安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

サスキア・ブルーイン STEP INSIDE LOVE

2013-12-29 10:04:34 | ヴォーカル(S~Z他)

先日、この地域ならではの洋菓子をいただきました。飯田市の洋菓子店「ノエル」から発売されている、「清内路かぼちゃ」を使用した、クッキー、マドレーヌ、プリン、シフォンケーキです。「清内路かぼちゃ」は、糖度が16度あり、きめが細かく、色もきれいなので、お菓子作りにいいと店主が話していました。そのかぼちゃは、長野県下伊那郡阿智村清内路だけで栽培されていますが、種の固定と増産が今後の課題のようです。ほどほどの甘さの声を。

SASKIA BRUIN (サスキア・ブルーイン)
STEP INSIDE LOVE (Rip Curl 2009年録音)

   Stepinsidelovesaskiabruin

サスキア・ブルーインは、オランダ出身で、1987年に英国に移住、サックス、ヴォーカル、ジャズピアノを勉強し、1995年に学校を卒業してからイングランド東部を中心に活躍している歌手です。2004年には自己のクインテットを結成して、スタンダード曲などを録音し、今までに2枚のアルバムを出しています。

伴奏は、Chris Ingbam(p)、Andrew J. Brown(b)、Russell Morgan(ds)、Colin Watling(ss)、Phil Brooke(g)などです。基本的には、ピアノトリオにギターを加えたコンボの伴奏で歌っています。サスキアは、イリアーヌ・イリアスやべべウ・ジルベルト、そしてクール・ジャズから影響を受けていると、彼女のホームページにあります。そのためか、このアルバムでもボサノヴァの曲が多いです。

曲は、スタンダードを中心に新しめのものも入ります。バート・バカラック作「The Look of Love(恋の面影)、ロバータ・フラックのヒット曲「Feel Like Making Love」、「Virginia Moon」、「Comes Love」、「Estate」、ポール・マッカートニー作「Step Inside Love」、「I Got Lost In His Arms」、「And We Will Fly」、ジョビンの「Once I Loved」、「Wondering」、「You're My Thrill」、「Close Your Eyes」、「Call Me」、「I Can't Give You Anything But Love」(捧ぐるは愛のみ)の14曲。

ボサノヴァやジャズの香りがするヴォーカルで、疲れた時や深夜などに心静かな音楽を楽しみたいときにピッタリです。声域は、コントラルトといってよく、ささやくように歌っています。「The look of Love」や「Estate」、「Once I Loved」など、遅いテンポでもだれずに、ふんわりと包み込むような優しい歌が聴けます。「I Can't Give You Anything But Love」は、ギター・ソロも入ってジャジー。このところ深夜にたまに聴いています。

2013年もあとわずかです。本年も拙ブログをお読みいただきありがとうございました。皆さま、よいお年をお迎えください。

【清内路かぼちゃとそれを使った洋菓子店「ノエル」のお菓子】

ノエル洋菓子店 住所:長野県飯田市育良町1-21-10  電話:0265-25-1999
                            ホームページ:ノエル洋菓子店ホームページ

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                清内路かぼちゃ

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         クッキーとマドレーヌは今年新発売だそうです。


クリフォード・ブラウン STUDY IN BROWN  MORE STUDY IN BROWN

2013-12-25 21:24:32 | トランペット・トロンボーン

一昨日、長野県松本市のまつもと市民芸術館で行われた、まつもと市民オペラ第4回公演、ビゼー作「カルメン」を観に行ってきました。この公演のことは、僕の職場に、合唱で出演する人がいて、彼から教えてもらいました。地元の合唱団やオーケストラに、キャストとして参加したのは、カルメンに腰越真美、ドン・ホセに高田正人、エスカミーリョに青山貴、ミカエラに天羽明恵といった日本のトップクラスでした。終盤に近づくにつれて、熱演、熱唱が続き、力のこもったいい舞台でした。ジャズの方もクラシックで。

CLIFFORD BROWN (クリフォード・ブラウン)
STUDY IN BROWN  (EMARCY 1955年録音)
MORE STUDY IN BROWN (EMARCY 1954年、1955年、1956年録音)

   Studyinbrowncd     Morestudyinbrown

年末年始は、親しんできたジャズの名盤を主に聴いています。クリスマスの今日では、少し早いのですが、オペラの熱演を聴いたら熱い演奏が聴きたくなりこの2枚を取り出しました。正確には、クリフォード・ブラウンとマックス・ローチグループの演奏ですが、ブラウン名義にしました。「Study In Brown」は、学生時代に初めて聴きましたが、オールド・ベイシー・バンドで馴染んでいた「チェロキー」の演奏のモダンさにびっくりしたのをよく覚えています。

メンバーは、「Study In Brown」の方が、クリフォード・ブラウン(tp)、ハロルド・ランド(ts)、リッチー・パウエル(p)、ジョージ・モロウ(b)、マックス・ローチ(ds)。発掘音源で、6つのセッションが収録されている「More Study In Brown」の方は、1956年に録音された3曲で、ランドの代わりにソニー・ロリンズ(ts)が参加しています。

曲は、「Study In Brown」が、「Cherokee」(チェロキー)、「Jacqui」、「Swingin'」、「Lands End」、「Sandu」、「Gerkin For Perkin」、「If I Love Again」、「Take The "A" Train」(A列車で行こう)の9曲。「More Study In Brown」は、「I'll Remember April」(四月の思い出)、「Junior's Arrival」、「Flossie Lou」、「Mildama」、「Jordu」(ジョードゥ)、「These Foolish Things」、「Lands End」、「The Blues Walk」の8曲。ブラウンらのオリジナルが主です。

クリフォード・ブラウン(tp)のソロは、テンポの緩急にかかわらず、まるであらかじめ作曲されたかのような素晴らしい旋律になっているので、ジャズってすごいなと学生時代の僕は感嘆しました。しかし、その後多くのレコードを聴いていくと、そのようなことは、ほんの限られたミュージシャンにしかできないことなのだと気付かされました。

どれも輝かしい演奏ばかりですが、「Study In Brown」の方では、「Cherokee」、「Sandu」、「If I Love Again」、「Take The "A" Train」を、また、「More Study In Brown」の方では、ソニー・ロリンズ(ts)入りの「I'll Remember April」と、ブラウン(tp)に加えハロルド・ランド(ts)も縦横無尽のソロをとる「The Blues Walk」をことに気に入っています。

【まつもと市民オペラ カルメン】 

この公演を教えてくれた彼によると、カルメンの合唱部分は難しくて、たいへんだそうです。細部はわかりませんが、本番はうまくいったのではないかと思いました。指揮は大勝秀也、台詞・演出は加藤直でした。

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ソニー・ロリンズ NEXT ALBUM

2013-12-22 10:26:33 | テナー・サックス

先日、長野市から友人のY君が飯田市に所用で来たので、近くのレストランでワインなど飲みながら四方山話に花を咲かせました。彼もジャズが好きで、そもそもは長野市のジャズ喫茶「サテン・ドール」で知り合いになりました。そのお店は、メインストリームジャズを聴かせてくれて、僕もよく行ったのですが、残念ながらかなり前に閉店してしまいました。Y君は、テナー・サックスを吹き、憧れのミュージシャンの一人がロリンズです。ロリンズを聴いてみます。

SONNY ROLLINS (ソニー・ロリンズ)
NEXT ALBUM (Milestone 1972年録音)

   Nextalbumsonnyrollins

ソニー・ロリンズ(ts)が、1968年から72年まで活動を停止していた後の復帰作です。正確には、66年から72年まで録音がなくて、6年間もの間レコーディングから遠ざかっていたので、このアルバムはたいへん待たれていたものです。出た当座の評価は、ロリンズへの期待感が大きかったせいか、否定的なものもあって、賛否両論があったように記憶しています。

メンバーは、ソニー・ロリンズ(ts,ss)、ジョージ・ケイブルス(p,elp)、ボブ・クランショウ(b,elb)、ジャック・デジョネット(ds)又はデヴィッド・リー(ds)、アーサー・ジェンキンス(conga,per)。エレクトリックピアノとエレクトリックベースが導入されていて、これも従来のロリンズファンがとまだっと点だと思います。

曲は、ロリンズのオリジナルと、スタンダードです。オリジナルが、「Playin' in The Yard」、「The Everywhere Calypso」、「Keep Hold of Yourself」、スタンダードが「Poinciana」と「Skylark」で、全5曲。カリプソが初めて演奏されたことや、「Poinciana」では、ソプラノ・サックスを使用していて、新鮮さがありました。どの曲も親しみやすいものばかりです。

6年間のブランクを感じさせない、次から次へとテナー・サックスからメロディが出てくる歌が溢れているアルバム。「The Everywhere Calypso」は、ロリンズの吹く明るくて大らかなメロディがよいですし、「Skylark」では、バラードが堪能でき、無伴奏カデンツァ部分も圧倒的です。ジョージ・ケイブルスのエレピは、音もチープであまりいいとは思えませんが、同じエレクトリックでも、ボブ・クランショウの弾くベースは、ソロもメロディアスで、ロリンズの音楽に相応しい。


シェルビー・フリント CAST YOUR FATE TO THE WIND

2013-12-18 20:48:15 | ヴォーカル(S~Z他)

一昨日の月曜日、出張で長野市へ出かけてきました。仕事の打ち合わせと会議で忙しかったのですが、お昼休みに長野県庁の1階に行ってみたら、信州の花が展示してありました。シンビジウムとアルストロメリアでしたが、それぞれきれいでしばし見とれました。長野市内の自宅や飯田の単身赴任宅に飾りたいと思いながら写真に撮りました。清楚な声の女性歌手を聴いてみます。

SHELBY FLINT (シェルビー・フリント)
CAST YOUR FATE TO THE WIND (Valiant 1966年録音)

  Castyourfatetothewindshelbyflint

天使の歌声と言われた、シェルビー・フリントのサード・アルバムです。彼女には、ビルボードホット100で1961年最高位22位の「Angel On My Shoulder」(私のエンジェル)と、同1966年61位の「Cast Your Fate to The Wind」(風の吹くまま)というヒット曲があります。しかしながら、アルバムとしては、これが最後で、その後はセッション・ヴォーカリストとしての活動があるくらいです。内容はポップス寄りながら、スタンダード曲も歌っていて、ヴォーカルファンにもアピールする作品です。

編曲は、ペリー・ボトキン・ジュニアが担当していて、充実したサウンド作りをしています。シェルビー・フリントは、もともとはフォーク・ソング志向のシンガー・ソング・ライターで、このアルバムにも自作曲が収録されています。少しボッサがかったものやジャジーな編曲jもあって、フォークソングという感じはあまりしません。

曲は、スタンダードが、「Green Leaves of Summer」(映画「遥かなるアラモ」主題歌)、「Yesterday」、「Softly, As I Leave You」、「I've Grown Accustomed to His Face」(あなたの顔になれてきた)、「Hi-LiLi, Hi-Lo」(ハイ・リリー・ハイ・ロー)で、ヴィンス・ガラルディ作「Cast Your Fate To The Wind」(風の吹くまま)、シェルビー・フリント作「Moonlight」、「The Lily」、「I Will Love You」、「BlueBird」、「Our Town」、「Angel On My Shoulder」の全12曲。「Hi-LiLi, Hi-Lo」、「I Will Love You」と「Angel On My Shoulder」の3曲はファースト・アルバムからの転用です。

シェルビー・フリントは、ささやき気味に歌っていますが、高音が美しくて、清々しいアルバムです。どこかで耳にしたことのあるヒット曲「Cast Your Fate To The Wind」と「Angel On My Shoulder」がやはり印象深いですが、ボッサも取り入れて歌われる彼女の自作「Moonlight」やベースがリズムを刻む「Yesterday」あたりも面白い。シンプルな伴奏で声の美しさが際立っている「Hi-LiLi, Hi-Lo」を聴くと、もっとスタンダード・ヴォーカルよりの録音も聴きたかったと思わざるをえません。

【信州の花(シンビジウムとアルストロメリア)】

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サム・ジョーンズ THE CHANT

2013-12-15 10:04:32 | ベース・ドラムス

12月も中旬になり、一昨日の13日(金)には、飯田市内でも雪が降りました。気温も低く、先週スタッドレスタイヤに替えたのは正解でした。その前はまだ雨で、10日(火)のお昼ごろには、雨の上がった後、市街地の北方に虹がかかったので、写メを撮ってみました。自然の造形の美しさに感嘆しましたが、カラフルな色合いは、携帯電話のカメラでは再現は難しいようです。チェロが旋律を奏でる「虹の彼方に」を聴いてみました。

SAM JONES (サム・ジョーンズ)
THE CHANT (Riverside 1961年録音)

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「Over The Rainbow」(虹の彼方に)について触れるのは、拙ブログを始めて間もない、2007年11月11日アップのロレツ・アレキサンドリアの「The Greatに次いで多分二回目です。曲のことはそちらに少し記しましたが、名曲だけに夥しい歌や演奏があります。サム・ジョーンズ(b,cello)がキャノンボール・アダレイ・グループ在団時に作ったこの作品では、同曲でチェロを弾いており、力強く、しかも優雅な演奏が楽しめます。

Sam Jones plus 10と副題にあるように、大型コンボによる録音です。メンバーは、サム・ジョーンズ(b,cello)、ナット・アダレイ(cor)、ブルー・ミッチェル(tp)、メルバ・リストン(tb)、キャノンボール・アダレイ(as)、ジミー・ヒース(ts,arr)、テイト・ヒューストン(bs)、ビクター・フェルドマン(vib,p,arr)、レス・スパン(g)、ルイ・ヘイズ(ds)、ウィントン・ケリー(p)、キーター・ベッツ(b)で、ベッツは、ジョーンズがチェロを弾く時に起用され、ケリーはフェルドマンがヴァイブを弾く際に起用されています。

曲は、ジャズオリジナル6曲にスタンダードが2曲で、ビクター・フェルドマン作「The Chant」、マイルス・デイビスの「Four」、ベニー・ゴルソン作「Blues on Down」、サム・ジョーンズ作「In Walked Ray」、チャーリー・パーカー作「Bluebird」、ルディ・スティーヴンス作「Off-Color」に「Sonny Boy」と「Over The Rainbow」(虹の彼方に)です。それぞれジミー・ヒースやフェルドマンが編曲しており、カラフルな和音や強弱のダイナミクスが出ています。

豪華コンボによる躍動感と色彩感が豊かな作品。ブルージー、ファンキーな「The Chant」や「Blues on Down」は編曲も面白く、「Four」などにおけるジョーンズ(b)のどっしりとしたソロや「Sonny Boy」におけるケリー(p)やミッチェル(tp)のソロなど聴きどころがたくさんあります。サム・ジョーンズ作「In Walked Ray」は、レイ・ブラウンに捧げた曲で、曲想は「Bohemia After Dark」に似ています。ここでは、アップテンポによるジョーンズのチェロの妙技が披露されます。

【長野県飯田市街地北方にかかる虹】

撮影日:2013年12月10日 

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      真ん中に鉄塔が入ったのが残念なところですが、こればかりはやむを得ません。