年、同教授を定年退職。現在、静岡大学名誉教授・文学博士、専門分野は戦国史・近世史。『定本 徳川家康』(吉川弘文館)など著書多数。

(帯裏に記載された本書の概要)

(大まかな目次)

第1章 桶狭間の合戦 ー 今川からの自立へ
第2章 三河一向一揆 ー 家臣団の分裂
第3章 三方原の合戦 ー 滅亡の危機
第4章 嫡男信康の処断 ー 苦渋の決断
第5章 本能寺の変 ー 伊賀越えの苦難
第6章 小牧・長久手の合戦 ー 中央権力との対決
第7章 石川数正の出奔 ー 「家康成敗」の危機
第8章 小田原攻めと関東転封 ー 豊臣政権の重臣へ
第9章 関ヶ原の合戦 ー 天下分け目の戦い
第10章 大阪の陣 ー 徳川公儀の確立
終章 家康の人物像

(感想など)

2023年度のNHK大河ドラマが「どうする家康」に決まったことを契機に企画、出版が行われた新書です。徳川家康の政治面における通史ですが、最新の研究成果が反映され、要領よくまとまってもいて、非常に優れた内容です。

元亀三年(1572)の三方原の合戦における大敗、天正十三年(1585)の秀吉による「家康成敗」の危機、本能寺の変後のいわゆる「伊賀越え」を、家康の三大危機と著者はとらえています。武田信玄の死と天正大地震により二つの危機を乗り越え、家康は運が強いですが、全体を読むと実力があってのことと思わされました。

「家康の人物像」を記した終章は、家康が身近に感じられました。鷹狩好きなことや薬に関する関心などの健康志向、蔵書が多く、出版も行うなど学問への造詣の深さ、能や囲碁など芸能への関心など、非情な武将や政治家としての家康とは別の面を知ることができ、印象に残りました。

(著者経歴)

なお、今度は、2023年度に放映されたNHK大河ドラマ「どうする家康」をDVDで観ています。見終わったら、感想を記すつもりです。

ようやく、第16回まできました。

徳川家康役は、松本潤。

武田信玄役は、阿部寛。

合議。


神戸新聞文化部編「神戸とジャズ100年」、平安堂長野店の御書印。

2024-05-03 19:30:00 | 読書

平安堂長野店に寄ったら、地方新聞社の本を集めた「ふるさとブックフェア」が開催されていて、神戸新聞社の「神戸とジャズ100年」を購入しました。あわせて、平安堂長野店の御書印をもらいました。

   

表紙

(概 要)

神戸のジャズ発祥から100年。日本のトッププレーヤー、未来のジャズ界を担う若者たち、ジャズの振興に情熱を注ぐ人々らを訪ね、時代を超えて響き、愛された神戸JAZZの魂に迫る。神戸新聞の連載「神戸JAZZの魂 響いて100年」(2022年11月3日〜2023年10月7日)を、一部加筆・修正してまとめたもの。

<おおまかな目次>

1 歴史編

初のバンド  外国航路にルーツ
街が育てたジャズストリート
ジャズ喫茶に息づく情熱
ジャズ喫茶の気概―震災に負けず 人々に勇気
伝説的ラジオ番組―「電リク」ジャズ浸透に一役
ジャズの甲子園―柔軟さや明るさ 次世代へ

2 演奏者編
ピアノ 小曽根 真さん―ディキシーの喜び 原点に
クラリネット 北村 英治さん―聴き手との相乗効果 大切に
ピアノ 松永 貴志さん―「阪神・淡路」伝え続ける
トランペット 広瀬 未来さん―次のステージへ 仲間増やす

3 開拓者編
ピアニスト・オルガン奏者 小曽根 実さん
ジャズライブ&レストラン「ソネ」
西日本アマチュアビッグバンド連絡会理事長 港 良一さん

4 次世代編
オゾネミュージックスクール―名プレーヤー輩出名門音楽教室
高砂ビル―音楽文化育てるホットスポット
神戸・甲陽音楽&ダンス専門学校―米名門大と提携 世界へ人材

(感想など)

神戸のジャズに関して、その歴史や現状を網羅的に描いていて、興味を惹かれました。特に、地元の若者や若手ミュージシャンを大事にし、その育成に力を注いでいることが印象的です。

僕は、4~5回しか神戸を訪れたことがありませんが、ジャズクラブ「ソネ」やジャズ喫茶「MOKUBA' S TAVERN」が素晴らしかったことを記憶しています。以下、ジャズ喫茶、ジャズクラブ主体に掲載。

   

ジャズ喫茶「JAVA」。震災から復興しました。

ジャズ喫茶「JAMJAM」。本格的なジャズ喫茶のようです。

ジャズ喫茶「MOKUBA'S TAVERN」。一度だけですが、訪れたことがあります。場所が変わっているのかもしれません。

ジャズクラブ「ソネ」。2回しか訪れたことがありませんが、誰にも楽しめるジャズを提供し、飲食物の水準も高い、本当に素晴らしいジャズクラブです。「ソネ」ホームページ:ソネ (kobe-sone.com)

   

神戸市出身のピアニスト、小曽根真さんも「ソネ」で育ててもらった一人だそうです。

ピアニスト、オルガニストで自身のジャズクラブも経営し、神戸のジャズを牽引していた小曽根実さん。小曽根真さんの父です。これは、「サテンドール神戸」最後のライブに出演した写真。サテンドールは、東京六本木に移転しています。

「100ban Hall & Studios」が、ジャズなどライブの会場として、営業していて、全国のミュージシャンが出演しています。ホームページ:100ban Hall & Studios | Kobe-shi Hyogo | Facebook


【神戸新聞総合出版センターのホームページ】

神戸新聞総合出版センター (kobe-yomitai.jp)

【平安堂 長野店】

住所:長野県長野市南千歳1丁目1−1 ながの東急百貨店 別館シェルシェ2・3階
ホームページ:平安堂 (heiando.co.jp)

   

全国新聞社「ふるさとブックフェア」が開かれています。6月2日まで。   

   

合同出版目録が置いてあったので、一部いただいてきました。

   

「神戸とジャズ100年」が、目立つように置いてありました。

(平安堂長野店の御書印)

 

   

御書印をぼつぼつ集めています。この図柄は、「牛にひかれて善光寺」を図案化したものだと思います。
御書印プロジェクト ホームページ:御書印プロジェクト(公式)|note 
御書印をいただける、全国の書店一覧も掲載されています。