少し前になりますが、山梨県甲府市を訪れる機会があったので、JR甲府駅からほど近い中心街にライブを盛んに行っているジャズ喫茶「JAZZ IN ALONE」があったので寄ってみました。お店はライブ向けに作ってありますが、棚の上に据えられたJBLのスピーカーからマイルス・デイビスの吹く「枯葉」のメロディが流れていて、ほの暗い照明の雰囲気に似合っていました。エヴァンスの「ALONE」を聴きます。
BILL EVANS (ビル・エヴァンス)
ALONE (Verve 1968年録音)
甲府市は、JR中央線沿線で松本から新宿に出る際に通るので、安曇野市出身の僕は、昔から親近感を抱いている街です。山梨県立美術館や近くのワイナリーを訪れたこともありますが、ジャズのお店に入るのは初めてです。ジャズ喫茶では「Aroma」もありますが、残念ながら訪問した時にはお休みでした。
キース・ジャレットのケルンコンサートがヒットした1970年代に、ソロ・ピアノブームというのがあったように記憶しています。僕は、あまり関心を持ちませんでしたし、今もそうソロ・ピアノを聴こうとは思いません。それでも、このエヴァンスの「Alone」は、愛聴盤になっています。名盤として挙げられますが、初めはスイング感に乏しい気がしてほとんど聴かなかったのですが、今では大事な一枚になっています。
曲は、スタンダード中心です。「Here's That Rainy Day」、「A Time For Love」、「Midnight Mood」、「On A Clear Day」(晴れた日に永遠が見える)、「Never Let Me Go」の5曲。日本盤のCDはここに2曲追加で、「All The Things You Are / Midnight Mood」と「A Time For Love」(別テイク)が入っています。アルバムのまとまりと聴いた後の余韻を大事にしたいので、CD追加の2曲は聴かないようにしています。
両手をフルに使い、メロディとともにハーモニーの豊かさ、美しさが溢れています。「Here's That Rainy Day」や「A Time For Love」は、繊細で、エヴァンスが微妙に力の入れぐあいを変えながら響きを変化させている様が目に浮かぶようです。「Never Let Me Go」のテーマと変奏は、抒情性はもちろん、浮遊感や寂寥感も感じられて、この1曲だけでも価値のあるアルバムだと思っています。
【JAZZ IN ALONE】
住所:山梨県甲府市中央4-3-25
電話:055-232-2332
お店のホームページ:ジャズ・イン・アローン
「SINCE1974」と書かれている看板。面白い形の珈琲カップ。
お店の外観です。ビルの2階がAloneで、右端の階段を上がります。